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脅迫状事件【中編】

~一回目のティータイム~


「改めまして、私はヘレナと申します。ヘレナとお呼びください。」

茶色いボブカットの髪を内側に巻いた可愛らしい子女が自己紹介をする。


「僕はマルクスです。彼女の友人として付き添いで来ました。」

ヘレナの隣で同じソファに座る彼は黒髪で短髪の男子生徒。


「わたくしはディアナ ロレーヌです。ディアナと気軽に呼んでいいわ。」


「私たち庶民が侯爵令嬢様を呼び捨てだなんてとんでもございません。ディアナ様とお呼びさせて頂きます。」

ヘレナは両手を前でブンブンと振りながら遠慮気味に言ってくる。


庶民とは言っても、この学園に通えるということはそれなりに才に秀でている証拠だ。

ただ貴族だからという理由で学園に通っている者よりも余程価値がある。

しかし貴族の階級社会はまだ根強く蔓延っているため、位の低い者は態度をわきまえないといけないのが現状だ。


「それで、その脅迫状?はどこで手に入れたのかしら?」

自己紹介も終わり、今回の本題に入ろうとした時、


「さあ、僕に何でも話してごらん!」


いきなり現れていきなりこの場を仕切る人物にその場にいた全員があっけにとられてしまった。


サラサラになびく黄金色の髪、黄金色の目。

この国にいて彼を知らない者はいないだろう。


「「アルベルト王太子様!」」

ヘレナとマルクスが同時に叫ぶ。


侯爵令嬢の私でさえ彼女たちは緊張した面持ちだったのに、それが王太子ともなると更に緊張は増すだろう。


「何しに来たのよ。」

私は邪魔するな、という視線を彼に送る。


「やあディアナ。今日も君は美しいね。君に会いに来たら何やら彼女たちが相談していたから僕も仲間に入れてもらおうと思ったんだ。だって困った生徒がいたら助けるのが僕だからね!」

無駄に良い容姿でキラリン☆と効果音が流れそうな満面の笑みを浮かべる。


ヘレナとマルクスはその王族オーラにやられて目をキラキラさせてしまった。


こいつがいると話が進まない。

そう思った私は無言で立ち上がり、ドアの方へ移動した。


ドアをガラガラと開けた私は外の廊下に向かって、


「衛兵ーーー!王太子はここでーーす!」


と大きな声で叫んだ次の瞬間。


「ここにいたかアルベルト王太子!」


「げ!ルイス!」

見つかった!という顔をするが時すでに遅く、アルベルト王太子の首根っこを捕まえたのだった。


「ディアナ様感謝致します。生徒会の仕事もあるのにいなくなったのでみんなで探していたのです。」


「いいえ、いつでも協力するわ。」


アルベルト王太子はディアナー!と情けない叫び声を上げながらルイスという付き人にズルズル引きずられて言った。


「主人が自由奔放だと侍従は苦労しますね。」

ボソリと呟くアンナの一言は私には聞こえない。


「これでよし。」

パンパンと手の誇りを取るような仕草をしながら、邪魔ものを追いやったところで本題に入りましょう、と二人に笑顔を向けるのであった。


静かになった部屋でアンナがティーセットを用意してくれた。

「こちらカモミールティーでございます。」


「まずは一口どうぞ。」

緊張しているようなので落ち着くようにカモミールティーを即してみる。


「あ、ありがとうございます。」

ヘレナはコクリとカモミールティーを一口飲みこむ。


「お、美味しい。それになんだか気持ちが落ち着くようです。」


「ふふ、カモミールティーは緊張をほぐしたり、気持ちをリラックスさせる効果があるのよ。特にこの茶葉は生産地であるリグネル領から直接仕入れているから新鮮で香りもより楽しめるのよ。」


