新たなる出会い
ーーアームズブレイカー技術局ーー
「主任ってここんとこ、ずっとあの動画みてるな」
「あ〜あの白い竜騎士の戦闘動画だろ? まぁカスタマイズ成功の動画となったのもあるんだしそれだけ魅了されたんだろ?」
「けどさ、ちょっと見過ぎじゃね? 元はどっかのお嬢様だったのにアレだけモニターと睨めっこしてるしお嬢様の面影ないよな」
「まぁ仕事は正直、俺らの数倍こなしてるんだしいいんじゃないか? 今回の新型機作ったんだし」
「あ〜試作段階ではかなりのハイスペックだった機体だろ? ただ使いづらいから調整余儀なくされて担当外されたよな」
「その試作機って確か調整せずに新しく作りなおしたよな? その試作機ってまだ主任が持ってんのか?」
「あぁ、まだいじってるらしいぞ。その後、上からの指示で実戦テストしたらしいがかなりひどいものだったらしい、なんでも機体が攻撃出力に耐えきれず振り回されてたんだろ?」
「あ〜、パイロットもこんなの乗れるやつなんかいないって滅茶苦茶激怒してたやつだろ?」
その噂を知ってか知らずか、ずっとモニターと睨めっこしている金髪眼鏡の女性は舐め回すかのようにモニターを凝視していた。
「くふふふ。やっぱり最高ですわ⋯⋯。このパイロット⋯⋯是非会いたい⋯⋯」
その眼は常に白騎士に魅入っており、チラリと自分の最高傑作の機体を重ねていた。
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「うーん。翼の見た目はいいし、飛べるのはいいんだけどちょっと燃費悪いかなぁ」
「じゃぁ、飛べるのは無しにして跳ぶようにする?」
「けど、飛んでるの気持ちいいから味わっておきたい気持ちもあるのよ」
「ふむ、なら弾薬装備1枠減らして、それをジャンプ用にしてみよっか」
枝葉が、キーボードをカタカタと叩く。
「いいなぁ〜⋯⋯枝葉さんのサポート⋯⋯俺も2人きりでしてほしい」
「っというか、あの一戦以降全然戦ってる時見てないけど新しいの買ってないのかな?」
「数体ほど貰ったやつでやったらしいけど、機体が一回でボロボロになるっぽい」
「使い方が荒いんだ?」
「いや、ボディは綺麗なもんだよ。ただ関節やら内部の負担が激しいらしい」
「そんな事あるんだな⋯⋯」
「次はこれでやってみよっか?」
調整が終わると模擬戦に入る。
「今回は、翼を使用する時は弾を使うようにしたよ。飛ぶより跳ぶ正しいけど、勢いがあるから空中での浮遊感は保証できると思う。ただ冷却システム上、5回連続使用はできないのでそこらへんは注意してね」
「了解。じゃあ試してみるから的をランダムに出してもらえる〜?」
四角いマス目の青白く広い部屋の真ん中に赤い機体が立つ。
ーー射撃訓練開始しますーー
的が次々と出て来るのを銃で堕としていく。
ノルマをクリアすると、次は射程外や動いてる的が出現しこれも次々と当てていく。
最後のLVにもなると空中にも出現し、足を踏み込むように膝を曲げると、翼が展開し弾が飛び出すと瞬時に上空にいた。
「うわっ! G(重力)がやばい!!」
上空到達点までいくと、翼が大きく広がり、浮遊感得る。
「なるほど、弾の爆発力とその残りで翼制御するんだね」
「うん。そこからまた弾使って見てもらえる?」
言われた通りに使ってみると、弾が再び排出されるが、先ほどの勢いは無く飛んでる感覚と遜色がないと感じた。
「枝葉? これ本当に飛んでないの?」
「うん。飛んでないよ。2発目の弾エネルギーは浮遊感などの空圧と重圧に使ってる状態だよ。モニター左側にメーター追加してるから確認したら残がわかるよ」
空中の的当ても順調に終わり、最後の1発はスナイパーライフルで決めて終了した。
