第3話 初戦闘と3人姉弟
毎週木曜日の0時に投稿します。
ぜひ、読んで行ってください!!
(5月4日修正)
「ゴ、ゴブリンだ!」
「定番の魔物だな」
一体何匹いるんだろう?ゆっくり数えていられる時間は無いそうだ。それと正確な情報が欲しいな。もし、思っている以上に強かったら、無闇に攻撃できない。
‘種族名:ゴブリン
-洞窟や森の中を縄張りとしている人型の魔物。小さい体系で繁殖力が高く、数が多い。個体では弱いが数が多ければ多いほど、その危険度が増す。肉も植物など何でも食べる悪食。
-危険度:E~C’
僕の脳内に自然とゴブリンの情報が流れた。僕のスキル‘魔物図鑑’の効果みたいだ。生態と危険度までも情報が入っている。
「強いの?」
「個体では弱いけど、数が多いとかなりやばいね」
「「「ギギッ!!」」」
百も居るゴブリン達は様々な武器を僕らに向けて威嚇をしていた。何かを警戒している?
「私達、何か恨まれる事でもしたっけ?」
「さっきの爆発じゃない?それで自分達に危険を及ばす存在を消そうとしてるのかも」
「振り切れそうに無いな、これ」
「いきなりの初戦闘だね。急展開すぎて頭が痛いよ」
「やるしかないんだね」
「相手も生き物だから気が進まないが、やらなきゃこっちがやられる」
話し合ってたらゴブリン達は僕達に襲い掛かって来た。作戦も無しに初戦闘は厳しい。ゲームの知識をここで最大限に活かすしかない!
「お姉はゴブリンが沢山集まっている所に魔法で対処、お兄は武器を適当に奪ってからお姉を守りながら攻撃、僕はシャールと一緒に二人をサポートする!」
「「分かった!」」
“了解です”
僕達の異世界での初戦闘が始まった。まだちゃんとした連帯も取れてないのに...仕方が無いか。緊急事態だし、今は生き延びることが優先だ。
お姉が魔力を練っている間、お兄は襲い掛かってきたゴブリン相手に合気道で腕を折り、片手剣を奪った。そしてその剣でゴブリンを何匹も切りつけているのだが、何とも無いようだ。スキルのおかげなのか剣を扱えているみたいだ。おかしいな、為に生きている生活をしている割には戦い慣れている?疑問が出てきたが今はそれどころではない。お兄が取り逃したゴブリンがお姉の方に向かった。
「シャール!あのゴブリンの影からアキレス腱を切断して動きを封じて!」
“はい!”
シャールは僕の影からゴブリンの影へ移った後、影からアキレス腱を切断した。ゴブリンはその場で転び、立ち上がろうとしていたが起き上がれず、再び倒れた。僕は倒れたゴブリンへ駆けつけ、他のゴブリンが密集してる方向へ投げ飛ばした。
「お姉!あそこに魔法を撃って!」
「うん、分かった!」
『ファイヤー・ボール』
お姉はさっきより大きいファイヤー・ボールを放った。
「ギィイイッ!!」
ゴブリンの誰かが叫び声をあげた瞬間、数匹を除いてファイヤー・ボールが着弾する地点から逃げ出した。黒焦げになったのはたったの3匹だけだった。
「かわされた!?これじゃあ何発撃っても、きりが無いよ!」
「大丈夫!今のはこのゴブリン達のリーダーが出した叫び声みたい。そいつさえ倒せば統率力が失って倒し易くなるはずだよ」
「どれがそのリーダーなの?」
「待って、今見てみる」
辺りは緑一色に染まっているので見分けにくいな。お兄はもう十匹位倒したようだし大丈夫そうだが、持っている武器が長持ちしないようだ。手入れをしていない武器だらけなので折れた武器を捨てては奪っての繰り返しだ。遠くに良さそうな武器を持っているあの三匹から奪えば良いのに...ちょっと待った。
何であの三匹だけ良い武器持ってんだ?おかしいぞ?それに他のゴブリンより筋力がありそうな肉体、周りを観察する仕草、間違いない。あれだ!意識を向こうの三匹に集中する。
‘種族名:ゴブリンリーダー
-ゴブリンの中でも上位の個体。他のゴブリンよりも強く、 統率力を持っている。ゴブリンリーダーがいるだけでゴブリンの群れの危険度が数段階増す。
-危険度:C~A’
このゴブリン達のリーダーが三匹と、その周りに6匹の護衛兵が前に立っている。
「見つけた!」
「「どこ?」」
「あそこ!あの良さそうな武器を持っている三匹、あいつ等がゴブリンリーダーだ!」
「俺が道を作るから後に続いて!」
「了解、僕がお姉を背負って援護をするから思う存分走って!シャールはお兄の影に潜ってゴブリンリーダーの足止めを!」
「まかせろ!」
“はい!”
