表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギシモノ  作者: KAIEI
1章 転移
2/18

第二話 ディサピア事件

間もなく八時半。ほとんどの生徒が席に着き、一時間目に備えていた。もちろん自分の席以外で話している者も多数いる。中でも目立つのはやはり神楽坂姉弟と真、そして、同じく生徒会メンバー保健委員長戸田佳乃の4人だ。ちなみに生徒会メンバーである明日人は司の前でPCを打ち続けていた。


「あー!!もう!!めんどくさいなあ!!」


「さっさとやれよ。お前が悪いんだから。」


「わかってるよ。わかってるから言うなよ…。」


口ではいろいろと言っているが、仕事は進んでいるようだ。司は苦笑しながらそれを見ていた。同じく苦笑していたのが、光琉である。


「あいつ企画とか面白くて現実的なの出してくれるのになあ。」


「確かにな。事務作業となるとからっきしだな。」


「真、お前はそのセリフ言ったらだめだと思うぞ。」


「そうね。私や佳乃が何度手伝ってあげたと思ってるの。ねぇ、佳乃?」


「あはは、そうだね。真君も結構単純なミス多いし、修正事項忘れてることも多くて大変だったよね。」


にこやかにほほ笑む佳乃の前でへこむ真。日頃から自覚している自身の欠点を改めてぐさりとやられたのだ。しかも極上の笑顔付きで。仕方がないというものだろう。


「カァーハッハッハッハァッ!!ざまあねえなあ、上野よぉ!!」


「あ!?んだとコラ!!」


何かにとりつかれたように高笑いをしながら、へこむ真を馬鹿にする明日人。するとさっきまでの意気消沈ぶりはどこへやら。魔神のような真がそこに降臨していた。しかし、明日人は司に、真は光琉にぶん殴られ席に戻る。


「あと少しなんだから、さっさとやれ。」


「お前、その沸点低いの玉に瑕だぞ…。」


「「はい…」」


しぶしぶ席に戻った明日人だったが、今度はPCをたたきつつ、不満の矛先を光琉へとむけた。


「ったく。これくらい神楽坂弟、おまえがやっといてくれよ…」


とはいえ、明日人もそれが無理であることを承知している。それが口調にもにじんで若干尻すぼみな感じになっていたため、光琉は苦笑しつつ返した。


「それじゃ示しがつかないだろうよ。」


「わぁってるけどさあ!神楽坂家って無駄にハイスペックだし。容姿、事務処理能力、カリスマ性、運動能力、どれとっても一流だろ?はぁ、先祖に異世界人でもいるのかよ?」


誰もが笑い飛ばすようなジョークだ。事実因果関係なんてないのかもしれない。しかし、明日人がそういったとたん、光琉の足下が小さく光った。


「ん?なんっだ、これッ!?」


次の瞬間光琉の体がフリーズし、小さかった光は広がっていき、魔方陣を形成していく。魔方陣の上にいたものはことごとく動けなくなり、それは、光琉の近くにいた司や明日人もだった。


ガラガラとドアが開き、一人の男子生徒が教室にはいってきて、驚きの声を上げる。


「司!明日人!」


声をあげながらその生徒は魔方陣へと走ってくる。彼は上川洋一郎。司の数少ない友人の一人だ。


「洋一郎!来るな!」


司も叫ぶが人はすぐに止まれないわけで、洋一郎も魔方陣によってフリーズさせられてしまった。


「うわ!?」


「だから言っただろ!!」


「ごめんって!!」


司たちは何とかしようと考えていたためまだ少し落ち着きがどこかにあったが、クラス全体でいえば阿鼻叫喚といった状態になりつつ、いや、なっていた。


そして、魔方陣がひときわ強く輝く。


魔方陣の上にいた者は例外なく消え去った。


この日、この事件は残ったクラスメイトのツイッターをきっかけに海外メディアでも取り上げられ、Disappear Caseなどと呼ばれ、そこからディサピア事件というのがこの事件の一般名称となった。


Disappear Caseの語法的正確性はわかりません。リズムだけで決めました。一般的には神隠しなどはSpirit Awayなどというみたいですね。


評価、感想、ブクマしていただけると励みになりますのでぜひともおねがいします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