「うん。これなら私は大満足!! ほんっと! ありがとうね」
「ううん。構わないよ。それよりもお礼のいい所に連れて行ってくれるの楽しみにしてるからね!」
「勿論よ!! まかしておいて!!」
ーー次の日休みの日ーー
「ここは⋯⋯?」
「ここが、アームズブレイカー技術局本部よ!! いまの雑誌ではここよりいい所なんてないていわれる程いい所よ!! しかも予約殺到しすぎて1日の入場限られているから、更にレア!!」
「あぁ⋯⋯うん⋯⋯そうなのね」
温度差を感じてしまった。
(てっきり遊園地やらファーストフードとか美味しいスイーツだとおもってたのに⋯⋯)
「それなら(ABが)大好きな人と行けばよかったのに⋯⋯。私なんかでよかったの?」
「大好きな人ときてるよ?」
「え?」
「え? あ! いや友達として大好きって事ね!」
「そっか、まぁ今日は付き合ってあげるよ」
「えへへ、ありがと♪」
中を見学すると、裏話の開発秘話から思索段階のから結構な情報を公開している。
「うわぁ、意外にすごい」
「でしょう? 入場者数を限定しなくてはいけないほど人気だからねぇ」
周り歩いていると、百合が興奮して駆けつけてきた。
「枝葉ー! しーよ〜!! あっちにまだ実装検討段階の情報やってて、もうすぐ説明してくれるんだってさ!!」
「行くの?」
百合の⋯⋯この目は、もう最優先事項になっている目なので止める事はできなかった。
「皆様お待たせしました。時間になりましたので、これから実装するかもしれない情報を先行公開します」
よく見ると雑誌記者なども周りに沢山いた。
「なんか凄いタイミングよかったのかもしれないね」
説明は、カスタマイズの可能性、今までのアームズブレイカーから次のバージョンアップの説明追加点など沢山あった。
「えー、特に要望の多かった人型以外の導入なんですが⋯⋯例えば動物同士の対戦みたいな事も楽しそうではあるんですが、こういうのは一先ず見送らしていただきたいと思ってます」
えーっと残念がる人もいたが、そのまま会話が進む。
「そのアイデアを元に、次回バージョンアップではフォームチェンジなども取り入れてみようとおもって現在開発中です」
フォームチェンジに一同が声を猛る。
「それにより、機体を乗り物の形態にする事が可能になり、従来の機体もキャタピラ、ホバー、4脚なども可能になる予定です」
「更に!! 次回バージョンアップでは、ボス戦などの追加もテストプレイとしてしてみます」
あまりの興奮に立ち上がる人もおり、大歓声が湧き上がる。
「ボス戦に関しては、多人数協力プレイ型は協力レイドバトルから検討しています。最低人数は2人からで最大は16人、ボスのHPや耐久などは参加人数により変動、ただ一回の戦闘などに1時間以上かけることはモチベーションの低下に繋がるのでタイム制限は30分とします」
「そして、最後にこのボス戦の戦闘を体験してもらおうと思います。自分の持っている機体でもいいですので、どうか皆さん楽しんでいただけるとこちらも嬉しい限りです」
そういって50人いた全員が参加することになり、10人レイドが始まった。
皆が自分の機体をセットアップしてる中、1人貸し出しして貰っていた。
「貸し出しの機体なんですが、お一人様のみなので今度発売する最新機体を使ってみますか?」
「えぇっと⋯⋯壊してしまったら申し訳ないので何か古い機体みたいなのがあればそれで⋯⋯」
「ちょっと枝葉! 折角、最新機体に触れるのに断ってどうすんのよ。すいませーんこの最新機体でお願いします♪」
そういって、最新機体を借りる。
「もう! 壊したらどうすんのさ! 怒られるの嫌だからね!」
「大丈夫。大丈夫。その時は私のウルウルな目をして謝るから!」
