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第30話 アレを使ってステータスオープン!

今宵は上弦の月。

 ヤメーメ城からの帰り道、城の外で待っていたウサ坊主が言った。


「これまで魔物を仕留めてきましたので、戦利品を渡しに聴神(ききがみ)様のところに寄りましょう」

 

 ああ、ヤメーメで昔から祀られている半神半木のじいさんね。

 

 道中、ウサ坊主に尋ねた。 

「戦利品ってなに?」

魔感石(まかんせき)を渡すのです」


 説明によると、魔物のからだの心臓付近に魔力を宿した石があるのだとか。

 尿の成分が結晶化する結石という病気があるけど、そんな具合でからだに魔力成分を蓄積したものなのかな?


「それって、どこにあるの?」

「私が嗅商の解体業者から回収しておきました。ヤメーメランドで仕留めた分も、先ほどノーエフ商会から受け取り済みです」 


 お、仕事が早いな。

 おれたちが城にいるあいだ、いろいろ動いてくれてたんだね、ありがとさん。

 

「で、渡したらどうなるの?」

「それは渡してからのお楽しみです」


 もうウサさん、もったいぶっちゃってさっ。

 なんかこのもどかしさ、散歩のとき行きたい方向があるのにリードを引っ張られる感じに似てるな。

 

 村の外れに着くと、以前と同じ大木のある場所に、例のしわくちゃ顔のじいさんがいた。

 

 相変わらず存在感、ハンパねえな。

 ほんとに木とじいさんが半々でブレンドされてるって感じだもん。


 おれはやや緊張しながら、ウサ坊主から預かった若草色の小石ほどの塊を聴神様に渡した。

 

 すると聴神様は「うむうむ」とうなずき、魔感石をそのままゴクリと丸呑みにしたではないか。

 

 えっ、食べちゃうの?

 

 そしてなにやらブツブツ言いながら、おれたちに向かって手をかざす聴神様。

 

 ちょっ、なんだか怪しいんですけど――


 と思ってたら、足元から涌き上がってくるものを感じた。


 その熱は足のつま先から頭のてっぺんまで、じんわりと包んでいく。


「おおっ!」

「ああっ!」


 おいおい、いったい何が起こってんだ?

 足が痺れた感覚が、そのままからだ全体に広がったみたいにジンジンするぞ。


「聴魔力によって潜在力を引き出されたのですよ」と小声でウサ坊主が解説。


「パワーアップしたってこと?」


「いずれわかるときが来るじゃろうの」とシワだらけの腕を引っ込めて、ボロいアウトドア用の椅子に座る聴神様。


 まじかよ······こいつは楽しみだな。


「ほれ、ブサイク諸君。代わりにしょっぱいのじゃ」


「あなたたち、言われてるわよ」とシャムりん。


 そうだね、シャムさんに向けられた言葉のはずがないっすよねぇ。


 チャウ丸が風呂敷から梅ぼしの瓶を取り出すが早いか、にゅぅっと伸びた手が瓶をこじ開け、そのまましわくちゃの口へ。


「くぇくぇくぇぇぇ、しょっぱくてエロエロのレロレロじゃ」


 ど、ど、どういうことだ······?

 おじーさん、鼻下伸びてますけど、興奮しすぎて爆発とかしないよね?

 でもまあ、ご満足いただけたみたいだ。

 よほどしょっぱいものがお好きらしい。


 そんな聴神様が口を開く。

「おぬしらはメカを持っとらんけ、メカ」


 ん?


 そこでチャウ丸が風呂敷をゴソゴソとあさり取り出す。

「コレすか?」


 手には地球から持ってきたスマホが握られてある。


「気は宿っておろうかね?」


「充電したから電気に獣魔気が混ざったものなら」

 

 そういや以前、〈ミミの酒場〉で充電してたもんね。


「わしにかざしてみんしゃい」

 

 そして聴神様はシワまみれのおでこをひょいと差し出す。 

 チャウ丸は警戒ぎみにそのスマホを近づける――


 とそのとき、画面に何かが映し出された。


「これがあんたらの塩梅じゃよ」



《 種族:食肉目イヌ族

  経験ステート:28Kタイプ。

  五感魔力レベル:33

  聴魔レベル:2

  嗅魔レベル:3

  探知レベル:3

  五感術指数:650


 【スキル】

  聴魔術:〈魔銃六種〉    》



 おおっ、すっげぇ、ステータスじゃん!

