第5話 旅の心得と料理と3人姉弟
リアルでバイトの時間を増やせたのはいいけど長時間仕事はきついです。
でも木曜日は必ず投稿するので大丈夫です。
(5月4日修正)
日が隠れ少し薄暗い森の中、何が居るか分からない未知の迷路を僕達は歩く。そんな森の中を迷わず歩き進んでるゴルファドに続いて僕等は歩き、かれこれ3時間経っている。
彼等の話だと街までは一回野宿をしないといけないらしい。野宿か、キャンプに何回か行ったことがあるけどここでは状況が違う。色々と学ばないといけない。僕達姉弟だけで活動が多くなるから必要だ。見るからにベテランの様な手慣れた動きと行動の早さだ。出来るだけ見習わなければ。
歩きながらも様々な事を教えてもらった。途中に爪とぎの跡がある木を見つけて、地面に魔物の足跡を発見した。足跡で魔物の種類が分かるので依頼の時は探し当てられるし、無理な戦いを避けられるとの事だ。足跡と詰めの形状を見るに熊型の魔物らしい。僕等は魔物のテリトリーを避けて進んだ。
やはりファンタジーの世界だ興味深い事ばかりだ。でも周りは漫画や小説とは違い、危険が多いのだ。気を引き締めなければ。
「それにしても君達不思議な格好をしているな」
「え?」
オールさんが僕等の服装の事を聞いた。そういえば僕達が着ている服って制服のままだった。急激に変化する状況と戦闘などで気付いていなかった。
「旅に出るにはちょっと不便かもな」
「あははは...」
「それでもヨシミちゃんは可愛い天使だけどね~!」
アイナさんがまたお姉を抱き付こうと襲い掛かるが、お姉はとっさにかわしながら、僕の背中に飛び込んだ。
「もう体力の限界...」
「ちぇっ...」
「おいおい、あんま進んでないのにもうへばってんのか?」
「頭が良くても体力がダメダメでして」
「まぁ、誰もが苦手な物ってあるもんだ。オールの旦那、そろそろ日も暮れるし、ここいらで野宿して明日早く出発しようぜ」
「そうだな、各自野塾の準備だ」
ある程度寝れる広さと、見晴らしの良い所に止まって各自準備を始める。焚き火にする枝を集めたり、転がっている石をどかしたりした。
日が暮れ、森の中も暗くなり始めた。周りを照らす唯一の光は焚き火だけだ。そんな中で一晩を過ごす為に僕達は野宿をする。そろそろお腹が減り、夜ご飯の時間だ。色々あってエネルギーを使い過ぎたかもしれない。
「さて、そろそろ料理の準備をするぞ」
彼等は自分達のアイテムボックスから食材を取り出した。ウサギの肉、じゃがいも、ニンジン、玉ねぎ、キノコ、塩とコショウを取り出した。
「あのぅ、すみません」
僕は急に料理が作りたくなって、呼び止めた。
「なんだ?」
「今日の夜ご飯、僕が作ってもいいですか?」
「え、いいのか?」
「はい、料理は得意分野なので。習慣になってたのでやらないと落ち着かなくて」
「ほう、自信満々だな。んじゃ、任せた」
「ありがとうございます」
僕は今ある食材で何を作るか考えた。シチューにしようか?でも作るのに材料が足りないし、道具が無いな。そうだ、ここは魔法の世界だ。無ければ作ればいいんだ!
「すみません、誰かチーズか牛乳を持っていますか?」
「...牛乳」
「あ、チーズなら私が持ってますよ」
フィルさんが牛乳、ローさんがチーズを出してくれた。フィルさん牛乳を何故持ち歩いて...