(そんなに軽く許してもらえるとは思えれないけど⋯⋯)
次々とテストプレイをしていき、みんなそれぞれ興奮を隠せず、攻略などを口論していく。
10人レイド戦は、負けたチームは情報を次のチームに伝えていき、いよいよ5回目最終戦になる。
「頼むぞー!! 俺たちの情報を元に攻略してくれ!」
「うわぁ⋯⋯私⋯⋯1番最初がよかった。なんか勝たなきゃいけない空気になってるよ?」
「何弱気になってるの! 私達でこの巨大な城人に終止符をうつわよ!!」
「おー!!」
「みんな⋯⋯熱いねぇ⋯⋯」
1人だけいつものテンションの女の子が最新機体をどうにか壊さないように頑張ろうとしていた。
システム・オールグリーン
アームズブレイカーを起動中⋯⋯
レイド戦闘モードへ移行、対戦相手の情報確認、残り味方9名との回線同期完了。
全員が戦場に降り立つ、軽く挨拶を済ませると、モニターに赤くアラートが鳴り響く。
「うわぁ⋯⋯近くで見ると滅茶苦茶おおきいね」
「うん。そうだね。デザインがお城のロボだけあって、肩や頭に乗ってれば私は満足しそう」
「枝葉、そんなの倒した後でゆっくりと乗りなさい!」
「えー、けどそれだと動かないじゃない」
「返事はハイだ!」
「は〜い」
百合が戦闘モードに入り、口調が変わったことを感じる。
「っていっても、外側の動きは遅いのよね。防御力は高いけど⋯⋯」
みんなも先ずは定石通り遠距離で様子をみる。
bossから砲撃と矢が降ってくるのを避けて、砲台を攻撃していく。
「私、遠距離エネルギー勿体無いから前いくよー」
「まだ、砲台破壊してないよ」
通信が聴こえる。
「了解。私の友達なら多分大丈夫ですので。枝葉? ちなみに跳んでいい?」
「うん? 別にいいんじゃない?」
「サー! イエッサー!!」
1人で突っ込んでいく、射程内に入ったのかbossのヘイトターゲットが枝葉に移る。
怒涛の砲撃を巧みに避け、内側にどんどん進入する。
「あれ? 先ほどより遠距離ダメージが上がった?」
「そうみたい。多分ヘイトが前衛に入ってるからだと思う」
「なるほどね。じゃぁサッサと砲台数減らして援護に向かおうぜ」
「了解」
砲台を減らすごとに数人ほど遠距離をやめどんどん接近戦闘に入っていく。
「城門まできたら確か番兵が出てくるのよね」
城門の入り口の盾を片方ずつもった番兵が出てくる。
「よし、とりあえずみんなが来るまで削りましょうか」
boss攻略の城門戦が始まる。
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「ってか、あの砲台壊してないのに近づいた女の子⋯⋯LV高くないか?」
「あぁ、ノーダメでいけるとは思わなかった」
「もう少し砲撃は厳しくするべきだったのかな?」
「いや、あれ以上は難易度で変えるべき、ノーマルLVではダメだろ?」
開発陣がテストプレイの動画をモニターでみて討論していた。
「あの番兵の相手も上手いな。初めてboss戦やったとはおもえれないぞ?」
「うわ、これ避けるのか? 下手すればウチのパイロットより上手いんじゃないか?」
「ただこの子、武器が無いのが残念だな」
「あぁ素手だろ? 自分の機体が結構特殊だったのかな?」
主任がピクっと耳が動く。
「特殊ってなんのことなの?」
「あ、クレア主任起きたんっすね。いま来場者でboss戦の先行体験プレイしてるんっすけど。滅茶苦茶上手い子がいるんですよ」
「へぇ? どの子なの?」
「この子ですよ。単騎で内部まで潜り込んでるんですよ」
「それぐらいなら頑張ればできるでしょ」
「いえ、そうなのですが、この子武器もってないんですよ。データリンクは自分の携帯ですが機体を持ていなかったので最新機体を貸し出したんですが、武器の相性が合わないせいか武器システムが作動しなかったっぽいです」