「さすがは皆さんが憧れるディアナ様ですね。ありがとうございます。」

少しリラックスできたヘレナに対して私は先ほど邪魔者によって聞けなかった本題を改めて聞いてみる。


「それでその脅迫文はどこで手に入れたの?」


「これは教室の机に入っていました。今朝これを見つけて、どうしようか困っているのを同じクラスメイトのマルクスが気に掛けてくれて声をかけてくれたんです。」


「あんな不自然にうろたえてたら気になってしまうよ。」

今も心配そうにマルクスはヘレナを見つめている。


「二人は仲がよろしいのね。」


「そうですね、マルクスは私が困っているとよく助けてくれます。」

「同じ庶民同士分かり合えることが多いからさ。」

二人は同じクラスメイトととして普段から交流があるのであろうことが雰囲気でわかる。


「それで、心当たりはあるのかしら?クライブ伯爵とはどのような関係?」

私は次に気になったことを聞いてみる。


「クライブ伯爵様とは何もありません!」


「けれど脅迫状には「これ以上近づくな。」と書いてあるわ。これ以上、ということは今既にクライブ伯爵と関係があるって意味に捉えることが出来るけど。」


「クライブ伯爵様はたまに話しかけて来てくれるくらいで、特別仲が良いってことはありません。だからなんでこんな手紙が入っているのかもわからなくて。。ディアナ様が生徒相手に悩み相談を受け付けていると聞いて、私にはわからないことも解決してくれるのではないかと思ってこちらに伺いました。」

なるほど、あの恋愛相談たちも意味はあったわけね。

こんな重要な悩み相談が来るんだから。


「俺はイザベラ子爵令嬢が怪しいと思っている。」

神妙な顔をしたマルクスが私に助言してくる。


「イザベラ子爵令嬢?」

私は言われた名前の令嬢を思い出していると、マルクスが説明を続けてくれた。


「イザベラ子爵令嬢は俺たちと同じクラスなんだけど、貴族と庶民をハッキリと分けてくる、感じの悪いやつなんだ。クライブ伯爵様のことを好いているみたいだし。」


言われて思い出した、ある舞踏会であからさまに媚を売ってきた令嬢だ。

位の高い貴族令息にも声をかけていたのを思い出す。


「なるほどね。ではイザベラ嬢とお話してみるから、何か進展があったら教えて欲しいわ。あ、その間は犯人を刺激しないように念のためクライブ伯爵とは接触しないようにしましょう。」


「クライブ伯爵様とは元々お話することはありませんが。。承知しました。」

「俺も何かわかったことがあったら声をかけるよ。」


事件の詳細はまだわからなかったが、今の情報だけではさすがに犯人を特定することは難しいため一旦解散することになった。


「明日はちょうど学園も休みだし、イザベラ嬢と会えないかアポを取ってくれる?」

二人がいなくなって静かになった部屋でアンナに指示を出す。

「かしこまりました。」

アンナは丁寧なお辞儀と共に主人の命令を聞いてくれた。




~2回目のティータイム~



「ディアナ様のご自宅にお呼ばれされるなんて夢みたいですわ!」

件の容疑者候補の一人であるイザベラ子爵令嬢を我が家のお茶会に招待したらすぐに来てくれた。


「昨日の今日で急に誘ってしまって申し訳ないわね。」


「いいえー。ディアナ様とお話できるのであればこのイザベラいつでも予定を開けますわ。」

上位貴族である私に声をかけられたことが嬉しかったのか上機嫌で受け答えしてくれる。


ガラガラと言う音と共に銀色のワゴンにティーセットを乗せてアンナが侯爵邸の応接室に入ってきた。


「こちらダージリンティーでございます。」

紅茶の紹介と共に私とイザベラ嬢の前にセットしてくれる。

お互いの中央には茶菓子と共に。


「ダージリンは紅茶のシャンパンとして有名だけど、これは王族御用達の老舗店から仕入れているの。深い味わいと香りを楽しみましょう。」


「王族御用達!さすがはディアナ様ですわ!」

特別な紅茶を貴女のために用意した、と自分が特別扱いされているとわかればより上機嫌になって口も開きやすいだろう。

イザベラ嬢が離しやすい空間を作ろうと思い、紅茶と共にまずは雑談をした。


そろそろかしらね。

イザベラ嬢の楽しそうに話す様子を見て私は本題に入ることにした。


「時に、クライブ伯爵とは仲がよろしいのかしら?」


「え!」

さすがに突然過ぎたか?

