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勇者を譲った僕の異世界生活。  作者: 紅花翁草


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温泉は最高ですね。 3

 朝9時にロビーで待ち合わせだった僕はアイザと二人で待っていた。

 マイジュさんとエイルさんが遅刻しないで、ロビーにやってきたのを見た僕は、「さすがだな~」と、感心していた。

 『タラス』の街にある傭兵組合で話を聞くのと、服を買うこともあって、朝食は施設が集まっている商業区で食べる事にした。

 宿の再開準備の手を、煩わせない為でもあった。


「朝からの露天風呂も最高でした。」

 僕とアイザは朝7時過ぎから露天風呂に入ってきた。アイザは眠そうにしていたけど、目を覚ますのに丁度良いと誘って一緒に入った。

「朝からお風呂ですか? それは思い付きませんでした。」

 大きなあくびをしたマイジュさんは少し眠そうに話、そのあくびにつられたエイルさんもあくびをしている。

「明日の朝に試してみようかな。」

 エイルさんは眠気を払うように、腕を伸ばしていた。


 ギリギリまで寝ていたのかな?

 まあ、気を許せる間柄には、なっているようだし、これからの旅も気を利かさなくても良いかな。


「それじゃあ、行きますか。」

 ラーシルさんとルレールちゃんの見送りで、僕たちを乗せた馬車は商業区に向かった。

 喫茶店っぽい店で朝食を取り、僕はアイザと二人で服を探しに。

 マイジュさんとエイルさんは、傭兵組合に情報を聞きに行ってもらった。


 宿で着るアイザの服は、ワンピースを数点選ぶことにしていた。

 淡いオレンジ色の、飾らないカジュアルなワンピース。

 少し大人びた黒のドレス風のワンピース。

 真珠色のシルクで、可愛いリボンがアクセントになってるワンピース。

 

 僕が似合うかなって選んだ3点だったけど、アイザが喜んでくれたので全部買いました。

 全部でメイド服1着程度の支払いだったしね。

 金銭感覚がちょっとずれてきているかも、と思いながらも財布の紐は締めないのでした。

 そのあと、自分のカジュアルなスーツを1セットとスーツケース用のカバンを買って、僕とアイザの服を入れて『インベントリ』に収納する。

 持ち運びを気にしなくて良くなったのも、買い物に拍車がかかる要因です。


 そして、僕達は商店街の中心にある広場で、マイジュさん達を待っていた。


 馬車は目的の観光地に向かっています。

 巨大な海老が鍾乳洞にいる理由は、その観光地のすぐ近くに大きな池があり、そこで海老の養殖をしているから、そこから流れたのが原因だという事らしいです。

 傭兵組合で聞いてきた話を客車の中でエイルさんから教えて貰っている。

 そして、組合からの依頼書は『鍾乳洞の巨大海老を買い取る』でした。金額は金貨8枚。

 通常の海老が銀貨1枚から2枚なので、約40倍の値段の買取なんだけど、必ず見つかるものでもなく、鍾乳洞の中から外に出すまでを、やらないとならないので、依頼を受ける人が居なくなった。

 あとその他にも、鋼鉄のような硬さで剣が効かないとか、依頼内容が地味過ぎるとかの理由もあるみたいです。

 まあCランクの依頼で、この面倒臭さですからね。そりゃ、やらなくなるだろう。


 そして、目的地の鍾乳洞にやってきました。

 馬車置き場に馬車を預けて、岩肌に開いた大きな穴に、観光客が歓声を上げながら入って行くのを僕達は眺めている。

「行きは、のんびりと鍾乳洞を観賞しましょう。」


 観光用の通路は全長一kmで、その先200メートルほどの奥に地底湖が広がっている。以前は地底湖の際まで通路があったけど、巨大海老の危険から、今は手前までになっている。