「これ最新機体なの? ⋯⋯なら武器の適応できないのおかしいね」
「うわぁ!! この赤い機体なんだぁぁ?! 空中で浮いている」
「はぁぁ? 空中で浮かぶのはエネルギー消費激しいからただの目立ちたがりだろ?」
「いや⋯⋯それがエネルギー消費が殆どないんだよ! なんだぁ? このシステムは」
「ん〜確かに浮いてるわね。ただ少しずつ落ちてる? ならこれは飛ぶじゃなくて跳ぶなのかしら? あぁ、これ弾薬から浮力エネルギー拾ってるのね」
主任がジッと見つめると、手に持っていたペットボトルの水を頭からかぶる。
「うわぁ、主任どうしたのですか?!」
「目が覚めた。これ何階でやってるの?」
自分の服が透けて見える下着もきにせず、目が隠れてた髪をかきあげると色っぽい顔が覗く。
「た・確か6階のモニタールームです」
それだけ聞くと、すぐに部屋を出た。
「⋯⋯⋯⋯すげぇ、色っぽいな」
「あぁ⋯⋯主任⋯⋯あんなにエロかったんだな」
顔を真っ赤にして、見惚れていた。
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「よし、これで砲台もおわり! 援護にいこう」
近接戦闘は激戦を繰り広げられていた。
番兵のHPを70、50、30%に減らしていくと、雑魚的が数体POPすると、機体の足を捕まえ止まる。
すると、それを拾うかの様に番兵が雑魚と共に機体を攻撃する。
「これ、数が厳しい⋯⋯」
「ってかあの子一回も捕まってないんだけど」
「いえ、捕まってはないんですが、攻撃もできません。そろそろ機体が限界ですので雑魚的を一箇所に集まる様に誘導お願いします。そのまま私が食われますので後はお願いします」
「え? けど君はダメージそこまで喰らってないよね?」
「枝葉⋯⋯まさか⋯⋯関節部位がもう持たないの?」
「うん⋯⋯。もう限界だね。このままだと関節砕けて意味なく死んじゃうだけだし、囮ぐらいにはなるよ」
そう言われ、一箇所に雑魚を集めて飛び込む。
それに反応した番兵が雑魚と一緒に攻撃する。
その後ろ向きになった番兵を、みんなが全力で攻撃をして撃破した。
「なんとか生き残ってたっぽい」
あまりダメージを喰らってなかった事もありHPが微かに残っていたが、四肢の関節は破け、動作が不可能であり動ける状況ではなかった。
「後はまかしておいて!」
門をくぐり抜けると、新たに赤くアラートがなり、最終戦に入る。
武者のロボットであり、刀、槍、火縄銃を背負ってた。
「うん。無理かも⋯⋯いっそ枝葉の機体が死んでモニターから情報教えてもらった方がクリアーの確率高かったかも⋯⋯」
弱気になりながらも、戦闘が開始された。
(んー、これ時間の無駄だし、自爆システムとかなかな?)
そう思ってたら視界がブラックアウトし、ゴーグルが外される。
「はぁい、こんにちわぁ〜」
目の前にびしょ濡れで金髪メガネ美人がいた。
「はい、こんにちわ。これで終われたのかな? あ、すみません⋯⋯やっぱり機体壊しちゃいました」
立とうとしたら、頭をコツンと指で押される。
「?? ⋯⋯あの?」
「あぁ、ごめんねぇ。まだ終わってないのよ」
そういって最新機体を取り出すと関節がボロボロになっており崩れた。
「へぇ、やっぱりかぁ。なら、あの赤い機体の弾丸ジャンプも君がセッティングしたのぉ?」
「弾薬ジャンプの構造、もうデーターとしてあったんですか?」
「ううん〜。ないわよぉ。ただ、あれぐらいなら見れば分かるかなぁ」
じーっと枝葉を見つめると、唇に指を触れるとそのまま自分の唇にくっつける。
「??」
(何してるんだろ?)
