24.二人の盗賊
お知らせです!
1,来週はテストまじかなので、投稿できない可能性大です。ごめんなさい!できるだけ投稿できるようにします!
2.この作品のジャンルは現在、ハイファンタジーとなっていますが、異世界〔恋愛〕に変更するかもしれません。確定ではないので一応ご承知おきいただければ幸いです。
長々と失礼しました!それではどうぞ!
ここまで近づいていたのに、気づかなかった。会話に気を取られていたとはいえ、私たち二人に気付かせない腕前の持ち主ということか。
「何者だっ!?」
私たちを認識した男がそう叫ぶ。
私はとにかく主を守ろうと、エリオを背に庇うようにして身構えた。
「迷い込んだ子どもって感じじゃあなさそうだ……ここまで誰にも見つからずに来ていたようだしな。」
私たちを若いからと隙を見せず、逆にどんどん警戒心を強めていくのがわかった。
見つかってしまったものは仕方がない。とにかく、早く沈静しなければ!
そう思って、男へと距離を詰めようとしたその時だった。
「兄さんっ!急にどうし……えっ、セシル、くん?それにエリオくんも……どうしてここにいるの!?」
一人の女が現れた。
この声はまさか……
「フレアさん?」
そう、そこにいたのは先日再開したフレアだった。
私が困惑していると、後ろにいたエリオが私の隣に立った。
「フレアさん、まさかあなたも盗賊の仲間だったんですか?」
エリオの言葉は疑問形をとっているけれど、もうすでに確信を得ているような重みがあった。
「……盗賊の拠点地だってことを知っているのね。そうよ、私も盗賊の仲間。それで君たちは誰?ただの少年ってわけではないでしょ?」
「王城からこの盗賊騒ぎの収拾に来た者……とだけ言っておきましょう。」
「王城から!?」
2人はそんな大事になっているとは知らなかったのであろう。大層驚いていた。
「本当はこのまま立ち去るつもりだったんですが……仕方ありません。セシル、この2人は先に連行していきます。」
「はい……そういうことですので、ご同行願えますか?あまり手荒なことはしたくないので、おとなしく捕まってくれるとありがたいのですが。」
「はいわかりましたとここで自首するわけねえだ……ろう!!」
言葉の途中であるが、男、フレアの兄と思われる人物がこちらに向かってきた。
こうなってしまうことは予想通りだったので、冷静に対処する。
見つかってしまったことには焦ったが、問題ない。実力は私の方が上だ。けれど、剣をかじっているのか、喧嘩慣れしているように思えた。
繰り出されたこぶしをサッとよけると、腕をつかんで力に逆らわず、そのまま地面に流すようにして体を叩きつけた。
痛みで身もだえている隙にロープで腕と足を縛る。
ほどけないことを確認すると、フレアの方をみた。
「あなたは?」
「私に武術の心得はないの。抵抗はしません。」
言葉と共に、両手を挙げた。
私は頷くと、同じように、ただしこちらは優しめに縛った。
知り合って間もないとはいえ、一度は楽しく食事をした人をこのように対応しなければならないのはとても心が苦しかったが、任務だと割り切るしかない。
「エリオ様、これからどうしますか?」
「うーん、そうだね……ここにいても見つかる可能性はあるから、さっさと戻ろうか。」
4人になった私たちは、2人で会った時よりも移動が大変だったが、何とか出口までたどり着き、近くにあった馬車を借りて出発した。
誰も何も言葉を発しない空間で、非常に重たい空気が漂っていた。ただ、私は馬車を操っているため、何とかその中から逃れられていた。
いよいよ何とかこれを変えようと思ったのか、厳しい目でエリオが質問を投げかけた。
「……どうして君たちはこんなことをしていたんだい?」
私も同じことを思っていたので、代わりに言ってもらえたのはありがたかった。
質問を聞いた二人は互いに顔を見合わせ、それから、兄の方が苛立ちの滲む声で言った。
「そんなもん決まってるだろ?生きていけねえからだ。好き好んでこんなこと、誰がやるもんか。」
今みたいに捕まっちまうしな、と自虐的に付け加えた。
それを聞いたエリオは訝しげな顔をした。
「それはおかしいんじゃないか?いくら敵国の領地だったとしても、そこに住んでいる民に罪はない。それに今はあの国は我が国の属国だから、アガートラーム王国の民も同然。だからこそ食料や必需品が足りていないところには配給されるようにしているんだ。」
思わぬ情報が手に入った。
……そうか、今のフォルトゥーナは属国扱いになっているのか。
すでにアガートラーム王国の領土と完全にはされていないのなら、まだ希望はありそうだ。
やはりエリオは情報をたくさん持っている。最初こそ面倒なことになったと思っていたが、多少強引でもエリオに雇ってもらうとかしていく方が得策かもしれないな……
と、頭の片隅でそのようなことを考えながら、フレアたちの会話もしっかりと耳に入れる。
あれ?何かエリオの言葉に引っ掛かった気が……
「は?そんなこと一度だってされた記憶はねえぞ?少なくとも俺の住んでるシルコアーレではな。」
「え?」
それだっ!
私もシルコアーレへ行ったが、そんなことが行われている様子はなかった。酒場で飲んだりと、満足な生活を送っていたのはアガートラーム王国兵ばかりで、シルコアーレの住民たちはとても暗い顔をしていた。
それを伝えると、エリオは苦い顔をした。
「セシルがそういうなら間違いないんだろうね……。まさかそんな状況になっていたなんて……。もっと情報を集めなければ……」
と、独り言のように何か言っていた。
そのあとはまた無言の状態が続き、国境門まで到着した。
さて、予定通りならこの辺りに、ディランと触れいるはずっと、いた!
「お疲れ様でした。」
「2人とも怪我はないな?」
駆け寄ってくるな否や、もう待てないとばかりに声をかけてきた。
「エリオ様は無事です。安心してください。」
「2人とも心配をかけたね。」
私もエリオも馬車から声をかけた。
「本当にあなたって人は……ゴホン、それで一緒にいる人たちはどうしたのです?」
フレディーのお小言が始まるのをディランが遮る。
それから、フレディーは馬車の二人に視線をやり、もう一度エリオをみて尋ねた。
「彼らは……盗賊の一員さ。」
エリオが一瞬迷ってからそう告げた。
「……なにか事情がありそうですね。でしたら、ひとまず宿に向かいましょうか。それから、また次を話し合いましょう。」
フレディーの案を採用し、そのままみんなで馬車に乗り込み、国境門を通過して宿を目指した。
ちなみに国境門を通過する際はしっかりした検査を行う必要があるので、2人も人を拘束して載せている、一見して誘拐犯のように見えなくもない馬車で通過できるのかと思っていたが、エリオたちが話をつけると、馬車を検められることなく、あっけないほど簡単に通貨できた。
本当に彼らは何者なんだか。
普通の貴族でも止められてしまうのに……まあ、今更か。
宿の開いている一室をもう一部屋かりて、そこを二人を保護(監視)するための場所にした。2人には悪いが、こちらは逃げられるわけにはいかないので、即席で取り付けた鎖で足枷をつけさせてもらった。
私とエリオはずっと緊張状態にあったせいもあり、疲労がたまっていたので、あとのことはお留守番組だった二人に任せて先に休ませてもらうことにした。
お読みいただきありがとうございました!