表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おたべさんはダンジョンマスター  作者: いきぬき
私はダンジョンマスターである。ダンジョンはまだない。
9/16

幕間:お化けのうわさ


 ねぇ、しってる?用水路にお化けがいるらしいよ!


 パパが言ってた。最近、小川の周りにある草とかお花、野菜や麦が食べられちゃうんだって。外の森から魔物が流れてきたのかもって、大人がいっぱい見回りしてた。夜もやってるみたい。

 昨日の夜にパパも松明を持って出かけてった。魔物も動物もいなかったらしいけど、今朝見たらゼノンさん家の麦畑がいっぱい食べられちゃったんだって。


「だから子供は川に近付くなって言ってたよね。大丈夫かな?見つかったら怒られちゃうよ…」

「でも、リリアのお花は今を逃したら来年まで咲かないんだよ?いっぱい摘んでお花ティアラとか干し花を作ろうって楽しみにしてたじゃん」

「だけど…怖いもん……」


 大丈夫だよ。だってママが言ってたもん。お化けは隣の村の方からきて、その前はまた隣の村からきたんだって。だからそのうち反対側の村に行っちゃうよ。

 それに、お化けだから夜にしか出ないんだよ。野菜とか食べられちゃうの、夜だけでしょ?今はお日さまが頭の上にあるから、お化けはきっと眠ってるわ!


「それに、男の子だってお魚とか虫を捕まえに行ったりしてるじゃない」

「でも一週間前にオリア君が溺れちゃったの、お化けのせいかもしれないんでしょ?」

「オリアは泳ぎが一番へただから、自分で溺れたのが恥ずかしくてお化けのせいにしたんだって、助けたジャックが言ってた!」

「うう…」

「も~…じゃあ良いよ!わたしだけで行くから!」

「あ!待って!置いてかないで!わたしもいく!」


 川べりには真っ白なリリアの花がたくさん咲いていた。甘くて良い匂いがする。川はいつもより綺麗で透き通ってた。水がキラキラしてる。

 川底の水草が黄色い花を咲かせる季節なのに、今年は川の石しか見えなかった。ちょっと残念。


「ティアラいっぱいできたね」

「セラにもプレゼントしない?」

「いいね!風邪のお見舞いにぴったり!」

「他にも何か持ってってあげたいなぁ」

「探そっか」

「そうだね」


 夢中になって作ってたら、ティアラが6個も出来上がっていた。わたしが三個、リナが三個。

 風邪をひいたセラのお見舞いにいくために、他にも持ってけるものがないか探すことにした。


「ルル!見て!」

「どうしたの?」

「虹色の石!いっぱい!」


 リナに呼ばれて川を覗き込むと、川底に虹色の丸い石がいっぱい落ちていた。さっき見たときはなかったのに。不思議。


「綺麗だね」

「お見舞い、これあげようよ」

「そうだね。服が濡れないように取らないと」


 スカートをたくしあげて足を川に突っ込むと、水がひんやりして気持ちよかった。


「あれ?」


 虹色の石を掴もうとすると、手にぷにぷにした物があたる。これは……水がぷにぷにしてる?


「リナ、なんか変………リナ?」


 話しかけたのに返事がない。

 隣に居たリナが居ない。川の外にも居ない。


「あっ」


 足が滑った。

 体がふわっとして

 転んだからお尻が冷たくて

 虹色の石と水がどんどん体を登ってきて









 



 ねぇ、しってる?用水路のお化けに連れ去られた子が居るんだって!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