「ん〜。ご・う・か・く♪さて、ここからが本題なんだけどこの機体使ってみてくれないかな」
「これって、人形?」
見た目はロボットには一切見えず、精巧に作られた人形にしか見えない。
「一応ロボットよぉ。関節部位には人口樹脂で皮膚を形成、無論関節にも採用してるから耐久は保証するわよ。それに服を着せてるだけよ」
「なるほど、この服って⋯⋯もしかして⋯⋯」
「やっぱり分かるのねぇ、私達いいお友達になるわぁ。ただ、お姉さんは、まずはあなたの本当の実力見せて欲しいかなぁ」
「あはは、あなたも大概、面白そうだね」
珍しくやる気スイッチが入った瞬間でもある。
システム・オールグリーン
アームズブレイカーを再接続中⋯⋯
レイド戦闘モードへ復帰いたします⋯⋯機体登録が別のに入れ替わっております、そのまま実行しますか?
実行が認証されましたので、このまま再接続いたしました。
機体名『黒の巫女』
綺麗な女性型に黒色の着物を着ており手は袖で見えず、スカートは短く、黒いタイツ・底が厚いを下駄を履いてるようにみえる脚は間違いなく機械であった。
先ほど倒れていた場所に戻って来る。
「うん。いい感じに動く。ロボットには見えない程精巧ね⋯⋯すごい技術だわ」
ただこの機体使える人いるのかしら? あからさまに上級者用な気がする。
「まぁ、それもあとで聞けばいっか」
滑るかのように滑走していき、最終戦に向かった。
「ちょっと!! これどうやって倒すのよ!」
逃げ回るので精一杯だった。
最初は接近者がヘイトをとり、他の者が遠距離で削っていったのだが、戦闘が中盤になると槍は範囲攻撃、剣はカウンター、銃はランダムで地面から火柱と爆発が起こる攻撃で激化していった。
遠距離の攻撃に反応して、攻撃した硬直時間で銃で撃たれていた為、遠距離は不可能と判断する。
「あ、ヤバ⋯⋯」
集中力の散漫から、視覚からの攻撃に気づかなかった。
「大丈夫だった?」
目の前に見知らぬ女性が武者bossの腕を蹴り上げていた。
「え? 枝葉? っというか女性? いやロボットなんだ?!」
「うん。とりあえずちょっと機体性能確かめてみる」
両手の袖から白い水銀が出るとそのまま剣に形を変えていた。
bossが刀を持ち替えそれを受け止めるとギィインっと音が弾き、そのままお互いの剣が後ろに引くように動かし更に斬り合う。
(うん。出力はもいい。前の機体だったら間違いなく斬り負けてた)
響き渡る刃物の重い音と音がぶつかる音。
(さて、次の段階だ)
剣を3本の爪に変化させると、ぶつかり合いの音は消え、武者の鎧に3本の爪痕がつく。
(両手の変化の出力も問題ないと)
一度間合いを取ると、両手を剣に変え、次は脚の裏から剣を伸ばす。
「わっわ、意外にバランスが⋯⋯」
バランスを崩した瞬間、bossの銃が光る。
「枝葉! そいつの銃ランダム範囲攻撃かも」
足元が赤く光る。
「うわっと!!」
脚を蹴ろうとするが、綺麗に床に沈んでいく。
(斬れ味良すぎる!!)