 なので、海老を捕獲出来たら、観賞する余裕は無くなるから、行きに済ませておこうという話です。


 入り口は、棚田のような小さな池が無数に広がっている上を橋で渡る。

 そこから木で出来た通路で洞窟内に入ると、ランタンに照らされた、幻想的な岩肌や鍾乳石が僕の視線を釘付けにした。

 日本にも有名な鍾乳洞があるけど、僕は行ったことが無かったので、比べる事は出来ないけど想像以上の景色に、はしゃいでいた。

「凄いねここ。アイザはどう? 鍾乳洞って、僕は初めてなのだけど。」

 アイザは僕と対象的に静かに見ていた。

「そうね。私が知っている洞窟は、これよりももっと大きいわ。あと、ここには無いけど、光る石とかが生えてて不思議な場所だったかな。人間みたいに観賞しようとか思わなかったし、まあ、あそこはドラゴンの家だから観賞する場所でもなかったからかな。」

 当然、僕とアイザはマイジュさん達から離れている。だから、こんな話が出来るのだけど、アイザが全然興味が無かったのが寂しかった。

「ああ、この非日常的な世界はそっちだと普通の光景なのかぁ…そういや、マイジュさんとエイルさんもあまり楽しそうに見えないけど…二人はなんでだろ?」

 僕は気になったので、二人が追い付くのを待って聞いてみる事にした。


「魔獣の討伐依頼で見慣れていますから。」と、マイジュさんがさらっと答える。

「どっちかって言うと、気持ち悪い景色じゃない?」と、エイルさんが答える。


 えぇ~。テンション上がってたのって僕だけ?

 

「まあ男の子は、そういうものでしょ? はしゃいでいるハルト見てて楽しいわよ。」

 エイルさんが微笑ましいものを見ている目で僕を見ている。

 僕は何も反論することが出来なかった。

「んぅ~! それじゃあ、巨大海老に向かいます。とっとと捕まえて、今日の晩御飯にします。」


 傭兵組合の依頼は買取だったので、依頼は却下です。

 もともと、僕が食べたいから捕獲に来たのだからね。

 マイジュさん達は半分呆れてたので、実際に捕獲するのも僕だけになります。

 こんなことなら、独りで来ても良かったんじゃ?

 実際、走ってきたら5分ほどで着く距離だしな。

 これで、海老が捕れなかったから、ほんと辛過ぎる。


 色々と考えながら歩いていたら、地底湖前に着きました。

 ロープと看板で仕切られた場所を越えて入ります。

『この先は、危険です。入るのは勝手ですが、自己責任です。』

 と、書いてあるとマイジュさんが教えてくれた。

「それじゃ、僕だけで見てきますね。何が起きるか判らないですから。」


 3人に見送られながら、僕はロープを跨いで地底湖の淵まで伸びた橋を進む。

 大きく開けた、その空間は東京ドームくらいはあるんじゃないかと思えるほどだった。

 湖の深さは、測れないほどの深さらしいから、巨大海老が居ても不思議じゃない。

 むしろ、別の何かが居ても不思議じゃない。

 あっ…余計なフラグ立てた?

 なんて考えながら、湖を覗き込むが、なにもなかった。


 透き通った水はどこまで深いところまで見えているのか、吸い込まれそうになる。

 所々で、天井から落ちた水滴が波紋を作っているが、波一つない静かな水面だった。


 魚も居ないみたいだけど、生き物が生きていける環境なのか?

 まあ、目撃情報はあるのだし、取り合えず試しにやってみるかな。


 僕は『インベントリ』から、80cm程度の魚と30メートルほどのロープを取り出した。

 生きた生物は、『インベントリ』に入らないから、死んだ魚を使ってみることにした。

 ロープは商業区で売っていた中で、最長の長さだったので仕方が無いです。


 魚をロープで括って、静かに湖に沈める。

 目視出来るところまでゆっくり沈めることにして、なにか見えたら取られないように引き上げる作戦だった。追いかけてきたら、『ミラージュ・ハンド』で捕まえて、打ち揚げるのです。


