第8話 決闘と3人姉弟
今回は余裕を持って投稿ですね。前回は申し訳御座いません。
少しずつですけどブクマ登録者が増えるのは嬉しいです。
楽しく読んでください。
(5月4日修正)
訓練所はかなり広かった。体育館程の広さなので思いっきり暴れても良さそうだ。
「この訓練所は結界魔法が張られてあるので破損はありませんので遠慮なく戦ってください」
昨日のゴブリンと同じ勢いの戦いになる可能性があるので、周りに危害を加えてしまうのかと心配っだった。それなら安心だ。
「決闘する前に勝利条件を説明させて頂きます。相手を殺さず戦闘不能にすれば勝ちです。もし殺してしまったら殺めた方が無条件で敗北となります。そして相手から降参すると宣言すれば勝利です。それで宜しいでしょうか?」
「「「はい」」」
「意義なしだ」
「ではこちらの姉弟は三人なのでそちらも人数を合わせ...」
「合わせる必要はない」
お兄がモヒカン共を全員を指差す。
「まとめてぶっ飛ばす」
「随分と舐められたもんだなぁ?」
「何、出来ないのか?勝った方がその人数分言う事を聞かせる事、決闘での降参宣言は両者の同意で成立との条件付きでだ。悪くない話だろ?」
「!いいぜぇ、その話乗った。おい、野郎共!!」
観客席からまたモヒカン達が現れた。
「オレ達‘野党騎士団’は三十人で活動しているDランクのパーティー。もう少しでCランクに上がる予定だ。お前らを蹴散らして俺達の実力を見せつけてやる」
そんなに人数がいるのにDランク止まりとは、かなり問題集団みたいだ。
他者から見れば無茶だと思うが、僕とお姉はお兄の余裕を感じ取れた。勿論、僕達も負ける気がしない。
「お姉、モンモン、勝手に話を進めて悪い」
「大丈夫、キッキーが何をしたいか分かったから」
「そうそう、一人で十人なんて余裕だよ」
「...ありがと」
「それでは決闘を開始します。試合は三試合で行います。最初はどの方からですか?」
「私が出ます」
お姉がトップバッターで申し出た。
「最初はヨシミさん対‘野党騎士団’から十人、前に」
モヒカンが十人前に出た。何人か杖を持っている。魔法で勝負するつもりみたいだ。両者ある程度距離を取って構える。
「では第一回戦、初め!」
武器を持ったモヒカン三人がお姉に襲いかかる。残った七人が魔法を発動するために魔力を貯めながら詠唱を唱える。三人は囮か、魔法で一気に畳み掛けるつもりみたいだ。全ての行動を観察するお姉は行動を起こさなかった。
『サンダー·ショット』
いや、仕掛ける所だった。お姉が放った雷は三人のモヒカンを感電させた。弱めに放ったのかモヒカン達は麻痺にかかってしまい、ろくに動けないみたいだ。あれ?雷魔法なんてスキルの中に無かったはず。いつ覚えたんだ?
「バ、バカな。雷魔法に、詠唱無し、にだと?」
『ストーン·ロック』
地面が盛り上がったと思えば三人を土で拘束した。
『スチーム·ボム』
次に放った魔法の塊が魔法使いのモヒカン達に飛んでいく。何も脅威が無い魔法なので相手は続けて詠唱を唱えるが、塊が中間にいた魔法使いに着弾した瞬間、爆発して魔法使いを全員を吹き飛ばした。昨日の蒸気爆発似ている。あれも無かったはずだ。あとで聞こう。
魔法使い達を風魔法で三人の戦士モヒカンの方角へ吹き飛ばし、さっきと同じ様に土魔法で拘束した。
「ぬ、抜けねぇ。離しやがれこのアマッ!!」
「勝負は着いただろう!」
「何言ってるの?気絶させるか降参で勝敗が決まるのに」
「何を...!」
「やっと分かった?これはあなた達をボッコボコにできる絶好の機会をキッキーが作ってくれたの。だから有意義に使わせてもらからね」
「わ、悪かった!オレ達が悪かったから降参だ!!」
「断る」
「なっ!?」
『ウォーター·ボール』
水魔法でモヒカン達に水をかける。威力は無く、ただ濡らす為に。モヒカン頭がただの昆布みたいにたれる。
「ゲホッゲホ、何しやがる!」
お姉は手の平に電気の塊を貯めてた。
「おい、止めろ、いや止めて下さい。お願いします」
『サンダー·ショット』
「「「「「アババババババババババババッ!!!」」」」」
水で電気の伝達力を増加させたサンダー·ショットでギリギリまで痛みつける。二発更に打ち込むとモヒカン達は涙目になりかけていた。
「もう、殺しれくれ...」
痺れすぎて舌が回らない様だ。お姉はまた魔力を高めた。
「「「「「ヒィ!?」」」」」
『ライト·エリアヒール』
お姉を中心に光が放たれて、周りにいるモヒカン達に光魔法で傷を癒やす。
「あ、ああ。ありがとうござ...」
『ウォーター·ボール』
またモヒカン達を濡らす。
「「「「「へ?」」」」」
お姉は笑いながら呟いた。
「後2セット♪」
