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第15話 出禁の書で技を見てみる

走ると脇腹痛ですが更新です。

 ヤメーメに伝わる《出禁の書》はすこぶる興味深い。


 どれだけの民の目に触れているのかは不明だが、たぶん長年の研究によってつむがれたものなんだろう。

 

 ということでパラパラとページをめくっていたら、おそらくおれが発動した技と同じ系列と思われるもので〈キーエンザン〉【Destructor hyper Disc】というのがあった。


〈メカメカメ〉や〈ロック(ばん)アタック〉というのも、たぶん同系なのかな?

 

 せっかくなので、名前が短いほうを逆から唱えてトライしたが、何も起こらず······。


 あの超有名な魔法学校に通う少年の技に似た名前も載っていたが、それは難度が高めみたいなので試しもしなかった。


 はじめのほうのページにあった〈ハドー拳〉も試してみようとしたが、逆から唱える場合「ン」が最初にくるわけで、どう叫べばいいのか考えてると頭がこんがらがってきた。


 だって「ンケードハ」だよ?


「ン」で始まる言葉なんて、アフリカの地名くらいしか思い浮かばんぞ。

 唱えることに精一杯で、技どころじゃないって。

 いちおう小声でやってはみたけど、何も起きないのは、たぶん発音でアウト。 

 

 ちなみにあのとき成功した〝コカン魔殺砲〟は、初級術のところに載っていて〈聴魔術(ちょうまじゅつ)〉と書かれてある。

 しかも著作反発エネルギーの作用とか言ってるから、つまり本場とはまったくの別物である(、、、、、、、、、)とおれは解釈する。


 うん、そのほうがいろいろ都合もいい。

 だって、仮にも本場とわずかでも関与してたら、誰かに怒られそうだもんね。

 まあ、おれみたいなもんが、世界中で愛される超人的な戦士の技を扱えるはずがないわな。

 それと、この技は両手で行うより片手にエネルギーを集めたほうが効果的とあるが、たぶんこれは電池の並列つなぎよりも直列つなぎのほうが電圧が上がるみたいな解釈でいいだろう。


 そこでチャウ丸がやって来た。

「なんかおもろいこと、書いてあっか?」

「三銃士の技の事とか書いてるけど、なんかむずかしくてね」

「いろいろ試してみたら? ご主人のジーコは戦闘系アニメが好きなんでしょ? タタロオはジーコの分身みたいなものなんだから」


 あの人、(がら)に似合わず恋愛系も好きで、なんでも来いだもんね。

 分身ねえ······まあたしかに、おれの中にジーコがいると考えることもできるのかもな。

 人生に心底退屈しきっている(ヤツ)の分まで、おれがこの摩訶不思議な世界を堪能してるわけだし。

 

 というわけで、アニヲタのジーコの脳で思いつく古今東西の有名どころの技をいくつか試してみるわけだが、どの技を逆側から叫んでも、うんともすんとも起きない。

 場が白けてハズい空気を濃くしただけだ。


 さすがにこれ以上赤面したら肌の色が変わっちまうぞ、というところで、おれは技を試すのをやめた。


「でもいいじゃないか。一つ技を身につけたんだし」と励まされるのも、なぜか妙な気分になる。


「シャムりんたちも試したら?」

「いやよ、恥ずかしい」


 おいおい、こっちはすでに赤っ恥を快速急行で通過してますぞ?


 まあ、チャウ丸は某怪盗アニメに出てくるガンマンみたいだし、シャムりんは戦闘というよりも、いるだけで場が華やぐ癒し系だから、無理()いはできないよね。


 そこでチャウ丸が本を広げながら言った。


「おい、ここのページに三銃士のことがいろいろ書いてあるぞ」

 そしておれは本を受け取り、読んでいく。 



【Ⅴ】三銃士の真相


〈三銃士がマガハラ大陸に誕生したのは、領土が分かれて以来、戦がピークとなった動乱期頃と思われ、三百年続いていた戦国時代は救世主のごとく登場した三人の手によって治まり、終焉の時を迎えた。

