第三話 神聖ヴァンデル帝国
時間があまりなかったので短めです。申し訳ない。
ブクマや評価していただけると私のモチベに直結するのでぜひ。
光が落ち着くとそこはゆったりとした白色の壁に囲まれている場所だった。背面のステンドグラスを見る限りどうやら教会のようだ。
「なんだ…ここ。」
だれかがつぶやく。答えが返ってくることは期待していなった様子だったが、それに反して答えは返ってきた。
「ここは神聖ヴァンデル帝国帝都ヴァンデルです。ようこそいらっしゃいました、勇者様方。」
答えの主は白い絹に金糸で刺繍が施された法衣をまとった人当りよさそうな爺だった。その爺の後ろには何人か聖職者らしき格好の男女が控えている。
(なんだ、こいつ)
その爺は司の目に少し赤く映った。目がおかしくなったのかと思ってこすってみるが特に変化はない。赤いままだった。その傍らで光琉がその爺に向かって問いかける。
「あなたは一体?」
爺はその問に鷹揚にうなずくと話し始めた。
「私の名はエレンフォッサ・ヘレデルート・リッタフレア・ヴァンデルと申します。この国で教皇を務めさせていただいております。」
一部の生徒たちは「教皇?皇帝が出てくるんじゃないのか?」などと思い、顔に出す者もいたが、誰も口を開くことはない。爺は続ける。
「この世界はシーアと呼ばれておちます。我らが神、エルグレイトの教えによりますと平らな地面の上に我らの大陸が一つあるとのことです。」
そこで爺は一呼吸置いた。
「さて、あなた方が我らが神、エルグレイト様により召喚された理由はただ一つ。この世界に原初よりはびこる魔を打ち滅ぼしていただくためであります。」
そこからの話は司たちにとって不必要な部分(歴史的な話など)も多かったため、割愛し、要点だけ話しておく。どうも、ここ五十年ほどで、全身が黒くもやに包まれた存在、通称「魔の者」が台頭し始め、この人間界に悪影響を及ぼしつつあるらしいのだ。その「魔の者」は、この世界の人間でも倒せないこともないのだが、相性などの関係で、「魔の者」一人倒すのにその数十倍の犠牲を覚悟しなければならないというのだ。それを見かねた神が光琉たちを召喚したというわけである。司たちからすればいい迷惑なわけだが、さすがにそれを彼らにぶちまけるほど理解が追い付いてはいなかった。
「皆様には、期待しております。我らをお救いください。」
爺が頭を垂れ、それに、どうやら雰囲気に流されたらしい光琉がうなずいてしまった。後ろに控えていた男女も喜び、やんややんやのお祭り騒ぎ。その後場所を移し、盛大な歓迎が催された。その催しの後、生徒たちは専属の使用人に連れられ、一人一人に割り当てられた部屋へと向かった。そこは冷蔵庫とテレビさえあればもう完全に日本の高ランクホテルと言っても差し支えないであろう部屋だった。
いろいろと疲れていた生徒たちは一度頭の中にあったすべての疑問を投げ捨て、眠りについた。
フラグはそのうち回収します。展開が遅くて申し訳ない。おそらくプロローグ的なのが少なくとも後二話ほどあります。まじごめん。
感想、ブクマ、評価、誤字報告していただけると幸いです。