第14話 伝説の三銃士にまつわる古書
雪で電車止まるなどバタバタで更新です。
そこで村人たちがワーっと集まってきた。
「やりましたね!(バーのマスター)」
「さすがです!(クマ顔)」
「あなた方は救世主です!(シカ顔)」
「珍念さまぁ〜〜(カピバラ顔の女性)」
なんか知らんが、おれたちが追い払ったことになっているらしい。
ようやく手の痺れはおさまってきたが、おれはいまでも夢見ごこちだ。
「礼におよばんよ」とチャウ丸は民に応えて、すっかり悦に入っている。
その虚心坦懐な性格、うらやましいぜ。
そんなチャウ丸がこっちを向いて言った。
「せいぜいおいらたちはどこにいてもアウトローな存在なんだから、都合いいものに乗っかっとけばいいんだよ」
すばらしい哲学だ。
たしかに
おれ = 一生スポットライトとは無縁のしけたイヌ
だもんな。
だれかに認められることなんて、地球が逆方向に自転を始めるくらいなさそうだ。
「これであたしたち、この村で過ごしやすくなったんじゃない?」
シャムりんが言うように、おれたちはそのあと村人の歓待を受けて、大衆料理屋みたいなところで食事をごちそうになった。
そこではじめてマガハラ大陸の食べ物にふれたが、干した根菜や黒パンといった、わりとシンプルであっさりとした味つけのものが多いみたいだ。
この干物、なんだか新聞の折込チラシでもかじってるみたいな味だな。
これなら味の濃い村山家の御御御汁ぶっかけた〝ねこまんま〟のほうが、おれには合ってるのかな。
塩パンもあるということは、製塩技術も持っているということだろう。
ただ壁のメニューに掛かっている【ドロドロ魔液のかた焼きそば】というのがどうも気になるところだが。
チャウ丸は武勇伝をバンバンしゃべりまくり(もちろんすべて出鱈目だ)、それを聞く民が発言をメモしている。
まさか研究レポートに加筆するつもりじゃないでしょうね?
シャムりんはもともとチヤホヤされるのが得意な性格なのか、気の良さそうなネズミ顔のおじさんに足のマッサージをしてもらってる(モミモミ)。
おれは夜風に当たりたくて、借りたままになってる《出禁の書》を持って外へ。
そして誰もいない空き地に行ってページを開く。
どれどれ――
【Ⅱ】三銃士の秘術に関する報告
〈三銃士が使いこなすとされる秘術はおもに著作反発エネルギーからなり、放たれた瞬間に高エネルギー粒子と結合し、光速に近いスピードで発射されターゲットを破壊する〉
ふーん、なんか小難しいな。
ただ著作反発エネルギーってなんだ?
もしかして、本場の名前に気を遣うことで生まれる特殊なエネルギーとかじゃないよね。
読み進めていくと、術の難易度は六段階に分かれているのがわかった。
〝初級、C級、B級、A級、S級、SS級〟
最高ランクのSS級はトップクラスの術士だけが使えるらしいから、おれとは無縁と考えていいだろう。
この世界における魔の術士とは、生体に魔波を宿し、自在にコントロールする力を持つ者らしい。
ふーん、この世界には魔波ってのがあるわけね。
しかも酒場で民が言ってた獣魔気というこの国で使われてるエネルギーは、その魔波から転換したものみたいだ。
たぶんヤメーメは魔波を暮らしに活用する独自の転換システムを持ってるのだろう。
ただこの《出禁の書》には、初級とC級の秘術しか載ってない。
おそらくB級以上のものは、彼らも知らないってことかもな。
〈聴神の介在がなければまず扱うことはできないだろう〉とも書かれてあった。
神? どこにいんだ?
まあ、それはとりあえず置いとくか。
ちなみに超有名漫画のあの人たちのエネルギー弾って、正確には魔術なんだっけ?
そのあたりの設定については、ジーコの脳をもってしても不明だからパス。
でもたしか戦闘服に「魔」って書いてたような気がするから、遠からずな気もするけど。
よし次の項目。
【Ⅲ】物質の基本構造の研究
〈著作反発エネルギー粒子は、量子もつれの原理に基づき、量子フォーメーションを維持しながらエントロピーを増大させ、やがて出力エネルギーが10の3乗から5乗ワットに達すると――〉
うーむ······数理モデル系のうんたらかんたらは、イマイチよーわからんから、ジーコの脳のせいにしよう。
たぶん彼奴は理系が苦手なんだろう。
ほかにも物理学の研究報告みたいなことがつらつらと書かれてある。
〈著作反発エネルギーによって起こる作動は三マイクロ秒〉とあるが、要するに一瞬てことか。
エントロピー増大の法則とか、正の電荷を持っている陽子に関することは、専門的すぎるので通過。
この国にそんな研究をしている者がいること自体に驚きだ。
ただ著作反発エネルギーはかなりのものらしいな。
時には、山ひとつ吹っ飛ばすほどの破壊力を持つみたいだし、達人レベルになると惑星を破壊するエネルギーに相当するなんて記述もあるけど、ほんとかよ?
もしそんな奴がいたら、世界はすでに消滅してるだろうよ。
てことは、マガハラ大陸の伝説の三銃士は、彼らの妄想によるでっちあげか?
名前からして、どうも人間界への憧れをプンプン匂わせるところがあるからな。
ただ“エンペラー珍念”だけはどうだかわからんが。
あらためて〈コカン魔殺砲〉の項目に目を通したが、どうやら棒などを持って振ると、より的確に命中できるらしい。
その際、長い物より短い物のほうが敵に照準を合わせやすいとある。
豪速球投手に対してはバットを短く持って芯に当てやすくするみたいなことか。
しかもざっと読んだかぎりだと、どうやら戦闘経験によって自然と技の土台が養われるらしい。
つまり地道な積みかさねあるのみってわけか、ふぅ······。
まあ、咲いても実を結ばない徒花同然のイヌだったおれが謎の技を身につけたんだし、前向きに考えていかないとな。
仮にも技をどんどん習得したら、ほんとに伝説の三銃士みたいになっていったりして――。
ムホッ、それ、いいですねぇ。
となれば、おれもちっとは社会貢献して、廃れたヤメーメ王国を彩る華麗な花を咲かせてみせまひょか。
なんてテンションが上がったところで、さっきのバトルのせいか足が攣ってしまい、しばらく業火の地獄を見ることに······。
人間様のおカラダも、良いことばかりではないんですね······(痛)。
アレ、ほんとツライですよね。。