 まさかスマホで見れるなんて······


「これって、どうなんすか?」と目を丸くしながら聴神様に問いかけるチャウ丸。


「ヒヨッコじゃの」

 

 チッなんだよ、みたいな表情をつくるチャウ丸。


「あたしも!」


 続いてシャムりん。



《 種族:食肉目ネコ族 

  経験ステート:F600タイプ。

  五感魔力レベル:28

  聴魔レベル:1

  嗅魔レベル:2

  探知レベル:2

  五感術指数:450》


 【スキル】

  聴魔術:〈セクシーボンバヘッド7〉

  聴魔術:〈セクシーバタフライX〉    》



「やだあ、これっていいの?」


 シャムりんは満足げに御髪(おぐし)をブラッシング。

 ヤメーメのテーマパークで発動してた技は聴魔術なんだね。

 セクシー押しがなんともシャムりんらしいぜ。


 ということで、おれもお願いしゃっす!



《 種族:食肉目イヌ族

  経験ステート:800Zタイプ。 

  五感魔力レベル:15

  聴魔レベル:2

  嗅魔レベル:2

 探知レベル:1

 五感術指数:580


 【スキル】

  聴魔術:〈コカン魔殺砲〉

  嗅魔術:〈ロッキン砲〉    》



 なんかよくわからんが、以前、思念による映像で見たものに似てるな。

 じゃっかん表示内容が違うのは、国の基準によって変わってくるのかな。

 うーん······どれも数字が低めな印象を受けるけど――

 

 ん?

 スキルのところに〈ロッキン(ぽう)〉ってのがあるぞ。

 

 「新たな技を習得したんじゃないか?」と横からチャウ丸。

 

 おーマジか、だとしたらテンションあがるな!


 あっ、消えた――


「すみません、もう一度よろしいですか?」

「ムリ。さあ、行った行った」

 

 なんだよ、けちんぼだな。


 聴神様は深い瞑想に入ったので(あるいは失神?)、おれたちは立ち去ることにした。


 村へ戻る道中、チャウ丸がスマホをポチポチ触りながら言った。

「まさかこんな使われ方するなんてな」


 たしかにスマホでステータスが見れるなんて驚きだよね。

 聴神様はスマホが何なのか知っているのだろうか。


 この世界にいる冒険者がスマホを持っているとは思えないから、たぶん聴神様は代替でさまざまなものに映し出す力があるのだろう。 

 あんなヘンテコなじーさんだが、だてに古くからヤメーメで崇められているだけあるな。

 

 ウサ坊主に尋ねると「わたしはそれほど詳しくないのですが」と言いながらも答えてくれた。

 それによると、五感魔力レベルは総合力で、50くらいが平均的な術者なんだとか(「わたしは魔力を持たないのでゼロですね」)。


 おれはだいぶ下回ってたから、まだまだということか。

 まあ、まだこっちの世界に来たばっかの魔術素人(トーシロー)ですからね。


 総合力に付随する聴魔レベルは、《出禁の書》にも載っていたように、聴覚を通じた魔術の力を示すもの。

「探知レベル」は何かを探り当てる力で、五感術指数は魔術の強度を意味するみたいだ。

 多くの術者は、まずは4桁を目指すとのこと。

 じゃあおれもとりあえず、そのあたりを一里塚(マイルストーン)にしとくか。

 さすがはふだんキングの補佐をやっているウサ坊主。

 詳しくないと謙遜しながらも、いろんな知識がおありのようだ。 


「三銃士ともなれば、とてつもない魔術レベルだったのでしょう」と敬意のまなざしを向けるウサ坊主。


 いや、それがちがうんですよ、ウサさん。

 あたしゃ、三銃士でもなんでもないペーペーなので数字は引くほど低いですよ。

 もしあの画面を彼が見てたら、すぐに違和感をいだいたはず。 

 おそらく礼儀として覗き見ることは御法度なんだろうね。


 ほんとは聴神様に伝説の三銃士のことも尋ねてみたかったが、ウサ坊主がいる手前、それはできず。

 べつに三銃士じゃないと打ち明けてもいいんだけど、チャウ丸とシャムりんの様子からも、今のところは三銃士の評判に乗っかっておいたほうがいいのかな。


 村の広場に着いたところでチャウ丸が言った。


「そろそろあっちに帰っておいたほうがよくないか?」

「タタロオも怪しまれちゃうわよ」


 たしかに、しばらく犬小屋をあけてたもんね。

 

 ということで、おれたちは久しぶりに宿屋の物置部屋から地球の犬小屋へ戻ることにした。

 

 こっちとは時間の進み方がずいぶん違うみたいだが、あまりにあけすぎて犬小屋が撤去でもされたら二度と戻れなくなるから、たまにはきちんと帰るようにしないとね。

金字塔の語源は、金の字に似た塔のピラミッドなのだそうです。

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