あ、一瞬ローさんの顔の下の方を見つめた。彼女は自分に無いモノをかなり気にしている様だ。フィナさんがこっちの視線に気が付いたのか、つい目が合ってしまった。
僕の背中に冷たい汗が流れる。生まれて初めて殺気と言う物を感じた。黙って調理しよう。
「あ、ありがとうございます...」
僕は少し怯えながら牛乳とチーズを受け取った。フィナさんは手に少し力を入れて離さない様にしたが気にしない事にした。
「お姉、土魔法と風魔法で鍋を作れる?」
「う~ん...やってみる」
お姉は魔力を高めては土魔法を発動した。
『ストーン・ショット』
『サイクロン・カッター』
呪文を唱えると直径70センチの岩が現れ、小さな竜巻により岩は鍋の形になった。僕はその鍋の取っ手の所に穴を開け、アイテムボックスからゴブリンから奪った捕縛用の縄で吊るせるように作った。
「今度はここに水を入れて」
「はーい」
『クリア・ウォーター』
鍋の中に綺麗な水が満たされる。
「それとお兄、そこにある木を斬れる?」
僕はイチョウの木に似ている木を指差した。
「あれでまな板とか調理道具を作りたいんだけど出来る?」
「まかせろ!」
お兄は剣を取り出して、その木に近づいた。剣を横に振ると、木は綺麗な切断面を残し倒れた。さらに切り刻んだと思えば枝と幹の部分に分けた。幹の部分をもう一度斬り、丸いまな板が出来た。
焚き火にファイヤープレイスを作り、鍋を吊るした。集めた枝を追加して火力を上げ、水を沸騰させた。
「よし、始めるか。お姉とお兄で残った幹の部分で食器とスプーンを作って」
「「分かった」」
「シャール、このウサギの肉を一口サイズに切ってもらっても良い?」
“お安い御用です”
僕は野菜を手入れして、お姉とお兄は一緒に食器などを作り、シャールは肉を切った。僕はなるべく早く作る為に手を早めた。シャールが肉を切り終わるより早く野菜を切った。
「次は沸騰した水に野菜と肉を入れて煮込む」
切った材料を鍋に入れて煮込んでいる間にお姉とお兄がお玉を作り終えた。お玉を使って中身をかき混ぜた。
「煮込んだところに牛乳とチーズを入れて、塩とコショウで味付けてさらに煮込む」
煮込んでいる内に美味しそうな臭いが漂い始めた。皆の顔を見ると、よだれがこぼれそうなほどに口を開けていた。
最後に味見をしてみる...上出来だ。
「うん、完成だ」
「モンモン、こっちも出来たよ」
おお、良いタイミングに食器が出来たみたいだ。デザインはシンプルな形でいいね。さっそく器にシチューを装い、皆に配った。勿論、シャールのは冷ましてからあげた。
「口に合うか分かりませんが、どうぞ召し上がってください」
「お、おう。ありがたく頂く」
みんなスプーンでシチューをすくい、口に入れ食べた。
「「うまい!!」」
「「「美味しい!!」」」
そう言った瞬間、ものすごい勢いでシチューを食べていく。よっぽど美味しいのか続々とおかわりするな。
「こんなに美味しい料理初めてだ!」
「うますぎて涙出そうだ」
「ほっぺた落ちる~!」
「...幸せ」
「もふもふ!」
喜んでもらえて良かった。今までちゃんと食べてなかったのか感動している様だ。
僕達は食べながら色んな雑談や会話をした。魔物の豆知識とか教えてもらったり、街の有名な宿泊所とか話した。本当に初心者なのかと聞かれたが、何とか誤魔化して別の話題を変えた。特に僕達の年齢の話をしたら皆が驚いた。17歳なのに小さい体格、16歳にしては鍛えられた身体能力、15歳に似合わず家庭的調理と応用力を持っているのだし、そりゃ驚くな。
色んな話をして、鍋と食器の後片付けをしていたら段々と眠気がしてきた。
「もうそろそろ寝るか、最初は俺とダンが見張りだ」
「今回だけは私達だけで見張りをするから今日は寝てていいわよ。さっきの食事のお礼よ」
「...安心」
「疲れているでしょう、ゆっくり休んで下さい」
「分かりました、お言葉に甘えさせてもらいます」
僕達姉弟は彼等が提供してくれた寝場所で寝ることになった。三人で並んで横になった。空を見ると星が美しく輝く夜空が見えた。
「本当に地球じゃないのね...知らない星とかあるし、配置が違うね」
「流石我が家の頭脳派だな、もう分析してる」
「そうだね、何もかも違う世界だね」
「でも、綺麗~...」
「あぁ、そうだな」
「うん、綺麗...」
どの山に行って見ても見れそうにない夜空だ。いつまでも見て居られそうだ。こんなに美しい世界を壊そうとする邪神ナルキスめ。あまり気が進まなかったけど頑張ろう。
「まだこの世界に来て間もないけど本当に邪神を倒して守らないと」
「モンモンが珍しくやる気だね」
「ま、オタク魂でも燃えたんだろう」
「酷い言い様だな。でも頑張ろうね」
「うん!」
「あぁ!」
僕達姉弟の小さな決意だけど、本気で頑張ろうと決めた。まだまだ見てない大陸、新しい出会いが待っている。たぶん辛い思いもするかも知れないが、前に進んでみよう。
もう眠いな。寝るか。
「お休み、お姉、お兄」
「「お休み、モンモン」」
明日の為に僕等は眠りについた。
ここで元明の料理が炸裂!皆に効果は抜群でした。
姉弟達の心が一つになりました。読んでもらいありがとうございます。