 ロープを下ろしてから、数分が経った。ロープの長さは残り3メートルくらい残っているが、これ以上沈めると目視出来ない。

 何も反応が無いので、その位置で上下に動かしてみる。

 その行動を数回繰り返していたら、黒い影のようなものが動いているのが見えた。

 僕は上下に動かしながら、少しずつロープを手繰り上げる。

 影が確実に大きくなっていた。そして一瞬で、その姿を湖の中に現した。

 その姿は昨日見た海老だった。大きさはまだ把握できないけど、確かに海老の姿だった。


 よし! このまま、追いかけて来い。

 僕の手に緊張が伝わる。

 子供頃にしたザリガニ取りを思い出していた。

 桁が違うよな。

 そんなツッコミを自分に入れながら、僕の緊張は最高値になっていた。

 海老の鋏が魚を掴もうとしていたからね。あの鋏で挟まれたら、魚なんて粉々になってしまうだろうし、そうなったらそこで終わってしまう。

 僕は、海老の速さに負けないように、力を込めてロープを巻き上げていく。

 そして、最後は思いっきり持ち上げて、湖の上を飛び上がる魚を演出する。


『バシャーン!』と、小さな音の次に、さらに大きな音を出して飛び上がる巨大海老。

 海老が水面からジャンプするなんて思わなかったけど、こっちの海老だし驚きは無かった。

 海老が魚を掴んだ瞬間、僕は『ミラージュ・ハンド』で海老を掴み、橋の上に叩き落とした。

『ドーン!』と凄い音が洞窟内に響く。

 裏返った海老が体勢を戻そうと暴れ始めたので、僕はインベントリから巨大な石を取り出し、海老の腹の上に置いた。石は宿の裏にあったのを借りてきました。

 生け捕りにするのです。

 重みで動けなくなった海老を釣りで使ったロープで縛っていく。

 さすがに一人では出来ないから、マイジュさんとエイルさんが手伝ってくれている。


 エイルさんが勇者譲りの力でロープを縛っている。

「まさか、インベントリの使い方をこんな風に使うなんてね。ハルトの怪力がなせる業よね。」

 それなら、エイルさんも出来ますね。なんて事を言いたくなったけど、我慢しました。

「武器とか、盾とか、皆さんしないのですか?」

「それはしてると思うわよ。ただ、ただの石を使うっていう発想が無いと思う。」

 

 なるほど。武器は武器、岩は岩。って固定された用途を重視する感じなのかな。

 代用とか応用とかの考え方が、あまりないのかもしれない。


 海老が暴れないように縛り終わったので、僕は重石をインベントリに戻す。

 鍾乳洞の通路には、僕達の騒動を見る人達で、一杯になっていた。


「次は、運搬だけど、この人垣をどうにかしないとか・・・」


 鍾乳洞からの脱出は、マイジュさんが先頭になって道を開けて貰った。

 海老はもちろん、僕の頭の上に乗せる感じで運んでいます。

 はっきりいって、生臭いからね。

 最後尾を歩く僕の姿を、驚きの眼差しで観光客の人達が見ています。

 ライエさんみたいに魔法で身体強化している人は少ないのだろうか?

「エイルさぁ~ん。」


 アイザと並んで少し前を歩くエイルさんに聞いてみた。

「そうよ。ファルザ国民の中でも、3割程度だと聞いてるわ。それも、多くて3倍程度の力なのよ。あと、魔気っていう魔法とは違う力で身体能力を上げる人達がいるみたいだけど、それは私も見たことないわね。」


 だから、こんなに注目されているのか。

 まあ、隠すつもりもないからいいのだけどね。


 鍾乳洞から出たら、噂を早速聞きつけたのだろう。商人らしい人が話しかけてきた。

 当然、直接買い取る交渉だった。もちろん、丁寧に断りました。

 

