パンドラ
話せば分かってくれるかもしれない――
そんな希望を抱くから、説得しようなんて思うんだ
理由を、問い詰めようとするんだ
心がつうじあうかもしれないなんて思うから、悲しむことになる
自分にも、何か変えることができるかもしれないと思うから――傷つくことになるのだ
ああ、わざわいだ わざわいだ
パンドラの箱に残りし最後のものは
一瞬の夢を見せた後、果敢ない望みをうちくだく
希望こそが、人に与えられし最たる罪悪なのだ
それでも人は、優しい未来を夢見て光に縋りつく
どんなに打ちのめされても、もしかしたら――という思いは消えない
暗い絶望の淵に立たされたとしても、光は潰えない
愛した人の手で突きおとされたとしても――
希望は、朗らかに微笑を浮かべながら訪れる
悲劇を繰り返す人間を嘲笑うかのように
希望と絶望とが手を取り踊りめぐる
ああ――