そのまま爆発するが、脚の剣を盾に変え爆風で上に飛ぶ。
盾をすぐに解除すると水銀になり飛散する。
そのまま逆さに天井に脚をつけるとそのまま止まる。
「なるほど、このつま先立ちしてるような先端ってこういう事だったのか」
天井をそのまま滑走する、その後には黒く焼けた線がつく。
「いいね。この機体⋯⋯本当に私の為に作られた感じがする」
顔が綻んでいるのがわかる。
壊れない機体があり、未知なるゾーンの楽しさを感じる。
「さて、ここからが本気の接近戦です!!」
再び接近戦に持ち込む。
両手に剣を持ち、斬り込む。
ギィインっと音が響いた瞬間、回し蹴りを実行、その瞬間に刃に変え斬り飛ばす。
脚の刃を解除すると水銀に変わった所を直ぐに右手の剣で当てると剣が拡大して大剣に変化しそのまま叩き落とす。
残りHPが10%を切ると鎧を脱ぎ、刀だけをもち身体中から赤いオーラをだした。
攻撃速度、移動速度、攻撃力増加し最終戦へともつれ込む。
枝葉は2刀の剣で、bossは一刀で間に合い斬り合う。
「これ! ノーマルじゃないでしょ!!」
百合が戦闘の光景みて正直に突っ込んだ。
「そりゃぁねぇ⋯⋯ノーマルじゃぁ測れないっしょぉ〜。最強のハーデスモードにしてる」
ニヤニヤとモニターに食いついている。
その間も斬り合いは続き、お互いのHPが削られていくが、このまま続けていけば間違いなくこちらが負けるのである。
「うーん。このままではラチが明かないし、しょうがない⋯⋯」
剣を即座に爪に変え、相手の腕ごと剣を絡めとりお互いの中心に持っていくと、もう片方の剣を差し込み白い球体を作るとソコにエネルギーを流し込む。
「さて、出力を上げていくとどうなるんでしょうか?」
前回の機体では30%しか出力できずに腕が崩壊した。
「今回は30%は安定してるし60まで上げて⋯⋯」
とてつもなく強い白い光が眩く爆発する。
「風打ちにこれはなるのかしら? まぁ、名前はとりあえず『白光』にしよう」
ボスの腕は形すらもなくなるほど溶けて、身体の前面部は焼け爛れた部分と消えた部分があり中の機械部がドロドロととけて出てきた。
そして、技を放ったブラックメイデンは至る所に傷はあるが、この白光では何事もなかったようにその場に立っていた。
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ーー数日後ーー
弾丸飛行デバイスのデータが配信される。
これにより、空中にも戦闘が広がりますます人気に拍車がかかった。
更にはボス戦も順調に配信され、連携の楽しさや協力プレイも盛んになっていった。
学校では⋯⋯。
「枝葉さん、今日ラボにいらして? いい紅茶が入ったので2人で一緒に飲みません?」
筋肉の存在が薄れるほど、金髪美人メガネが放課後に出没する様になった。
ちなみに下手な勧誘はなくなったのである。
ランカーなら知らない者はいないとするクレア主任。
主任の狙いが、枝葉である限り諦めることを認めざるを得ないのだ。
実際、ブラックメイデンは実用化は見送り状態になったのである。
枝葉専用機体でもあるが、機体性能が出過ぎている為の処置であった。
「どうやって、他のモブ君達の性能をあげましょうかねぇ⋯⋯」
クレアが溜息つきながら聞いてくる。
「練習あるのみ!!」
百合はもっともらしいことを言う。
「ん〜、とりあえずは空中感覚を身につけないとだから、ステージに宇宙を取り入れるとか?」
「一理あるわねぇ。とりあえずはそこからしかなさそうだけど、受け入れられそうにないわよね」
「まぁね、なので地道にいくなら、やっぱり深海を探索するミニゲームとか宝探し系として配信するしかないかもね」
「よし、じゃぁ今からラボにいってその案を煮詰めましょう!」
「お断りします」
「え〜、お姉さんひとりじゃさみしいし、一緒に寝てあげるからおいでよぉ」
「一緒に寝るなんて⋯⋯なんてご褒美⋯⋯そんなのに枝葉は渡さないわ。いまから一緒に私の家でごはん食べてお風呂はいって寝るんだから!!」
「それもお断りします」
そういって討論してる者達を後に席を立つ。
(ハンバーガー喰べてみたいな⋯⋯)
などと考えながら、今日も帰宅するのであった。
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「はい! お疲れ様でした」
「このクレア⋯⋯まさかお姉さんキャラになってることに感激です! しかも枝葉さまの唇に手をあてたあと自分のにつけるなんて⋯⋯エヘヘヘヘ」
【ちょい待て、最恐のエコーが今回でてないぞ!!】
「今出たじゃん。おめでと」
【な・なんだと! ぐぬぬぬぬ⋯⋯】
『次回! 逆襲のエコー』