3セット目が終わった頃にはモヒカンがアフロに成り果てていた。それ以外はお姉の回復魔法で目立った傷は無かったが、何人かが目が死んでいたり、涙や鼻水でグチョグチョになっていたり、見るだけで気持ち悪い程に紅潮した顔に出来上がっていた。
「降参宣言、許可するから私の勝ちでいいよね?」
「「「「「ハイ!仰せのままに、ヨシミ様!!」」」」」
「しょ、勝者、ヨシミ!」
周りは絶対零度にいるような寒い空気になっていた。流石に身内でもあれは恐ろしかった。一種の拷問みたいだった。
お姉は僕達がいる控室で戻り、お兄とハイタッチした。あ、お兄にとってロータッチか。
「あ〜、スッキリした!」
「次は俺の番だな」
お兄は訓練所の中央に向かった。相手側からモヒカン戦士十人がビビりながら来た。
「覚悟しろよ。それなりにお灸を添えてやる」
「続いてモトヨシさん対‘野党騎士団’から十人、第二回戦、始め!」
「どうにでもなれ。行くぞ、てめぇらっ!!」
「「「「「おう!!!」」」」」
様々の武器を持ってお兄に襲い掛かる。お兄はアイテムボックスからゴブリンから奪った質の良い片手剣を取り出して嵐の様に無数の攻撃を受け流し、弾き、押し返した。モヒカン達もかなり強い。純粋に戦力だけ見ればランク高そうなのに。
お兄が隙が開いた一人に不意打ちで武器を持った腕を強打し、相手の武器を奪った。今奪ったのは多分トマホークっぽい戦斧だ。奪った本人より上手く振り回している。
「ヤロォ!」
バスタードソードを振りかぶるモヒカンにトマホークの刃が無い部分で不意を突き、また武器を奪い振り回す。
「武器を取られるな!すぐに体制を立て直せ!」
もう既にお兄は武器を奪っては、次々と相手を強制的に素手となった。鎖鎌、メイス、ダガー、レイピア、バルディッシュ、モーニングスター、ウォーハンマー、槍の順で奪っては相手を無効化にした。全員が素手になったのを確認したお兄は持ってた武器を地に下ろし、腕を鳴らした。
「これで問題なくやれる」
「くっ、武器は諦めろ。数で押せ!」
モヒカン共はお兄を取り押さえようと一斉に駆け寄るが、それを黙って捕まるお兄では無い。襲ってくる勢いを生かして柔道の投げ技を繰り出し、デカイ相手は相撲の投げ技、殴り掛かる相手はボクシングのカウンターで殴り返し、時には昇○拳など繰り出す。あれ実際に出来るんだ...
気付いたらモヒカン達はボロボロになっていた。それに反してお兄は無傷だった。余裕あり過ぎるだろ。モヒカン達は急に膝を着き始めた。
「オレ達の負けだ...」
「おいおい、まだ試してない技がまだまだあるのに」
「勘弁してください、モトヨシの兄貴」
「お前等の兄貴になった覚えは無い。そうだな全員一列に並べば考えてみよう」
「「「「「アザっす」」」」」
言われるがままに一列に並ぶ十人のモヒカン達。
「お姉みたいにグダグダした事は嫌いだから一発で決めるぞ。動かず歯食いしばれよ」
「「「「「はい?」」」」」
言葉を言い終わった途端、一番右にいたモヒカンにげんこつを食らわせた。その勢いで体の半分以上が地面に減り込んだ。
「「「「「(ガクガクブルブル)」」」」」
「しっかりと真っ直ぐに立たないと足折れるぞ」
「「「「「はぁいっ!!!」」」」」
「勝者、モトヨシ!」
全員地面に減り込んだ所で試合終了になった。地面に減り込んだモヒカンはお姉が土魔法で掘り出し、回復魔法を掛けた。屑に情けを掛ける必要なんて無いのに...さっき吹っ切れたのか元の性格に戻っている。これで良かったのか分からない部分だ。
「おい、モヒカン共のリーダー!」
お兄がモヒカンリーダーを呼び出す。そういえばお姉とお兄の決闘に最後まで出なかったなあの屑虫。
「な、何だ?」
「お前と部下と十人で家の弟に勝てたら決闘の結果を無かった事にしてやる出て来い。出て来なくても叩き出してでもここに来させる。早く来い」
「何様のつもりだ、クソッ」
「何か文句あんのか?」
「チッ、行くぞ」
リーダーの根性腐りまくってるな。最後まで自分が出ずに部下に戦わせるなんて、この決闘でお兄の条件を飲んで受けた時点で屑だと分かっていた。
「本当に無かった事にしてくれるんだろうな」
「ああ、当然だ」
しつこいな。生き延びる為に手段を選びそうに無い本当に屑だな。
「最後にモトアキさん対‘野党騎士団’のリーダー、ジークと九人のメンバー、最終回戦始め!」
モヒカンのリーダーの名前ってジークって言うのか。今知った。
今は嬲りごろ...いや、決闘の最中だ。お姉とお兄のおかげで気持ちも落ち着いたが、ジークは駄目だ。あれは痛めつけないと分からないアホだ。
さあ、さっき考えた作戦を試して見ますか。
モヒカンが多すぎる...戦闘シーンとか表現が難しいですけど楽しいです。