 三銃士は勇者や聖者の職業を経たと言われ、戦闘をかさねることで習得した能力で火魔術と水魔術を自在に使いこなし、自然界の力を五感エネルギーに転換して天候を操り、時に大地をも動かす。

 現在のヤメーメ王国はもちろんのこと、嗅商王国、タンニシ王国、ガワヤナ公国があるのは、ひとえに三銃士による大陸統治革命によるものである。

 当時、タンニシ王国に従属していた数多(あまた)のエルフ族は奴隷解放宣言によって自由を手にし、ガワヤナ公国の支配下にあったドワーフ族は生物としての権利を取り戻した。

 三銃士は今もマガハラ大陸のどこかで正義のために戦っていることでしょう〉



 ············。

「三銃士、とてつもないね」とおれ。

「彼らはあたしたちのことを、その三銃士だと思い込んでるんだよね」

「でもさ。じっさいに、おいらたちは人間とフュージョンしたことで、その三銃士になったんじゃないか?」

「三蔵法師に?」


 そしてシャムりんはおれのほうを見る。

 あなたは珍念ね、という視線だ。


 ねえ、やめてよ、顔がひきつるじゃないか。

 何度も言うが、()()()()()()()()()


「この記述から言っても、まだまだ知らない能力が開発されてるって可能性もあるな」 


 ほんとにそうだったら、ワクワクドキドキだな。

 

 三銃士の記述のほかには、各国の特徴について書かれてある。

 それによると、嗅商王国はずいぶんと商業都市の歴史が長いらしい。

 今はどうだか知らないが、戦国時代頃のタンニシ王国はガチの独裁軍事国家で、タンニシ族は髪の毛がピンクで瞳はグリーン。動乱期では戦闘車輛をバンバン走らせて暴れ回っていたとか。

 ガワヤナ公国は人間への信仰がどこよりも篤い宗教国家で、ガワヤナ族は青髪が凍っているとある。

 両者は戦国時代から何度も戦争を起こしていて、相当仲がわるいみたいだ。

 三銃士が戦乱を治める前はどちらもエルフやドワーフを奴隷同然でこき使っていたようだし、両国ともにヤバそうだな。

 戦争が寡婦を作るように、節度のない強欲な国家に不条理な支配はつきものなのかな。

 

 奴隷かあ······なんかそういう世界、やだね。

 どっかに王道楽土な場所はないのかね。

 

 それらの国がどこにあるのかについては記述がなかったが、なるべく近づきたくないな。

 

 とそこで、前方からドーンッと爆発音が響いた。


 見ると、古い納屋が木っ端微塵になってるじゃないか!

 おいおい、またかよ!

 おれは防衛本能から咄嗟(とっさ)に身構える。


「見たか今の?」

「えっ、チャウ丸がやったの?」

「おいらの銃の破壊力、ハンパねえみたいだな。もしかすると、世界最強の格闘家とフュージョンしたかもしれねえな」


 もしそうなら最強の格闘家と言えば、たとえば、えーっと······まあいいや。 

 とにかくぶったまげたよ、ほんとに最強戦士になったんじゃないか。

 

 そこで大衆食堂のほうから民がゾロゾロやって来た。

「また敵ですか!」

 燃えさかる納屋を見ている。

「まあな、ちょうど追い払ってやったところさ」


 あーあーあー、嘘ついちゃってるよ。

 弁償求められたら厄介だもんね。

 

 にしても、思っていた以上に、人間とのフュージョンはどえらいことになってるみたいだ。

 しかもチャウ丸は、技の名前を唱えてないのにあの破壊力。


 それって、不公平じゃないすか。

 人間社会も富裕層と貧困層があり不公平きわまりないって聞くが、ここは異世界なんだし、それにしても······って感じだ。


 もしかすると戦闘で力をつければ、おれも唱えずして技を繰り出すなんてことができるようになるのか。

 うーん、まずは様子見だな。

 

 そこで村の民が言った。

「魔物を追い払ったわけですし、これから戦闘の神へご挨拶に行きましょう」


 んん? 神? なんだそれ?

 ひとまずおれたちは民について行った。


これからの時代、AIが小説を書くんですって······かなし

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