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 さすがに血まみれのまま砂浜に戻ったら皆がびっくりしちゃうから。とシリルが言うとベンさんはちょうどいいとばかりにロープを持って海へと飛び込んだ。

 そして、すっかり動かなくなったサメをロープで縛り付けてから、ゴムボートの上に上がってきた。

 包丁で刺したからか、サメから出た血で海が赤く染まっていく。

 ベンさんは縛ったロープの先を持ったまま、ゴムボートを発進する。

 すると繋がれたサメはそのままゴムボートの後ろをついてくる。

 

「え、持っていくの?」

「ウー?」

 

 何で僕が間違ってるみたいな風に、首を傾けるんだ?

 そのまま僕らが通っていく所に血の染みを残しながらゴムボートは進んでいく。

 シリルも今日は御馳走だな。とご機嫌だ。

 日が昇ったからか、浜に近づいていくと人が増えている事がわかる。

 サーファーだけでなく、浜で砂遊びをしている家族連れや、パラソルが沢山出ている。

 人気がある海なのかもしれない。

 売店も僕が水着を買いに行った時には一軒しか開いていなかったのに、屋台などが沢山出ていた。

 さすがにそんな中にサメを繋いだゴムボートを着陸させる訳にはいかないと、サメを持ったロープを持っているベンさんの代わりにシリルがゴムボートを操作して、人気のないような場所へと誘導する。

 随分駐車場から離れてしまったが、ポツリと開いた岩場にゴムボートは着陸した。

 

「ウーウー」

「うん、わかった」

 

 ベンさんが何かを言って、一人で歩いていってしまう。

 

「父さんは車を取りに行ったから、僕たちは片付けでもして待ってよう。それに腹も減ったし、何か買いにいって食べよう」

 

 シリルがテキパキとゴムボートの空気を抜いていく。

 そして、抜けるまで抑えとけといって、僕に任せて、シリルはサメの方へと向かっていく。

 危ないよ。と思ったけど、シリルは気にせずサメを引きずってきたロープを掴み、その辺にあった岩に流されないように繋いでいた。

 サメはぐったりとして、無抵抗のままだった。

 本当に死んでしまったのだろうか。

 ベンさんは包丁一本で倒してたけど、凄いな。

 この町で生き残るには、やっぱり筋肉が必要なのかもしれない。

 その前に、サメって食べれるのかな?

 っていうか、ゴムボートと同じくらいの大きさがあったけど、車に乗るの?

 考え事をしていると僕の手が止まっているとシリルが文句を言ってくるから、空気を抜く事に専念する。

 二人で片付けをしていたがベンさんはまだ帰ってこなかった。

 駐車場とは離れた所についたから、時間がかかっているのかもしれない。

 だから、二人で何か食べる物を買いに行く事にした。

 荷物は多く持ち運ぶのも大変だから、岩場の影に隠しておいた。

 

「大丈夫かな?」

「こんな所まで入ってくるやつなんて、ヤリ目の奴らだけだろう」

 

 それもそうか。

 二人で歩いていると、やけに浜辺に居る人たちに注目されている事に気づいた。

 ビキニを着たお姉さん達は、みんなシリルの方を熱っぽい視線で見ていた。

 忘れていたけど、シリルは客観的に見て、とても美少年だ。

 東洋系の血が入っているのか、珍しい黒髪にグリーンの瞳。

 口を開かなければ、とてもモテそうだ。

 気づいた途端に、凄い居心地が悪くなった。

 

「ねえ、君達私達と一緒に遊ばない?」

 

 考えていたら早速ナンパされているが、シリルは華麗に無視をした。

 慣れっこなのだろうが、僕は慣れてない。

 ペコペコしていると、水着を着た二人組はすぐに興味を無くし、別の男の人に声をかけていく。

 む、虚しい。

 足を止めていた僕に気がついたシリルが僕の腕を引く。

 

「ロイ、離れるなよ。迷子になるぞ」

「だ、大丈夫」

「本当かよ」

 

 呆れたように言ったシリルが、腕を離してくれる事はなかった。

 屋台について早々にシリルは甘そうなアイスクリームを頼み、僕はお腹が減ったのでホットドッグとジュースを頼んだ。

 ついでに持ってきていた空き缶を捨てた。

 シリルは無表情ながらも、アイスを食べる手は止まらない。

 何でこんなにシリルは甘いものばかり食べたり飲んだりしているのに、太らないんだろう。

 神様って不公平だ。と思いながら僕はホットドッグにかじりつく。

 マスタードが効いていてとても美味しい。

 海に来たのなんて、何年か前に家族と来たのが最後だ。

 父さんと母さんはいつ迎えに来るんだろう。

 色々な事がありすぎて、この街に来たのも遠い昔のように感じる。

 

「どうした?暑さにやられたか?」

 

 手が止まっていた僕にアイスを食べ終えたシリルが、気を使って話しかけてくれる。

 

「だ、大丈夫だよ。ただ、いつ母さん達が迎えに来るかな。って思っただけ」

「何だ、ホームシックか」

 

 呆れたように言われて、ちょっとムカっときた。

 だって母さん達は電話の一本もしてこない。

 僕の事を捨てたんじゃないかって、不安にもなる。

 

「知らない土地にいきなり放りこまれれば心配になるのもわかるが、あまり気にするな。迎えに来るって言ってたんだろ。あっちだって忙しいかもしれないしな。自分で聞くのが恥ずかしいっていうなら母さんに聞けばいい。母さんなら連絡ぐらいとってるだろう」

 

 一応心配されているようだ。

 初めは冷たいと思っていたけど、以外とシリルは優しい。

 誰にでもって訳じゃないだろうけど。

 僕は友達になれたのだろうか?

 のんびりとホットドッグを食べながら海を見ていると、何やら沖の方が騒がしくなってきている事に気がついた。

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