件の名前に反応を示すのを見て心の中で少し焦る私。


少しの静寂の間があった後、


「そうなんです!どうしてわかったのですか?!さすがは恋愛マスターのディアナ様!!」

両手を前で組みながらキラキラした目線を私に向けるのだった。


「れ、恋愛マスター?」

私は絵も知れぬ呼び名に脱力した。


「ええ、ディアナ様はあの王太子様をメロメロにさせただけではなく、数多の女子生徒たちの悩み相談を見事解決に導いているとお噂ですわ!」

ノリノリに話すイザベラ嬢とは反対にテンションがドンドン下がる私。


ま、まあ悪いことではないからいいかしら。

その件に関しては今は諦めるとして。


「そのクライブ伯爵と庶民の子が仲良くしているって話とかはないのかしら?」

敢えてヘレナの名前は伏せた。


「そうなんです!聞いてくださいディアナ様!私はクライブ伯爵様と仲良くしたいのに、彼はたくさんの女性たちに声をかけるんですの!しかも庶民なんて私たち貴族が相手にする者ではありませんわよ!」

キー!って言いながら自分が持っていたハンカチの一部を口で噛みしめる。


「不特定多数の女子生徒に声をかけているってことね。では特定の相手はいないってこと?」


「そうですわね。クライブ伯爵様を狙っている女子生徒は多いので、もし特定の誰かがいたらきっと噂になるに違いありません。」


「そうなの。」

私は思っていた反応とは違ったので少し考えてから、


「もし特定の誰かがいたらイザベラ嬢ならどう対応するのかしら?」


踏み込んで質問してみた。


「私なら。。」

彼女の反応を伺う。



「その女性を呼び出して正々堂々と勝負ですわ!って宣言しますわ!庶民にこの私が負けるはずありませんもの!」

おーほほと胸を張って答える。

確かにマルクスの言った通り彼女は貴族と庶民をきっちり分けた考えのようだ。


「そうですわね、イザベラ嬢らしいですわ。」

このお茶会の時間だけでも彼女の人となりはなんとなく把握した。

その後は学園のことやお互いのことなどたわいもないことを話して解散するのだった。




「アンナはどう思う?」

イザベラ嬢を帰した後で自室に入り、休憩している時に自分の身の回りの片づけをしているアンナに意見を求めてみた。


「私にはなんとも。そのクライブ伯爵子息の恋愛関係でのいざこざかな、と思うくらでしょうか。」

アンナは手を動かしながら素直な感想を述べてくれた。


「そうね。今のところその線が一番濃厚かもしれないわね。」

ヘレナに何か危害が加えられないかだけが心配だ。

何かが起こってしまう前に対処したいと思い他の貴族子女たちからも少し情報収集しようかしら。


そう思いながら休み明けの学園に行き、いつものように相談室に向かっている時だった。


「ディアナ様。」

振り返るとヘレナと一緒に相談に来ていたマルクスだった。

「マルクス、あの後ヘレナに何か変わったことはあった?」

話しかけられたけど、相手の話をまたずに一番気になっていたことを聞いてみる。


「あの後は特に変わったことはありません。ディアナ様の方はどうでしたか?」


「こちらも特に大きな収穫があったわけではないわ。クライブ白雲にも話を聞こうかなと思っているところよ。」

私は現在の進行状況を伝えた。

「クライブ伯爵様もあまり良いお噂は聞かないですね。不特定多数の女子生徒に声をかけたりしていて、庶民は世間知らずだからそれでなびくと思っているんだ、ヘレナにも贈り物したりしていたし。」

