第十話 ドラゴン撃退戦、開始!!
久々の適正量というか普通の文量でございます。(word換算1741字)お楽しみください。
「GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドラゴンの咆哮が王都中に響き渡る。
「ザーブ!!聖魔隊に連絡しろ!!ドラゴンスレイヤーズの出動要請だ!!第一、第二部隊は門のほうへ向かえ!!城壁警備隊に合流し随時時間を稼げ!!各々、倒そうと思うな!!あくまで時間稼ぎだからな!!」
フレイムが副長であるザーブ、そして部隊に指示を飛ばす。すぐさま部隊は王城の軍用門のほうに向かっていった。同じくザーブも走り出すが、途中でこちらをふりかえった。
「ですが団長!あいつらは最近出現したまた別のドラゴンの対処で出払っているはずです!!」
ドラゴンスレイヤーズ、その名の通りドラゴン討伐のための専門部隊だ。魔法戦闘、そして何より対巨大生命体戦闘のエキスパートたちである。
「畜生ッ!!だが、とにかく聖魔隊にも連絡しろ!!わかっていると思うがレッドだ!!」
「了解です!!」
そういうと彼は教会のほうに走っていった。フレイムが振りかえる。近くにいた騎士の一人に光琉を医務の方へ連れて行くように指示した後、司達に向かって口を開いた。
「愛葉、真、司、明日人、洋一郎は俺についてこい。ほかは待機だ。」
フレイムの言葉にあからさまに安堵する者もいれば、数名はなぜだといったような顔になる者もいた。その者たちを諭すように口を開いた。
「おそらく光琉なら一人でもなんとか追い返せたのだろうが、アイツはいま動けないしな。そして、正直なことを言って生半可な実力の大人数でドラゴンに挑むのはあまり得策といえない。だから、俺はこいつらだけを選んだ。」
「でも!」
まだ食い下がる生徒にフレイムは声のトーンを低くして、
「死にたいのか??」
そう聞いた。生徒は縮み上がりぶんぶんと首を横に振ることしかできなかった。それを一瞥すると司たちの方へ向き直った。
「あいつにも言った通り、これは死ぬ可能性も高い。もちろん降りてもらって構わないが…。」
フレイムが言い終わるより先に真が口を開く。
「あんなぁ、団長。俺は光琉の親友だ。たとえ力不足だろうと言われなくとも親友の肩代わりくらい務めるぞ??」
それに愛葉が続く。
「そうね。弟のしりぬぐいには慣れているしね。」
フレイムは静かに洋一郎、そして司と明日人を見る。
「問題ないですね。二人ともいいんでしょ??」
「もちろん。」
「ああ。ただ、回復だけお願いしたいんだが…。」
「ああ、そうか。フレイム団長俺ら先に向かいましょう。司、このハーディー1100置いとくから乗ってこい。行きましょう。」
洋一郎が話を振り、結局は明日人が仕切る。なんやかんやでこの三人にはよくある光景だ。フレイムは満足げに頷き、4人を先導し、門のところへ走っていき、明日人達もそれに従う。そして門のところに停めてあった馬車に乗り込む。御者が鞭を鳴らすと馬車は勢いよく出発した。それを横目に司は城に戻りかけていた生徒たちの方に向き直った。
「すまない。誰か、回復お願いできないか??」
その声に答えて、佳乃が名乗りをあげた。男子の舌打ちが聞こえたような気がするが司はたいして気にも留めず、すこし佳乃に近づく。
「うん。任せて。あ、もしかして魔力回復もいるかな??」
「できるなら頼みたい。」
司が答えると、佳乃は自分の持っている(王宮より貸し出されている)ポシェットから小瓶に入った魔力回復薬を渡し、ついで、司へ回復魔法を使用した。白色の穏やかな光が司を包む。ものの数秒で司の体力は回復し、魔力の方も満タンとなった。
「なあ、青葉。スキルバフかけとくわ。」
「ん??香山か。ありがとうな。」
鋼が司に手をかざす。鋼の特殊技能は持続バフ系に分類される勇者の中だとかなり珍しいもので、何よりの特徴は威力が少し下がるものの他者に特殊技能を分けることができることだ。
「意識一つで気配のオンオフができるようになってるはずだ。頑張れ。…またお前のクッキー食いたいし。」
「くはは。そういやクラスでふるまったこともあったな。任せとけよ。」
そう笑いながら司はハーディ1100に近づき、上に乗っていた手袋とサングラスをはめる。そしてハーディ1100にまたがった。
VROOOM…。VROOOM…。
独特の低い音ともにエンジンがかかる。そのまま司は勢いよくハーディ1100を発進させた。
一方、生徒の中では。
「よかったね。今そんな短絡的なことを僕に止められて、ね?」
「うるせえ」
ああ、ハーディ1100の元ネタが分かった人はぜひぜひニヤニヤしてください。
いつものことながら感想、ブクマは僕の課題で荒み切ったメンタルへの特効薬となりますので是非ください。頼む。まじで。




