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第二話 旅の準備

2. 申し込み


 『サンライズ瀬戸・出雲』号を利用した、今回の旅。ならもう少し詳細を詰めよう。

 というか、欲が出た。どうせ『サンライズ瀬戸・出雲』号に乗るのなら、乗り倒したい、と。

 その為計画は、金曜夜出発――(サンライズ瀬戸)――土曜朝高松――(レンタカー)――出雲で宿泊――(レンタカー)――日曜出雲大社早朝参拝――(レンタカー)――山陰観光――(レンタカー乗り捨て)――出雲市駅から帰路――(サンライズ出雲)――月曜朝東京着という、我が儘プラン。これは、出雲大社参拝は早朝一択。となると、サンライズで出雲に行ったら到着は10時。それからバスまたは電車で大社に行くと11時。神社仏閣への参詣は、神様を拝みに行くのであって観光客の後頭部や禿げ上がった頭頂部を拝みに行くことが目的じゃない。なら、観光客が動き出す、朝9時には参詣を終わらせるのがベスト、というのが、計画の前提。

 そして日曜日は一日、山陰観光に時間を割ける。松江まで足を延ばして日帰り温泉、というのもアリだろうし、境港で魚介の買い出し&食い倒れ、というのも楽しいかもしれない。

 それから、レンタカー。オリックスレンタカーの営業所が、JR高松駅前とJR出雲市駅前に、それぞれある。そしてHPで調べてみると、乗り捨てオプションもしっかりあった。なら、朝に高松に着いて、しまなみ海道とやまなみ街道を経由して夕方に出雲に着く予定を組める。

 現地の予定は完全に空白だから朝は高松でうどんを食べて、昼は道後で足湯に浸かり、そして早めに出雲の宿に入ってゆっくりして、翌朝は早朝参拝。

 更に参拝後にもう一度温泉に浸かり、チェックアウトは遅めにして、夕方までの時間は未定。それから早めの夕食を食べ、夜食になる軽食を買ってサンライズを待つ、というのが、この旅の全行程となるはずだ。


 そのプランを前提に、旅行会社の窓口に。

 今は旅行会社の窓口もまた予約前提だから、時間指定してその時間に訪れて、上記の計画で旅行を設計してもらうよう依頼したところ。

 ……窓口のお姉さん、「サンライズのツインの予約は取れたことが無い」とのこと。ちなみにチケットの旅行会社割り当てというのは、昔はあったけど今はなく、ただ旅行会社の端末から直接予約が可能な分だけみどりの窓口より有利、という違いがあるのだとか。だから諦めて、B寝台シングルを二室、予約することに。ちなみに、透析患者は障碍者Ⅰ種に該当する為、随行介護一名まで含めて乗車券半額(特急券・寝台券には割引なし)になる。

 なお「シングルDX(デラックス)」ではなく「B寝台シングル」としたのは、単純に筆者がチキンだから。部屋数の少ないシングルDXを予約しようとして、結果取れず、挙句B寝台シングルさえ取れないってことになったら嫌だから、と安全(あん)(パイ)狙いで。

 そして、旅行予定日の一ヶ月前の応当日、令和四年5月10日、まずは往路のチケットの手配と相成った。

 結果的に、「四室押さえられた。好きな部屋を選べ」と。……予約が厳しいのはツインやシングルDXで、B寝台クラスなら部屋が選り好み出来るのか、とちょっとorz.(をるつ)してしまった。まぁ隣接部屋で。この様子だと、復路の予約も問題は(多分)なかろうと、楽観的に。……これがフラグになるとは、この時は思ってもいなかった。

 ちなみに予約したB寝台シングルは、喫煙車。筆者は煙草を()わないが、母は喫う。そしてこのことで周囲の人や医者からは色々言われているのだけど、煙草を喫わないことで溜めるストレスを考えるのなら、煙草を喫うことで蓄積する毒素なんか、些細な問題。「余命三年」(あと二年)と宣告された透析患者のQOLクォリティ・オブ・ライフに比べたら、それで縮まる寿命など些細な問題だろうから。

 それを言ったら、透析患者である母は、食事制限他色々な制限が課せられている。けど、うちはそれら全てを無視している。制限を掛けられることでストレスを溜めるくらいなら、と。

 結果。美味しいものを食べた翌週の、各数値は明らかに悪化する。けど、その更に翌週には、それが改善する。つまり、暴飲暴食したら数値は悪化し、それを止めれば改善する、というのであれば、普通の健康な人間より余程健康な代謝反応を示していると言えるのではないだろうか。なら、現状が最善。なら、今回の旅行でも、美味しいものを食べまくろう、と話している。


 ちなみに。旅行会社経由で今回の旅の手配を行ったところ、何故かこの旅行にタイトルが付いていた。


 【エースセレクト】夕食は日本海の海の幸や郷土料理が楽し


 ……【エースセレクト】という時点で、旅行会社がばれるな(笑)。

 ちなみに、このワードで検索をしてみたところ、このタイトルのツアーは他に存在していなかった。だとすると。

 誰の命名か。そのネーミングセンスがちょっと気になる。


◇◆◇ ◆◇◆


3. 用意


 立てたフラグもなんのその、復路のチケットも無事押さえることが出来て。あとは実際の旅行開始までに、色々用意する必要がある。

 まずは、現地の観光計画。なんせお仕着せのツアーのように分秒単位で行程が組まれている旅行ではなく、スケジュール表の大半が空白の旅行だ。ちゃんと現地の状況を知っておかないと、時間を持て余す(『突撃!辺境となりのカレー屋さん(n0227ex)』参照)。景観か、食い倒れか、温泉その他施設利用か。最低限そのあたりのテーマを定めておかないと、逆に何も出来なくなる。

 次いで、『サンライズ瀬戸・出雲』号に関する予習。動画投稿サイトで、いくつか見ることに。……事前に知っておかないと、いざ乗車してから困惑する、或いはこんなことが出来たんだ、と後になって悔やむことになるかもしれない。けど今の時代、事前にそれを学べるのだから、ある意味いい時代になったものだ。……その分、「意外な出会い」が減っている、ともいえるけど。


 ところで、この『サンライズ瀬戸・出雲』。実は推理小説界隈で有名な、時刻表トリックを使える列車でもある。『サンライズ瀬戸・出雲』号は、21時50分に東京駅を発車する。そして途中熱海駅には、23時21分に到着する。

 けれど、『新幹線こだま813号』だと、22時12分に東京駅を出て、熱海駅着は22時53分。つまり、「サンライズに乗り遅れたはずだから、サンライズ車内での殺人に関与することは出来ない。だからアリバイが成立する」というトリックに使えるのだ。まぁあまりに有名過ぎて、推理小説界隈ではもう誰も使わなくなっているそうだけど。それ以前に、時刻表アプリの登場で、このトリックはそのジャンルごと推理小説業界から消滅してしまったのだそうですけれど。

 なお、海外では時刻表トリックが成立するのか? というネタで書いたエッセイが、『時刻表トリック(n8727hq)』。一発芸ネタだったので、どうせならと200文字小説(「小説家になろう」に掲載する為には、最少でも200文字以上書かなければならないというルールがあるので、その最少文字数の小説を執筆することを「200文字小説」といいます)にチャレンジしたのがそのエッセイ。

(2,865文字:2022/06/10初稿 2022/06/14投稿予約 2022/06/16 14:00掲載予定)

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