昨日のイザベラ嬢に聞いた女子生徒に声をかけていると言うクライブ伯爵の噂は有名らしい。


「とにかくヘレナも不安でしょうから、早く解決できるように私も協力するわ。」

「自分もなるべくヘレナの傍にいて支えよう思います。」


私はこの脅迫文に関わる最後の人物との接触を試みるのだった。





~3回目のティータイム~




「でわ今宵もこの宴を楽しもうではないか!」

黄金色の髪の毛、黄金色の瞳の人物が豪勢な装いの彼の乾杯の音頭と共に会場にいる貴族たちが次々に近くの者たちと乾杯していく。


キラキラと輝くアルベルト王太子の周りには貴族令嬢たちが群がっている。

きゃーアルベルト王太子様ー!素敵ー!と口々に彼への賛辞を述べている。


「あのキラキラには女性を虜にする怪しい成分でも入っているのかしら。」

王太子程ではないが夜会用にドレスアップした私は呆れるようにかの人物を見ていた。

「その割にはそのキラキラは麗しのディアナ様には効いていないみたいですね。」

私の横にいた人物が呆れる私に向かってさりげない褒め言葉を言ってくる。


「まさかあのディアナ様から声をかけられるだなんて光栄の極みですよ。」

ニカっと笑った時に見える歯がキラリと輝いて見える。

普段からあの金ぴか王太子の相手をしている私には免疫があるが、キラキラに免疫のない女子生徒はコロリといってしまうかもしれないと納得した。


「前々からクライブ伯爵とは話してみたいと思っていたのよ。別室を用意しているからそちらでどうかしら?」

「まさかディアナ様がそんなに積極的だったとは!ええ!ええ!もちろんお供しますとも!」

私は始まったばかりで賑わっている会場を後にして、用意していた別室に彼を誘導した。



部屋に入ると先ほどまで貴族子女たちにきゃーきゃー言われていた金ぴか王太子がソファに座っていた。

「遅いぞお前たち!」

ふんぞり返るアルベルト王太子は部屋に入ってきた私たちを見て開口一番に文句を言ってきた。

「いやあんたが早いだけですから。周りにいた令嬢たちを振り切って全力疾走して。」

いつもアルベルト王太子に振り回されている付き人のルイスがソファの後ろに立ってブツブツ文句を言っている。


「あ、アルベルト王太子?!何故ここへ?」

王太子の存在に驚いたクライブ伯爵が当然の疑問を投げかける。


「ごめんなさいね。私が呼んだの。クライブ伯爵と話をしたかったのだけれど、二人だと変な噂になりそうじゃない?何もなかったときちんと証言できる人を呼んでおいたの。」

だからと言って王太子を呼ぶだなんて、と項垂れている彼を王太子が座っているソファの向かいに座らせる。

「アルベルト様もせっかくの夜会なのにお時間ありがとうございますね。」

一応お礼を言いながら、私は王太子の横に腰を下ろす。

「ディアナのためならいつでも駆け付けるよ。」

これまた普通の令嬢なら虜にされるであろうイケメンスマイルでキラキラを飛ばしてくるが、早めに話を進めようとそれは無視することにした。

「アルベルト王太子、毎度毎度相手にされてないのにめげないんだから。。」

再びソファの後ろでルイスがブツブツ言っている。


コンコン。


「どうぞ。」


「失礼致します。」

声の主はこのティータイムのためについてきてもらった従者のアンナだ。

彼女はいつもの様に優雅なたたずまいで華麗にティーセットをセッティングしていく。


ティータイムとは言っても夜会の時間なので、真ん中に置くのはいつもの様なお茶菓子ではなく、軽くつまめるような前菜を用意した。


私、アルベルト王太子、クライブ伯爵の前にそれぞれカップを置いていく。

ルイスは付き人のためそのままの姿勢だ。


「ジャスミンティーですわ。ジャスミンティーは花の香が特徴的ですが、食事の風味をより引き立てつつ、口の中をさっぱりさせて食事をしやすくするんですよ。」


「さすがは僕のディアナ。相変わらず紅茶には詳しいんだね。」

そう言いながら出されたアルベルト王太子はジャスミンティーをぐびぐび飲んでいく。


王族に嘘をつけば偽証罪、不敬罪などの罪に問われる可能性があるため、伯爵位の彼が嘘をつかないように一応配置しておいたが。


この男、少し邪魔ね。


令嬢たちの憧れの的の王太子を邪険にするのなんて私くらいだろう。


「それで、わざわざこんな場をセッティングして何のご用件ですか?」

