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第20話 地図を持ってヤメーメ王国を出発!

ばれんたゐん、ですね。かまわず更新です。

 翌日、村で大工に相談すると、さっそく同行役を連れてきてくれた。


「彼はふだん、キングの補佐をして村の外の状況にも詳しいから、きっと手助けになるはずです」 


「ウサ坊主と申します。よろしくお願いします」と坊主頭にしたウサギ顔の男がご挨拶。


 高校球児みたいで礼儀正しいし、キングの補佐なら信用できそうだ。

 それでいて、シャンとした見た目からは人なつっこそうな印象も受ける。

 

 そのあとネズミ顔の地理士から、ヤメーメ王国の外の地図をもらった。

 紙にはひょうたんを横に倒したみたいな形の大陸が描かれ、西の端っこにヤメーメ王国があり、右隣に嗅商(きゅうしょう)王国と書かれてある。

 あとは川や草原といったものが、ざっと書き込んであるだけだ。

 これまで耳にしてきたタンニシ王国やガワヤナ公国の名前が見あたらないのは、どこにあるのか地図の専門家でもわかってないということなんだろう。

 そもそも大陸の全貌は明らかではないという話だったから、ひょうたん型の形だってどこまで正しいものやら。

 にしても、地理士にしてはだいぶザツな地図だな。



挿絵(By みてみん)



 まあ何もないよりはいっか。

 そしてウサ坊主という同行役を先頭に、いざ嗅商王国へ向けて出発した。



 ◆◇◆◇



 どこまでも伸び広がる雄大な草原。

 遠くには連なる山の尾根も見えて、なかなか美しい景勝だ。


 地図によると、ここはマウヤケ草原というらしい。


 こういう広々としたところを見ると、つい走り出したくなるのはイヌの本能なのかな。


 ただヤメーメの村の外に出たのはこれがはじめてなので、おれはドキドキしながら先頭を歩く案内役のウサ坊主についていく。


駕籠(かご)かなにかで運んでもらいたいわね」と、さっそくグチをこぼすシャムりん。


「ヤバかったら戻ろうよ」と、ヘタレなおれはさりげなく提案しておく。

 安全第一、なにごともムリをしないのが大切だからね。


 そこでウサ坊主が口を開く。

「ひとつだけ注意してもらいたいことがあります。もし植物の音を聴いたら耳をふさいでください」


「植物の音?」


「村の外には、脳をむしばむ聴毒を放つ魔植物が生えているんです。成分は六酸化嗅毒ナトリウム、【Na6-SO】、嗅密度は4.28g/cmS(グラムパース)です」


 な、なんだよそれ······すでにかなりヤバいじゃないかよ。

 

 生物って、脳をむしばまれたらどうなるんだっけ? 

 たぶんろくでもない結末(バッドエンド)が待ってるのはなんとなく想像できる。


 地面を見ると自生した野生植物が茂ってるが、これらは大丈夫なのだろうか。


「その音は簡単にわかるものなの?」とチャウ丸。

「ええ、すぐに頭が痛くなりますからね」


 やだなあ、そんなの。

 痛い思いに加えて脳が侵されたら、もう終わりじゃないかよ。


 でも引き返すような空気でもないので、しかたなく歩みを進めるしかない。

 イヤなことにもハッキリとNOが言えずまわりに合わせる性格には、我ながらうんざりしちゃうぜ。


「ここはまだヤメーメ王国の領地なの?」とチャウ丸。

「そうですね、ほら」

 ウサ坊主が顔で示した先には、放置された黄土色の水田跡が見える。


「そしてあっちに見えるのが嗅商王国ですよ」

 遠くには豊穣な緑色が広がる水田だ。

 境界線がなくても水田の様子を見ただけで、どっちの国なのかわかるってのもすごいな。


 その道中、いたるところに槍や弓矢が落ちていた。

「これって、(イクサ)のあと?」

「以前はよく、このあたりで小競り合いがおこなわれていたんです」

 

 ときどき見かける者は、服もまともに着ておらず、ほとんどケモノ同然って感じだ。

 しかも誰も彼も、木陰に腰を下ろしてぼーっとしているか、草原で寝転んでるかだ。

 まったくお気楽なもんだな。


「ずいぶんだらけてるわね。だらっとしたくなる気持ちはわかるけどね」とシャムりん。


 そこはおれも同感だが(おだらけサイコー!)、人間に飼われているとなかなかそういうわけにもいかず、飼い主のタイミングで散歩に連れていかれるからね。

 何時何時(いつなんどき)でも好き勝手動き回れるチャウ丸やシャムりんがうらやましいくらいだ。

 まあ、飼い主を持たない彼らにそんなことを言ったら、贅沢な悩みだと一蹴されるんだろうけど。

 

 とにかく、これだけ武器が落ちてるということは、危険が潜む可能性がてんこ盛りってわけだ。

 なんだか危険エリアの取材旅(ゴンザレス)みたいな心境だな。

 

 しばらく歩くと、立派な畑も見えてきた。

「このあたりから嗅商領でしょう」とウサ坊主。


「ところで鍵を盗んでいったスメル元帥(げんすい)って、何者なの?」


「匂いの真髄を極めた者です」


「調香師みたいなこと?」とおれ。


「わたしも詳しいわけではありませんが、攻防のために匂いを産出するプロみたいなことでしょうか。嗅商でもトップクラスの魔嗅士(まきゅうし)だと言われています」


「攻防にどうやって匂いを使うの?」とシャムりん。

「まさか、クッセー臭いで敵を幻惑するとかじゃないだろうな」

「まあ、そういうのもあるでしょうね」

 サラッと返すウサ坊主の言葉に、チャウ丸は臭いものを嗅いだばかりみたいに顔をしかめた。


 そういや地理士も嗅覚の力について言ってたな。

 トップクラスの魔嗅士ねえ。 

 スメル元帥が他国にも名が(とどろ)くほどポピュラーなのはわかったけど、それがいかほどのものかはおれの想像力の埒外だな。

 

「嗅商王国は、別名で『香る国』と呼ばれています。それくらい嗅覚にすぐれ、匂いへの信仰が国のベースになっているんです」

「匂いへの信仰ねえ」


 信仰といえば、ヤメーメ王国の聴神(ききがみ)様のことが思い出される。

 あのしわくちゃじいさんは戦闘の神でもあるみたいだが、もし何かあったときに遠方から助けてくれるものなんかね。

 もともとおれはイヌの頃から篤信家ってタイプじゃなかったけど、どうかまともな場所でありますように、と拝んでおきたいくらいだ。


 ただ神様のご加護が届く前に、おれたちはやっかいごとに巻き込まれることに······。


 なぜならホラ、あそこに見えるもの――。


 あの雰囲気、覚えがありますぞ。

 アレって、みんな大好き魔物さんですよね。

 て、だれが好きやねん。


 そしてこういう時って、ぜったい相手に気づかれるんだよね。

 イヌ的経験からもそれがわかるし、おれの勘はうっとうしいくらい当たるんだよ······グスン(涙)。 

イラスト、へたすぎ......orz

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