 馬車に乗り込むアイザに「行ってくるね。」と伝えて、僕はマイジュさんとエイルさんに「よろしくお願いします。」と言って、海老を頭に載せたまま、走りだす。

 人目の付かない所を走りたかったけど、迷子になるから街道が見える場所を走るしかなかった。


 馬車が通る街道の近くを、巨大な海老が飛んでいる。

 そんな馬鹿げた話を、これから見る人は誰かに話すんだろうなぁ~。

 まあ、『タラス』の街中も通過することになるし、大丈夫だろう。

 あと、『イストエトリア』の今日の記念料理にもなるかもだし、全然問題ないよね。


 僕はタラスの商業区を馬車程度の速度で走り、宿に戻った。

 宿の宣伝になると思っての行動だった。

 まだ、時間は14時前。これから宿を探す人達の目に映るかもしれないからね。

 宿名を言って宣伝したかったけど、旦那さんとラーシルさんの許可を貰い忘れたから、それは出来なかった。

 そもそも、持って帰ってくること自体を、言い忘れてました。

 捕獲したとしても、依頼内容通りに渡してくると思っているだろうし。

 というか、この巨大海老を調理出来るのか?


 ちょっと、不安になってきたところで、僕は『イストエトリア』の前に着きました。


「えぇええええええ!」

 庭の手入れをしていた女性従業員さんが、僕の姿をみて悲鳴に近い声をあげていた。

 僕はそれ以上驚かれないように、ゆっくりと宿の敷地に入る。

「こんにちわ~。ラーシルさんか旦那さんを呼んで貰えませんか?」

 固まっている従業員さんに、そう話した時、入り口から旦那さんが出てきました。

「うわ! え?! ハルトさん、捕ってきたのですか?」

「はい。僕が食べてみたくて、持って来ました。それでですね、これを調理してもらえたり出来ませんか?」

 僕は、石畳になっている玄関前に巨大海老を降ろす。

 旦那さんが海老の殻を叩いて確かめていた。

「さすがにこれほど大きいと、殻が段違いに分厚いですね。ですが、料理人の腕を試したくなりますよ。」

 旦那さんの笑みから、調理する意気込みが伝わってきた。

「じゃあ、今日の営業再開の祝い料理にしませんか? 営業再開の宣伝にもなりますし、泊り客に振舞いましょうよ。さすがに僕達だけで、全部食べれないですからね。もちろん、僕からの祝いの品なので、買取とか無しでお願いします。」

「それは、ありがたい申し出です。是非、そうさせてください。」


 それから僕は、巨大海老を裏口から調理場に運び、ラーシルさんと、戻ってきていた両親に感謝されながら、海老の解体作業をルレールちゃんと眺めていた。

「お父さん、凄いね。」

 硬さなんて物ともしない包丁さばきで、巨大な海老をバラバラにしていく。

 包丁っていっても、見た目は刃渡り1メートルくらいの剣なのです。それを、関節に滑り込ませたり、突き刺したりで、迷いなく切り込んでいる。

「うん。パパはすごいのよ。」

 ルレールちゃんの笑顔を見た僕は、次の本題を聞くことにした。

「その巨大海老で、何人分の料理になりますか?」

 ほぼ解体の終わった海老を前に、一息ついている旦那さんは少し考え込んでいる。

「そうですね。調理方法は焼きに、揚げ物。あとは・・・新鮮なので、生も味わって貰いたいので、3品をそれぞれメイン料理にするとして、80人くらいでしょうか。」

 おお~! 3品食べれてその人数あるのか。

「それじゃあ、従業員の人達の分も数に入れて、宿泊者全員に出せるのかな?」

「そうですね。客室数が52名様分で、家族と従業員で10名ですので十分足りますね。」

 余裕です。満室でも結構余るほどでした。

「じゃあ、宣伝してきても良いですか?」


「いえ、もう伝わっているようで、数多くのお客様が受付前に集まってますよ。」

「え?!」 

 仕事に戻っていたラーシルさんが、厨房に戻ってきたところでした。


「どういう訳か、ハルトさんが海老をこの宿に運んだ事が既に商業区などに伝わってまして、巨大海老が今日の料理に出るのかと、お聞きになるお客様が押し寄せている状態です。今で、もう半分の部屋が埋まりました。」