クライブ伯爵は諦めたようで、目の前の前菜に手を付けながら、さっさと用件を済ませてくれって態度に変えてきた。


「話が早くて助かるわ。では単刀直入に聞きます。最近庶民の女子生徒たちと何かトラブルとかはなかったかしら?」


「トラブル?いや、特にないと思いますけど。」

考える素振りをしながらハッキリと言う。


「庶民の不特定多数の女子生徒に声をかけていると噂を聞きました。」


「そ、それは、そうですが。。でも可愛い女の子と楽しく話したいだけでそれ以上はありませんよ!僕にも一応伯爵家跡取りって立場がありますから。」

両手を前でブンブン振りながらやましいことはないですって矢継ぎ早に言う。


「イザベラ子爵令嬢とは何かあった?」


「イザベラ嬢?いや彼女とも特に。庶民の女の子と話していると急に間に入ってくるくらいかな。」


「そう、なの。」

言っていることに矛盾は感じられなかった。

わざわざこんな場も用意したのに今回も収穫なしかと落胆していた。


「やあやあ話がよくわからないのだが、要はそこのクライブが不特定多数の女子生徒相手に口説いているってことが問題ありってことかね。」

急に金ぴか王太子が話に入ってきた。

後ろでルイスが話の邪魔しない!って王太子に怒っている。

彼もまた王太子に気兼ねなく話が出来る貴重な人物だ。


「く、口説いてるってわけでは。。」

王太子の質問にたじろぐクライブ伯爵。

伯爵位も王太子相手では普段通りの振る舞いは出来ないみたいね。


「本当に女の子と楽しく話せたら良かっただけです。誤解されないように話す以上のことはしていません。二人きりで出かけたり、贈り物したりとかそういうことはしないように気を付けていました。」


「ほほう?」

なおも怪しげな態度にクライブ伯爵は思わず、

「それを言ったらアルベルト王太子だってどうなんですか!常に女性にチヤホヤされてますよ!」

何故か矛先が王太子に向かった。


「僕はチヤホヤされるため存在しているようなものだからね!」

ドヤ!っと謎に自信満々に腕を胸の前に組みながら胸を張る。

「みんな引いてますよ。。」

ルイスが周りの状況を王太子に耳打ちするのを見て、彼の苦労が知れるようだわ。



「わかったわ。ではヘレナって同じクラスの女子生徒ともただ話をしてただけなのね。」

これ以上収穫はないかと思い、話をしめようかと思ってヘレナについて聞いてみた。


「ヘレナ?あーあの象のペンダントの子か。」


「象?」

聞きなれない単語が出たので聞き返してみる。


「この前渡り廊下を歩いていた時に、彼女が象のペンダントを落としたから声をかけて渡したんです。象のペンダントだなんて珍しいからなんとなく覚えていて。あ、でもそれだけですよ!それを餌に何かしたとかないですからね!」

途中から焦ったように言い訳をする。


「そこは信じるわ。貴重な時間を割いてくれてありがとう。アルベルト王太子も会場にお戻りください。みんなが待っているますよ。」

私は二人にお辞儀をして礼を言う。


「えー!僕は会場よりディアナと一緒にいたいー!」

「あんたは今日挨拶しないといけない人たちがいるでしょ!行きますよ!」

我がままを言うアルベルト王太子をルイスが首根っこ捕まえてズルズル引っ張っていく。

もう何度引きずられていく王太子を見ただろうか。


「ディアナ様。もし協力出来ることがあれば何でも言ってくださいね。」

クライブ伯爵は私の手を取り、手の甲に軽くキスをしてからアディオス!☆とウィンクしながら部屋を出て行った。

王太子がいなくなったので本来の彼の様子が垣間見えた瞬間だ。


「どこが誤解されないようにしているのよ。」

私は呆れながらキスをされた手の甲をハンカチでゴシゴシと拭くのだった。




またしてもアンナと二人きりになった静かな空間で、優秀な従者である彼女は指示される前にテーブルの上に残されたカップ等を綺麗に片していく。


「結局この脅迫文事件はどうなったのでしょうか。」

アンナは片づけをしながらこの事件の事の顛末を私に聞いてきた。



「そうね。少しだけ思い当たったことがあるわ。」


それぞれの話を聞いて私は少しだけ引っかかったことがあった。


それを確認してみるか、と思いながら今回の茶会は解散したのだった。




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