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アーレイスシフター  作者: ケースヶ
1章:4月
11/11

10話:仲間との模擬戦(7)

 開始と同時に、双方のアーレイスは右方向へ移動しながら武器を発砲。フローリアの撃った弾はイーグルの開始地点へと進み、命中せず。一方のイーグルの撃ったスナイパーライフルの弾は──

『なあっ!?』

 予測射撃によりフローリアの右肩に直撃し、弾丸が小爆発した。持っていた武器は落ち、フローリアの右肩はだらんとして機能を停止した。

『予測ってムズいな。ロックオンで自動補正してくれねーし、手動で動かすとズレるな』

 狙撃者であるイーグル自身も移動し、さらに敵であるフローリアも移動しているのだ。ただ単に照準を横に移動させるだけではまともに当たる筈がない。

『アナタ、今どのような弾丸を発射なさいましたの!?』

『ククク……、対人キラーのナパーム弾だぜ……』

 アーレイスバトル内でのナパーム系の弾は、着弾と同時に爆発する性質を持つ弾である。リアリティバトルでは、かすりヒット──機体パーツの端をかすめた程度の攻撃はダメージにはならない。だが、ナパーム弾による爆発ではそうはいかない。爆発によるパーツの凹み、ジョイント部分では損傷をを狙う事ができる。さらに、盾などで防いでも爆発するので油断は出来ない。

 つまり、フローリアの右肩に直撃した弾丸はジョイント部分に近かったので、爆発により破壊されたということだろう。

「……先ほど、平峰さんが弾いた時は爆発しませんでしたが、何か理由があるのですか?」

 ミズキの質問でコウヤもその謎に気付いた。

「反磁石だ」

 ぼそりと、シュウが返答した。

「反磁石……?」

「ああ、その手があったか」

 コウヤはその物質を知っていたが、ミズキはよく分かっていなかった。

「磁石は鉄がくっつくよね。反磁石は、磁石のはんたい。つまり、くっつかないのぉ」

 サキが解説してくれたものの、発言中はテンションがドンドン下がっていっていた。真面目に解説できないのだろうか。

 先程のカズキとシュウの戦いでイーグルの撃ったナパーム弾を弾いたように見えたものは、大剣に仕込まれていた強力な反磁石による受け流しもあるということだ。もっとも、ナパーム弾は弾丸の側面を弾かれた場合でも爆発はしない。コウヤ達は気付いていないが、先ほどの戦いでは一部の弾丸を側面を弾かれたものもある。

『さぁて、ナパーム弾はあと何発あるかな?』

 イーグルが再びスナイパーライフルを構え、フローリアは斜め方向へダッシュした。直線的に進むと的となるので弾丸に直撃しないように可能な限り最高速で移動。だが、その移動速度がまずかった。イーグルの予測射撃により、ナパーム弾が胴体の横部分に直撃した。

『くっ……!厄介な弾丸ですわね!』

『そりゃどー、も!』

 返答と同時に続けて1発射撃したが今度は当たらなかった。

『この距離なら、避けられまして!?』

 フローリアは脚部のスカートから中型の銃器を取り出して、照準をイーグルに向けて即座に撃った。放たれた弾丸は散弾で、拡散された弾が放出された。距離もそれなりに近かったこともあってイーグルの回避は間に合わず、スナイパーライフルに4,5発ほど命中し、銃口やフレーム本体の一部が溶けてしまい、ナパーム弾に引火したのか爆発した。

『やったな?おかえしだぜ!』

 イーグルが両腰のマシンガンを取り出し、フローリアの脚へ向けて連射する。

 マシンガンは連射性の優れた銃器であり、イーグルが使用しているものは先ほどのナパーム弾とは異なり、通常の金属製の弾丸である。

 しかしここはリアリティルール。フローリアに着弾し続けたマシンガンの弾丸は小さすぎる為、ほんの少しだけ装甲が凹む程度でほとんど致命傷にはならない。確実に敵を破壊するならば、ジョイント部分を攻撃するしかないだろう。 フローリアは右方向にジャンプし、ジャンプ中にイーグルのマシンガンに向けてショットガンを放ち、左手のマシンガンに数発分直撃。弾詰まりを起こし、イーグルは左手のマシンガンを後ろに投げ捨てた。

「なんか……、いかにも初心者バトルみたいな感じね」

「どの部分がですか?」

 ユイの呟きにミズキが質問をした。

「致命傷にならないから当たっても良いって考えてるのよ。だってフローリアはマシンガンの弾受けてボッコボコよ?ビームやナパームだったらアウトよ」

 それもその通りである。戦法としてダメージ覚悟の突撃も悪くは無く、一気に敵に近づいて攻撃できるチャンスでもある。しかし、例えダメージの少ない実弾だとしても機体にはその分負担がかかる。

「あの戦法はコウヤ君が教えたの?」

「そうですね。あ──」

 コウヤは、サーシャに聞かれている可能性に気付き、左手で口をふさぎ、嘘の咳をして言葉を言い換えた。

「──ごほっ。あのように戦えば敵は突撃できない、とね」

 コウヤはそれに続けて小声に切り替えた。

「ではなく、脚にダメージが蓄積するのは致命的だから、とね」

 ユイはサーシャの方を軽く向いて盗み聞きの可能性に気付いたようだった。

「ふーん。4位、ねぇ……」


 サーシャは1戦目同様に盗み聞きしていたが1つの疑問点に気付いた。

(突撃できない?たかが実弾なのに?──ああ、ビームと間違えて射撃なさってますのね)

 右肩が損傷して劣勢であるにもかかわらず、そんなことを思ってしまっていた。


「本当にあの子4位なんですか?ウソ言ってません?」

 ユイはレナに確認の質問をした。

「データには4位ってちゃんとあるわよ。ま、ここの訓練項目でトップ取っても、実戦が出来なきゃなんの意味もないのにね。それこそ、コウヤ君のレート5位の方がココでは優秀よ」

「クゥエルにボッコボコにされて2位から落とされたんですけどね……」

「いえい」

「アンタたち、裏でそんなことやってたのね……」

 実際のところ、コウヤは最初2位まで昇りつめていたのだが、不運なことにクゥエルことサキと2戦して2敗。ポイントが削られて一気にレート5位まで落とされてしまったのである。逆にサキの方はポイントが大きく増えて2位まで上がったという訳である。なお、同じ学校内の学生であるため、丁度同じ時間帯にアクセスしやすい環境でああったため、ユーザー数の多い環境でも複数回戦闘できたのである。

「この後も戦うのに、なんか災難ね……」

 彼女らは話を中断し、2人の戦闘に集中することにした。


少々個人的な作業の影響で、期間が開いてしまいました。

アーレイスは可能な限り続けていきます。

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