 まあ、そういう意図で商業区を通ってきたのだけど、ここまで反応が早いってどうなのよ。

 海老好きめっちゃ多いな! 人の事は言えないけどね。


 僕はお腹を抱えるほど笑っていた。

「みんな海老すきなんだなぁ~! 海老採れて本当に良かったです。」

 アイザ達には、ちょっと申し訳ない気持ちだったけど、僕はこの宿の、役に立てた事を嬉しく感じていた。

「お兄ちゃんも大好きだよね。」

「うん。そうだね。」

 ルレールちゃんのツッコミに、厨房の中に笑いが広がっていった。


 時間的に1時間経ち、そろそろ戻ってくる時間だったので、僕は外に出て、アイザ達が戻ってくるのを待つことにした。

 宿の外の街道が見渡せる木の上に座り、眺めていると馬車が見えてきた。

 木から飛び降りて馬車を出迎えた僕は、宿の賑わいの経緯を話して、受付をしていたラーシルさんの母親に離れ部屋に戻って寛ぐと伝えた。

 本来ならラーシルさんが若女将さんで、こっちは女将さんなのだろうけど、娘と婿に宿を譲り渡したようで、補助的な仕事をしているみたいです。


「ハルトぉ~、においとれたぁ~?」

 僕は今お風呂で一生懸命、体を石鹸で洗っています。

 海老の生臭さが染み付いていたようです。

 アイザやエイルさんから、指摘された時はちょっとショックでした。

 これでもか! って気合で洗い終わったので、温泉で洗い流す。

「たぶん~。消えたと思う。」

 アイザは先に露天風呂に入っていたので、一度上がってもらって確かめて貰う。

「うん。もう大丈夫。」

 僕はアイザのOKを貰えたので、やっとお風呂に浸かることが出来ました。


 あとは、服の臭いを取るだけです。

 この世界では、クリーニング店なんてものは無いことは聞いていた。

 だけど、僕が着ている執事服やアイザのメイド服などは、販売店が仕立て直しやクリーニング的な手入れをしてくれると服を買った時に聞いていたので、次の街で頼む事にした。


 夕食は、僕とアイザの部屋にマイジュさんとエイルさんが合流する形での食事になりました。

 普段のお弁当タイプの料理に、海老料理が追加で並んでいた。

 海老のステーキに、フリッターのような揚げ物、そして、カルパッチョのようなお刺身。

 海老味噌の団子が入った海老のスープもありました。


「乾杯~!」

 エイルさんが何故か仕切ってます。

 生魚などの臭いは駄目みたいですが、調理された美味しい料理は大好きみたいで、昨日同様のテンションでした。

 当然、お酒も並んでいます。

 今日は、マイジュさんが好きなワインもあります。

 マイジュさんとエイルさんは、ワインを飲みながら、海老の揚げ物やステーキをつまみにしていたけど、僕は海老のスープからいきます。


 臭みなど一切ない濃厚の海老の香りと、口一杯に広がる海老の味が一口目からドーン! と存在感を見せ付ける。

 そして、海老味噌団子を食べる。


「ちょっとハルト、ニヤけ過ぎよ。」

 笑い声が出ていないだけで、完全に笑い顔になっているとアイザが言った。

「いやだって、このスープ凄いから!」

 僕はお酒を飲んでいるマイジュさんとエイルさんにも勧める。


「ほら、そうなるでしょ。」

 3人とも至福の顔を通り超して、笑いそうになっていた。


 ステーキの香ばしい味に、揚げ物も衣まで海老の旨味があり、プリプリの刺身も弾力から甘味からなにもかもが、想像以上だった。

 炭酸のお酒『リーシュ』が気に入った僕はそれをメイン酒にして、料理をほおばる。

 アイザは甘い果実酒『カシュラ』がお気に入りみたいです。

 マイジュさんとエイルさんはワインから始まり、全部のお酒を料理に合わせて飲んでいました。

 さすがお酒好きは違います。

 多すぎる料理だと最初は思っていたけど、最後はお酒のつまみになる料理を追加で頼んでいました。

「朝風呂、忘れないでくださいよ。」

 僕の言葉に、二人のお酒を飲む手が止まりました。

「あ…」

「えっ…」

  

 笑い声が絶えないその日の夕食は、家族と食べているような幸せな時間だった。

 


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