第35話 誕生日準備と3人姉弟 5
前話の最後の部分をしゅうせいしました。内容が被ってしまったの遅く気付いてしまい申し訳ございません。ストーリーに大きく影響はないので読み直さなくても大丈夫です。それとモンゴル時間と時差があるのを忘れてました。遅れて申し訳ないです。
また話が急展開されるパターンだ!これ以上はもうダメだ。流石に貴族のお嬢様に何かあったら申し訳ないし不安だ。
「でも流石に・・・」
「ご迷惑、だったでしょうか?」
メロールちゃんとメリアンちゃんが上目使いでこっちも見てて可愛い。・・・じゃなくて!どうにか断る方法はないのか!?
「皆さんともう少しお話しをしたかったのですけど、私達のワガママでお時間を取ってはいけないので・・・」
「「「あー!!まだ眠たくないなー、眠気が来るまで話そう!」」」
メロールちゃん達のシュンと落ち込んだ姿を見た瞬間、僕達は脱出を放棄した。そして見事にハモった。
「本当ですか!ありがとうございます!」
「やったー!もっとおはなししてー」
「セバル、後で彼らの泊まる部屋に案内してやってくれ」
「畏まりました。では、皆さん参りましょうか?」
僕達は着ていた礼服を着替えた後、セバルさんの案内でメロールちゃん達が寝る寝室に向かった。寝室は今日遊んでいた部屋とは違う部屋だった。メロールちゃん達とメイドさん達が先に入って寝巻きに着替えて、後から僕達も部屋に入った。セバルさんは外で待っているそうだ。部屋の中は大きなベッドが2つ並んでいて、机と棚とクローゼットがあった。ベッドには僕が作ったぬいぐるみが置いてあった。抱いて寝るのかな?可愛らしいな・・・
二人はベッドの上に乗っては僕達の方を向いた。
「皆さんのお話をしてください。冒険のお話でもなんでもいいです!」
「なんでもー!」
「そうだね、何から話そうかな?」
お姉、お兄と一緒に何を話すか考えた結果、最初のゴブリンの群れの時、ギルドの依頼で討伐した魔物や指名手配犯を倒した話をする事にした。最初は驚いてばっかりだったけど、段々と楽しそうに聞いてくれた。途中でメリアンちゃんが寝ちゃったけど、メロールちゃんはもっと聞きたがっていたから続けて話をした。
指名手配犯を捕まえた時の事を話していると、お姉が急に僕の耳に囁いた。
「モンモン、館の外に不審な動きをする人達を感知したんだけど、どうする?」
ほんと急だね。このタイミングで不審な動きをするなんて。十中八九、暗殺かこの子達を誘拐かな。丁度メロールちゃんも寝付いた所だったので小さい声で話そう。
「警備の人じゃなくて?」
「この館にいる人達の魔力は覚えてるから間違いないよ。それにコソコソと動いているから明らかに不審者だね」
「どうする、モンモン?」
「モンモン言うな。このまま直ぐにセバルさん達に知らせた方が良いけど、もしも逃して後でややこしくなるかも知れないね」
「全員捕まえるか?」
「そうだね。メロールちゃんの誕生日を無事に迎えたいし、ここは穏便に行動して後でミュールさんに報告しよう。でもセバルさんには言っておこう」
「どうやって捕まえるかだね。敵は5人いるよ」
「5人か・・・シャールやプービーを召喚しても逃しちゃう可能性が高いね」
「俺がなんとか2人を抑えようか?」
「それならギリギリかな?」
「モンモン、不審者達が一箇所に固まったよ」
「どうやら侵入する最後の確認って所かな?今がチャンスかも」
「「了解」」
僕達はそっと部屋を出てセバルさんに事情を説明して不審者を捕まえに外へ出た。
少し曇りかかっている月明かりに照らされるヒューズ家の館。遠目に離れている林に渦巻く影達が館から目を離さずに作戦会議をしていた。
「野郎ども、最終確認だ。裏にある厨房の窓から侵入し、ターゲットの小娘達を連れ去り、領主以外は殺しても構わない。誰かに見つかる前に殺せばいい。もしバレたとしたら小娘だけ連れ去りずらかるぞ、いいな?」
「「「了解だ、ボス」」」
「しかし、ボス。なぜに全員抹殺じゃなく、小娘達と領主を残すんですかい?」
「依頼主はその様にしろってな。大方、自作劇で探すフリでもして小娘達を個人的に可愛がるつもりかもな。散々使った後に領主に見せつけるんだろうよ」
「エグい考えだぜ、ボス」
「俺がそうしてんじゃねぇよ。何度か似たような依頼を受けていたからな」
「流石はボス。だてにボスやってないっすね」
「まぁな、今回はかなり高額の依頼だ。終わったら女で遊ぶか」
「おお、ボス!太っ腹!」
「よっしゃ、いつもの子を朝まで抱くぜ!」
「仕事を完璧に終わらせればな。んじゃ行くぞ!」
「「「うす!」」」
ガサガサッ!
