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16.新たな出会い

あの人登場回!!

どうぞお楽しみください!

 普通なら通らないような、暗い道。月明かりだけがその道を照らしている。


 その道を焦らずに進み、人気のない方へ行くとその場に立ち止まった。


 そして、後ろを振り返り、さっきから後をつけてきている人たちに向かって声をかけた。


「さっきからなんですか?......まあ、理由は分かっていますけど。とにかく鬱陶しいので消えてくれません?」


 私の言葉を聞くな否や、10人ほどの集団が現れた。その先頭にいるのはさっきの酔っぱらい。もう酔いは覚めているようだが。


「坊主......さっきはよくも恥かかせてくれたな。」

「予想通りの言葉をどうも。ここまで予想していた言動をしてくれるなんて、あきれてしまうよ。」

「んだと!?」


 さっきの男がまたやってくるだろうということはあらかた予想していたことだった。

 あの男は私が武器を覗かせたとき、腰に手を当て、しまったというような表情を浮かべていた。おそらく普段はナイフかなんかを常備していたのだろう。しかし、どこかにおいてきたのか、忘れてきたのか、持っていなかった。

 だからその後、今度は武器を手にして、報復に来るだろうと。


「......時間の無駄ですね。さっさと消えてください。」


 だが、私は余裕な態度をしているが、内心は少し焦っていた。

 男が集団で襲ってくるとは予想外だったのだ。

 万全の状態であれば、ろくに訓練も受けていない男たちが束にかかってこようと問題ない。が、今の私は旅で疲れ、怪我で動きは鈍くなっている。数人なら問題ないだろうが、10人ほどとなると、微妙なところというのが正直な感じだ。


 けれど、ここで遊んでいるわけにはいかない。

 私は今度こそ両手の剣を鞘から引き抜いた。

 そして、男たちも各々武器を構えた。


 間をサーーッと風が吹く。私がいつまでも動かないことにしびれを切らしたのか、先に一人の男が突っ込んできた。ワンテンポ遅れて2人が駆け出す。


 単調に剣を振り下ろしてくる男の攻撃を軽くよけ、柄の先で頭を殴る。まず一人。


 その隙をつくように左右から二人の男が同時に攻撃してくる。左の男の攻撃をよけ、もう右の男の攻撃を両手で受け流すと、腹を足で蹴り、左の男の方へ飛ばす。これで3人。


 今度は一気に3人がやってきた。それを見て、今度は私も駆け出し、その勢いで一人の武器を弾き飛ばし、肘を使って意識を奪う。

 ヒッとおびえた声を出した二人を視界にとらえ、同様に意識を刈り取った。これで6人。


 今度は私の方から残りの4人の方へ向かった。そして、軽く跳躍し、この騒動のきっかけとなった男に攻撃すると、私の威力に耐えられず、そのまま後ろに倒れて、頭を打った様子だった。情けない倒れ方。


「あと3人。」


 そうつぶやくと、残った男たちは、に、逃げるぞ!と言って去っていった。


 あ、ちょっ......まあいいか。

 倒すことが目的ではないからね。


 3人が視界から消えると、私は剣をしまった。

 ん

 さて、宿に戻ろ......!?


 突如後ろに気配を感じて振り返ると、私は目を見開いた。


 3人目に倒した男......別の男を蹴った時に巻き込まれた男が短剣片手に突っ込んできた。


 慌てて剣を引き抜くが、怪我の影響やこの剣自体に慣れていないこともあり、足元がふらついてしまった。


 刺される!


 痛みを覚悟して、体をこわばらせ、思わず目を瞑る。


 ......ぐぎゃっ!


 ............え?


 恐る恐る目を開けるとそこには、


 男が倒れていて、


 そのそばに、


 1人の男性がいたーーー




「大丈夫だった?」


 声からして私と同じくらいの年齢の青年だろう。この青年がこの男を倒したのか?

 いや、その前に、


「誰?」


 私は警戒心を含んだ声音で尋ねた。

 敵か、ただ単に親切心で助けてくれたのか?それとも、町を巡回している衛兵か?


 一番それが可能性が高いだろう。あの男を躊躇なく倒したところを見ると仲間ではないし、こんなめんどくさいところにやってくる物好きがいるとは考えにくい。


 なら、私もこの場で捕縛はされずとも、事情聴取のために連行されてもおかしくない。


 それはまずい!


 倒すのもまずいので、いつでも逃げられるように間合いを取り、斬りかかられた時のために、剣を抜けるように、手を柄に添える。


「あ、俺はこいつらの仲間じゃないから。警戒は解いてほしいな。」

「......」

「まあ仕方ないか......もうすぐ俺の仲間が来るはずだから......」


 と、青年が言ったところで誰がやってくるのを感じて、警戒度を強める。


「エリオ!無事か!?」

「もちろん、俺がこんな奴に負けるわけないでしょ?」

「まあな......それで、この子は.....」

「俺たちの心配に反して、俺がついた時にはもう大半を倒してしまっていたよ。」

「何?」

「まあ、どこか怪我してるかもしれないし、衛兵に見つかると面倒だから、早く宿に行こう。」

「わかった、案内する。」


 私を横目に会話する2人の青年に呆気に取られていると、突然腕をつかまれた。


「!?」

「はぐれるといけないから、このまま宿まで行くよ!」

「ちょ、ちょっと!!」


 男と女の力の差なのか、抵抗する間もなく半ば引きずられるような形にで歩く。


 後から来た青年を先頭に、路地から通りへ出てると、視界が開け、今までわからなかった青年たちの容姿が明らかになった。


 私を引っ張っている『エリオ』と呼ばれていた青年は金髪に紺色の目をしている。時折こちらを気にして私を見る目はとても穏やかで優しい目をしていて、この人に抗う気は失せていた。会話の内容から衛兵というわけでもなさそうだし。


 先頭にいる青年は赤髪に黒に近い茶色の目をした青年。会話の様子からぶっきらぼうな人というか、不器用な人という印象を抱いた。


 そして、二人とも帯剣している。しかも、そのへんのなまくらではなく、腕の良い刀鍛冶が作った良い品であることがうかがえる。それに、ローブの下からちらりと見える服は、見た目こそ地味ではあるが、近くで見る人が見れば品の良さがわかる。


 本当にこの人たちはいったい何者?普通の平民ではないことは確かね。


 あれこれ考えながら進むと、彼らは1つの宿の前で止まった。

 その前に立っていた青年がこちらへとやってきた。


「おかえりなさいませ、エリオ。ご苦労様でした、ディラン。」

「待たせてしまってすまなかったね、フレディー。」

「お気になさらず......お客人もいることですし、中にお入り下さい。」


 ちらっと私を見て、フレディーと呼ばれた青年が言う。


 彼は黄緑色の髪に黄色の目をした青年だ。物腰がとても柔らかくて、穏やかさが伝わってくる。


「そうだね......じゃあ、入ろうか。」


 そう言って、まだ状況を飲み込んでいる途中の私とともに中へと入った。





あらすじに『エーリオス』と書いていましたが、変更させていただきます。


何に変わっているかは、次回以降をお楽しみに!

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