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夢現~僕達は忘れられない  作者: 島忠(シマチュウ)
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第一章3 『目論見』



 そして、告白しよう。俺はボッチだった。一人、無口、暗い、友達になりたくないランキング上位を占める三つを抱えている俺が友達が出来る訳もなく、暗い学校生活を送っていた。


 そうして俺は決めた。暗くボッチの俺の学校生活をこの与えられた二週目で明るくしよう……と言う決意を。


 そんな事を考えている内に気づけば正門に着く、門を潜り下駄箱に靴を入れ、クラス、席の位置を知り席に座る。黒板に書いてある内容に目を通す。この日のスケジュールだった。

 

 ランドセルなど何をどうしたらいいのか分からない為クラスメイトを横身で見て、真似するように準備する。今まで来なかった俺を見てくるクラスメイトには今は目を合わせず、一人この時間をじっと待っていた。

 

 朝のチャイムが鳴ると同時に急ぎ足で教室に入り、髪を整えながら懐かしさも感じる担任の女の先生自己紹介から入る、


「ええ、私は平沼 美紀子(ひらぬま きみこ)です。平沼(ひらぬま)先生って声かけてね」


 質問など、あるか聞かれ男女のクラスメイトは色々と質問する。一週目の俺なら考えもしないだろう、俺は手を上げて質問をする。自分もその内の一人に入り記憶を呼び起こしながら誰かが言った質問と同じ質問をする、年齢の質問だ。


「黙秘権を行使する」


 そう言いと平沼(ひらぬま)先生は自分自身で笑い、それに釣られたクラスメイトも笑う――。

 

 一字一句同じ言葉に俺は嬉しさが込みあがる。変わってないな、この先生は……。


 何度目か分からない思い出に浸る、いつも笑って、親身にしてくれた先生だった。自分は歳を取り、色々な経験をしてそして、いつの間にか忘れていた。

 

 平沼先生には苦労を掛けたのにそれすらも年月は忘れさせる。


 平沼先生が、黒板に書かれた事を順を追って説明して、一日のスケジュールを言った。


 先生の挨拶が終わると、席の番号順でクラスメイトの自己紹介をしていく、程なくして自分の番が来た。


「ええ、ほとんどが初めましてだと思いますが荒船 晃です、よろしくお願いします!」

 

 拍手が小さく鳴り起こる。初めての時は、声も小さく、精々「よろしくお願いします」くらし言えなかったが俺は、声を大きく、ちょっとでも文章を長くして話をした。その文章には軽い自虐ネタも……年月とは人を成長させる。


 人は、ある程度社会的地位と信頼で成り立っている。社会と言う場では変な行動をせず、静かに生きる事が暗黙の了解だった。


 それを、時間と共に習った俺なりの策略があった。人間は第一印象が大事だった、声が大きければそれだけアドバンテージになる。

 

 暗い小学校生活を明るく再起するためには必要な事だった。俗に言う高校デビューを小学五年生で体現したようなものだ。

 

朝の挨拶が終わり、休憩が終わると程なくして移動が始まり朝の体育館に移動して新しく入った先生やら、校長先生の話など、この学校の歌で締めくくり、教室に戻る。

 

その移動の最中声を掛けてくるクラスメイトに俺は元気で、溌剌に答えた。小学五年生は色々と単純だった。気に入った様子を浮かばせながら話してくる、知っている情報があれば相手が共感できる内容を言って、笑わせ自分も笑う、そうして過ごした。


 相手がこちらを気にいると分かっていた。


 俺は野望があった、一週目で暗く地味な俺は高校でデビューもした、だがそれだと遅い、小学五年生と

 

 言う時から変えて声も根本的に変えてこのクラスで上位謙虚に言って二位の座になるほど人気者になると言う野望があった。

 

 暗いなら笑えば良い、声が小さいなら無理にでも声を出せばいい。積極的に質問して、手を上げて挙手をすれば先生からの評価はうなぎ上りだ。


 体育館の朝の朝礼が終わり、教室に着くと担任が軽めに行事してこの日の一日は帰路について終わった。


 家では玄関で母さんが出向かいてくれた、目には涙を流したのか腫れがあったがそこには触れないことにした――。

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