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夜喰らい。  作者: 綴り灯火
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~夜喰らい~

夜喰らい。

不可解な事件を切っ掛けに浮上した噂。

引き付けられる上井草刻。

それを気にかける春山美咲。

奴は何を求めるのか?

夜喰らい。

最近の話だがある噂が影を這いずり回っていた、事の始まりはある事件だとか。

俺、上井草 刻の通う清輝高等学園に面する清水町の路地裏での事件が切っ掛け。

謎の怪奇事件。何でも人間でない何かに捕食されたような死体が同時に2.3体転がっているというか事件だ。

その事件は多発しており、被害者は主に悪や恨みを持たれている人ばかりだ。

喰らった跡はとても大きく人間の為せる物ではない様だった。

死亡推定時刻は決まって、深夜0時らしい。

しかも不思議な事に被害者は全て何かしらの刃物を手に胸を何回も突き刺している。

警察だけでは埒が飽かず、心霊現象が絡んでいるのでは無いかと踏んで心霊等に詳しい専門家が出向いたが、

結果は外れ。何もわからないとのことだ、事件は迷宮入り。

それが主に校内で噂と化し、誰が言い出したのか犯人は人の脳に入り食い散らす化物だと噂された。

その化物の名前は"夜喰らい"....深夜に現れる事からそういう呼称が定着していった。

_________________________________________________「夜喰らいねぇ....」

そういい椅子を揺らしながらネットに流れている噂を見ていたのは上井草 刻。

ほんのり黒の混じっているムラのない綺麗な赤髪、若干つり目の整った顔立ち。まぁ、モテる部類だ。

学園で一年生にもかかわらず学園では知らない生徒はいない程の有名人だ、本人はうとおしいと思っている。

人気者と言ってもカーストで言えば低い位置に鎮座している、上がる気は無いようだ。

男子からは九割が嫉妬の視線、女子からは好意的だが敬遠とされている。

たまにアプローチしてくる生徒は居るが視界にすら入れない刻は良く男子から反感を喰らう。

しかし負けた事はない。むしろ何人か病院に入るかその寸前が多々ある。

教室ではそれぞれのグループで会話をしている。聞こえてくるのは夜喰らいの事が大半だ。

「おはよう、トッキーくん」

「トッキー言うな...」

そう言って隣に座ったのは腰にまで届きそうな純白の髪をし、同じく白い眼をした学園での一二を争う

美少女、春山 美咲。

入学式から隣の席で、刻と似て友達は少ない通し仲がいい上にナンパされているところを助けた事もある。

刻でもこいつ可愛いなとは思っている。しかし、恋愛する気は無いらしい。

「そうだ、お父さんから聞いたんだけど」

「夜喰らい?」

「うん」

手元のケータイを弄りながら夜喰らいと返す。やはり噂の拡散範囲は広いらしい。

「あれ、現場に真っ黒な血があったんだって」

「黒い血...夜喰らいのか?」

そういい指を止める。そう、美咲の父親は警官で現場にも出向いていたらしい。

その伝で美咲に伝わりそれを教えてもらっている。

理由は分からない。何故か凄く気になるのだ、誰かに知って欲しいと言われている気がするのだ。

不思議な事に....

「ほかには?」

「今はこれだけだよ、知ってるの」

「そうか、悪いな...」

「それはそうと.....」

そう言ってこちらを睨んでいた。何かしただろうかと考える刻だったが答えが出る前に言われた。

「昨日の放課後、三年生に告白されたでしょ....それも凄い美人だとか...」

「え?...あぁ~あれか...」

確かに告白された。美人だったがあれは仮面で作られた物だとすぐに気づいた。そもそもその気は無い。

美咲は刻が告白されるとすぐ聞きに来る。しかも機嫌が悪くなるという特典付きだ。

「断ったよ、そもそも誰とも付き合う気はないまである」

「そう、良かった」

「何が?」

「へ?!いや何でもない!!」

そういい慌てて弁解しようと手をブンブン振る。可愛らしい様子だ。

思わず笑みを溢す、釣られて美咲もフフッと笑った。

「オイ、刻」

そういい机の前で仁王立ちするいかにもヤンキーな生徒がいた。

つい先日、つかかってきて返り討ちにしたヤンキー集団の一人だ。所々湿布や絆創膏が貼られている。

「またやられにきたのか?」

「裏庭でタイマン張れや、春山賭けて!」

「いつからお前は美咲を賭ける権利得たんだよ、良いぞ」

「後悔しても知らねぇぞ」

そういいズカズカと教室を出るヤンキー。そこで美咲が目配りしてきたが大丈夫と言って裏庭に向かった。

裏庭に着いたときに突然殴りかかってきた、それを難なく受け止める。

「お前、俺と席変われや羨ましい!!!」

「あ?んだ急に...」

どうやらヤンキーは美咲が好きらしい、嫉妬かよと呆れる刻。

「それで何でタイマンって言ったのに他に居るんですかね」

「え、バレた?」

「おう、そこのやつちょっと出てるぞ」

そう言った途端茂みが揺れる。図星かよとまた呆れる刻。

「バレたら仕方がない、行け!!」

その掛け声を合図に茂みから仲間であろう7.8人間出てきた。全員勝ったと思っているのか余裕の表情。

又々それに呆れる刻。

「はぁ...」

________________________________________________

勝ったのは刻。刻以外のヤンキーは全員地面に伸びている、一人加減を間違え骨をやってしまった。

刻は無傷。教室に戻ろうとすると美咲がいた。

「ホラな、俺は無傷だ。」

「あれはやり過ぎないでねっていうのだよ...」

「大丈夫だろ」

そういい二人並んで教室に戻る。ヤンキー共が唸っているが気にしない。

後日発覚したのが2.3人が骨にヒビを入れてしまっていたということ、悪いことをしたという自覚は無い。

まぁ、ヤンキーには睨み付けられたりしたが視線を移した途端に怯え始めた。

しばらくは静かだろうとは思う。また来たら脚も折ってやろうか。

「ほら、怖がられちゃった...」

「知らねぇよ、寧ろ障害が減って楽出来るだけっ」

そういい背伸びをして落胆した、美咲はそれを見てため息をする。

刻は以前からかなり絡まれ返り討ちにした事が多々あった、それ故かなり恨まれている。

美咲はそれが心配なのだ、いつか大事にならないか。刻に何かにあったら堪ったものではないと。

まぁ突っ掛かり程度では大丈夫だろうが...

しかし刻はあることを考えていた。夜喰らいの事だ

根本的に考えて夜喰らいとは何者なのか、そもそも生き物なのか、はたまたオカルトチックななにか?

目的は?何故人を喰らうのか、しかも恨みを持たれている人なのか?

恨みを持たれている、という点では刻も当てはまる。

いやまさかな...

そう思っていたがどうしてもその不吉な考えが拭えなかった。

恨み。

夜喰らいには恨みが関係しているのか?

夜喰らいは生き物?幽霊?

全てが謎に包まれたまま刻は釣られたまま...

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