そう言うなり全力疾走しだしたお兄と、影に沈んだシャールの後をお姉を背負いながら走った。ゴブリン達は突然の行動に動揺して反応が遅れたおかげでチャンスが作れた。でも失敗したら戦闘が長引いてしまう。いくらチートでも僕が持たない。それにお姉とお兄も精神的に疲労が出てしまう。
一か八かだ、やるしかない。
「お姉、風魔法を準備して。とびっきり早い鎌鼬をイメージして」
「鎌鼬の時点で早いんだけど」
「いいから。向こうがお兄に気を引かれている間に早く!合図は僕が大声を出したら放って!」
「分かったよ!」
お兄はもう三匹のゴブリンリーダーと護衛のゴブリンとの一対九で攻防を繰り広げていた。いや、二対九だった。影からシャールも援護をしている。お兄とシャールのも攻撃のせいでこちらの存在を忘れているようだ。
僕の周りに風が吹いてくる。お姉が魔力で風を作り出し放つ準備をした。
「お兄、伏せて!!」
お兄が伏せると、同時にお姉が構えた。
『ウィンド・カッター』
呪文が唱えられた瞬間、ゴブリンリーダーと共に弾道の間にいたゴブリン達は上下に体を切断された。運良く他のゴブリン達がゴブリンリーダーを守ろうと駆けつけてたので半分以上倒せた。
その結果、統率力を失ったゴブリン達は僕達に怯えて逃げ出し始めた。倒した者以外のゴブリン達がいなくなった瞬間、僕はお姉を背負ったまま、その場に座り込んだ。
「あ~...緊張した...」
「うん、そうだね。私...ちょっと吐き気がするかも...」
「お姉、大丈夫か?まあ、無理も無いか...少し休んでから移動した方が良さそうだ」
「本当はもっと休みたいけど、ゴブリンが仲間を連れてくるかも。それに血の臭いで他の魔物が引き寄せられるかも知れないし。辺りを整理してから移動しよう」
「分かった、少し休むね」
「うん、任せて。シャール、お姉を癒してて」
“はーい”
お姉は僕の肩から手を離し、シャールを抱いては撫で回してた。僕とお兄は周りに散らばっているゴブリンの死体に近づいた。
「これ、どうやって片付けるんだ?燃やすわけにもいかないし...」
「これを使ってみよう」
僕は神様から貰ったアイテムボックスを手に取った。
「生物は入らないって言ってたけど、死体は入らないとは言ってないから出来るかも」
アイテムボックスの淵を近づけると、ゴブリンの死体が吸い込まれて消えた。
「おお、これなら早く終わりそうだな」
「早くしてここから移動しよう」
「ああ」
それから数分間、僕とお兄はゴブリンの死体68体、ゴブリンリーダーの死体3体を片付けた。なぜ、正確な数が分かると言うと、死体と装備品をアイテムボックスに詰めている時にさまざまな機能が判明した。
まず、アイテムボックスに入れた物はすべて確認できる。丁寧に説明文も書いてあるので未知の道具でも情報が読み取ることが出来る。物の良質とか書いてあるので売り捌けるか判断できる。さらに、持っている金額も確認可能だった。
次に僕達のアイテムボックスの中はお互いに繋がっている。僕が入った物の情報を読んでいると、物が勝手に増えていた。お兄がボックスに入れる同じタイミングで増えていたので気づけた。これは物流が崩れるから商人達に気づかれないようにしないといけないな。
まだ何かありそうな気がするけど落ち着いてからゆっくり試してみよう。今は町か安全地帯を探すべきだ。死体が無くなっても血の臭いは消えてなかったので急ぐことにした。
「お姉、シャール、終わったよ!」
「はーい」
“はーい”
僕が呼びかけると、一人と一匹は仲良く一緒にこちらへ歩いて来た。
「さて、どこへ向かえば良いんだ?」
「ねえねえ、森に行ってみよう!」
お姉が少し離れている森の方を指差した。
「え、何で?」
「向こうから魔物じゃない気配がするから」
「「え?」」
お姉が指差した方向に向かって‘魔力感知’を使ってみた。本当だ、さっきのゴブリンみたいに禍々しい気配ではない。ゴブリンより魔力量が高いが数は二つか。十分に対処できる。
「たぶん、人かも」
「どうする?何か投げて反応をみてみるか?」
「だめ、少し近づいて声をかけてみよう。僕らはここの知識に詳しくないから少しでも得られる機会をつくらないと」
「私もモンモンの意見に賛成!」
「分かった、危なければすぐに対処するからな」
「ありがとう、じゃあ、行ってみよう」
僕らは森がある方向へ向かった。隠れている者がいる所から十メートル離れている場所で止まった。
「すみません、そこに居る人?達に聞きたいことがあります」
反応無し。警戒されているのかな?
「僕達旅に出ているのですけど道に迷ってしまって...どうか助けてもらえませんか?お礼はするので助けてください」
返事は無かった。僕らは諦めて別の方向に向かおうとした瞬間、木の陰から二人の人間が現れた。
「何故オレ達の隠密がばれた?」
戦闘のシーンは難しい面がありますね。戦闘は何とか勝利!
最近、バイト帰りが暖かくなってきました。季節代わりに気をつけてください。