「「「「「っ!?」」」」」
後ろから物音が聞こえて全員背後を振り向いた。ボスが手下の一人に目線で見て来いと合図する。ゆっくりと音がした場所へ近づく。強い風が吹き、月明かりが強まって薄暗い林を明るく照らす。周りを探して見るが何も無かった。どうやら木の実が何かが落ちたのだろう。安心して仲間の方を振り向く。
「ボス、何も無いで・・・」
「どうした?」
「ひ、一人足りない」
「あ?何言って・・・」
部下を一人ずつ数える。1、2、3・・・?いち、に、さん・・・一人消えていた。こんな時に消えて冗談かと思ったが、そんなはずもない。一番仕事をやって女で遊ぶヤツが音も無く消えた。
ドサッ!
今度は正反対の方から音が聞こえた。位置的にボスの方が近かったので、ボス自ら音がした方へ近づく。一歩一歩近づくにつれそれが何なのかはっきりしてきた。
それは先程消えた部下が身につけていた服だった。その全てが所々溶けたようにボロボロになっていた。
なぜ消えた部下の服が?それにこの溶けたような後は一体?その中身の部下はどこへ?ボスは何が起こっているのか理解できずにいた。風がまた力強く吹く。風が吹くと共に寒気がした。気温的な寒気では無く、何か危険な物を感じる寒気だ。ふと背後を振り向く。
数える。1、2・・・???いち、に・・・また消えた。最初に物音がした所にいた部下が消えた。異常事態だ。だが闇雲には動いてはやられる。そう感じたボスは恐怖心より責任感が強く出て来て叫ぶ。
「緊急事態だ!固まって周囲を警戒!」
残った部下二人はボスの所へ駆け寄り、お互いに背を向けあいながら周囲を警戒した。
「畜生、どうなってるんだ!?」
「ボス、もう一人は何処に!?」
「それにさっき落ちてたものってなんすか?」
「分からんがもうヤられている。さっき落ちてたのは最初に消えた奴の服だった」
「どうやって音も無く消えるんだよ!」
「そもそもなんで俺達の位置がバレているんすか!?」
「なんでも俺に聞くな!俺が知りてぇよ!!」
訳の分からない状況が連続に起こって混乱している。どうすればいいか分からない。何をされているのかも分からない。なぜ自分たちが狙われているのかも分からない。相手が何者かも分からない。何人に襲われているのかもわからない。どんな手口で部下達を消したのか分からない。分からない事だらけで何がなんだか分からない。また風が強く吹く。ボスは直感的にこの風が原因だと悟った。
「おい、気を付けろ!この風、何かおかしい・・・!?」
振り向いて注意しようと思ったら、見てしまった。部下が影から伸びる無数の触手に絡まれて、影に引きずり込まれる瞬間を。とっさに手を伸ばして掴もうとしたが、もう既に引きずり込まれた後だった。
「畜生がぁあああああああああああああ!!!」
自分の影に短剣を突き刺して見たが、なんの手応えもなくただ地面の感覚しかなかった。
「え、ま、また消えた!?」
「消えたんじゃねぇ!影に引きずり込まれちまったんだよ!」
「影にって・・・そんな魔法は高等の闇魔法しかないっすよ」
「それにご丁寧に口を塞いで体も完璧に縛り上げていたんだ。抗いようがない!」
「どうするんすかそれ」
「影に背を向けるな。影から何か出てきたらとっさに動け。闇魔法で影を使った攻撃は相手が動いている限り外れやすい」
「りょ、了解っす!」
残った二人は影に注意しながら少しづつ動いていた。
「これじゃ館に近づけないっすね」
「もう任務失敗だ。このまま脱出する。日を改めるしか無い」
「それじゃ失敗っすか?」
「ああ、金より命が大事だ。撤退だ」
その言葉と共に影から何かが飛び出てきた。ボスは直ぐに気付いて離れたが、部下は一歩遅れてしまい何かに捕まってしまった。それはスライムみたいな液状の体で猫の様な形をしていた。ボスは今まで色んな魔物に遭遇し対処していたが、こんなスライムは見たことも聞いたことも無い。身の危険を感じ、部下を捨てて林の中に逃げ込んだ。
さっきのは何だったのかは今はどうでもいい!今は生き延びることが最優先だ。追いつかれないように直線じゃなく、ジグザグに走り抜けた。出来るだけ跡を残さないように走り回った。部下は一人もいなくなったので押さえ込んでいた恐怖心が蘇る。
「くそっ、何がどうなっているんだ!?」
走って走って走って走って走りまくった。生存本能が強く働き、疲れを忘れられたのが幸運だった。このまま逃げ切られると思っていた。
何かが追いかけてくるような音がするまでは。
振り向くと、何かが木の上を猿のように素早く飛び回りながらボスを追いかけていた。さっきのスライムもどきじゃ無い。ボスはさらに走った。だが、音はどんどん近づいた。ボスはそのまま走るべきだったが、焦りで足を滑らせ壮大に転んだ。立ち上がれず、後ろを向いた。何かが自分に飛びかかってくる瞬間だった。
「うわぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
強い衝撃と共にボスの意識は途切れた。
なんかホラーになってしまった。