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異世界冒険と3人姉弟  作者: Banapan
第一章 始まりと3人姉弟
33/38

第32話 誕生日準備と3人姉弟 2

姉の結婚も無事に迎えて良かったです。

今日も絶好調。


「いきなりで申し訳ございませんがお二人は何をするのが好きですか?」


 いきなり好きなことを聞かれて戸惑う二人。


「好きなこと...ですか?」

「はい、僕は色々と小芸が出来ますが、絵を描くのが好きですね」

「私は人形が好きです」


 メロール様は人形か。ぬいぐるみも好きかな?


「ぬいぐるみも好きですか?」

「はい、可愛い動物とか好きです」

「わたしはおかしを食べるのが好き!」


 元気良く応えてくれたメリアン様。この世界に無い物を作ってみようか?


「そうですか、因みにプリンと言う物をご存知ですか?」

「ないです!」

「分かりました。少々お待ちください」


 僕はセバルさんのほうを向いた。


「セバルさん、厨房室と裁縫道具をお借り出来ないでしょうか?」

「勿論大丈夫ですが、何をされるのかお伺いしても宜しいでしょうか?」

「級に絵を描いても緊張されて笑顔にならないと良い絵が描けません。なので僕とお嬢様方の心の距離を縮めようかと思いまして」

「それなら大丈夫です。無論、私の監視下で宜しいですな?」

「構いません、そうすれば安全でしょう」

「分かりました。すぐに手配しておきます」


 セバルさんは一人のメイドさんに準備をしてもらえるように言ってくれた。


「誕生日プレゼントとしては素朴ですがぬいぐるみとお菓子を準備いたします」

「ぬいぐるみをですか?」

「はい、お菓子作るときだけここを離れますがまた戻ります。それまで待っててください」

「「はい!」」


 僕は部屋を出てセバルさんの案内で厨房へ向かった。貴族の厨房は思っていたより大きく、設備はちゃんと整っていた。そこに一人長いコック帽を被っている人とその後ろに数人の料理人が立っていた。なぜか視線が痛い。


「モトアキ様、こちら料理長のゼルフィンです。この館の全ての人達に料理を作っております」


 長いコック帽は料理長さんか。長い茶髪で一束に結んであって、少し小太りしている体系だった。鼻下の髭がかっこ良く決まっている。最初は険しい顔で見ていたが、何故かその素振りが無くなった。


「元明と申します。部外者が厨房に足を運んでしまい申し訳ございません」

「いえいえ、どのような方が来られるか気にしてはいましたが、手を見るに大丈夫そうなので安心しました」


 今まで会ってきた人達が揃って僕の手のことを言うな。あまり綺麗な手じゃないのにな。


「そんなに分かりやすいでしょうか?」

「正に職人の手と言う感じですな」

「ありがとうございます?」

「そこは誇って良い所でしょう。それでどのような物を作られるのかな?」

「僕の故郷のお菓子でプリンと言います」

「プリン、聞いたこと無い名ですな」


 まあ、僕の故郷って言っても地球だからね。多分、無いんじゃないかな?


「ここを使う料金代わりとしてレシピを提供します」

「そこまでされなくても大丈夫ですよ」

「いえ、今後お嬢様方に作ってくだされば嬉しいです。使う材料は卵、牛乳、砂糖これだけです」

「思ったより少ないですな」

「簡単で早く作れるのが売りですから。この館にいる人数分作りますね。今現在、何人居ますか?」

「旦那様ご家族で4人、使用人18名、モトアキ様の姉弟で計25人ですな」

「ありがとうございます。それは早速作りますのでお願いします」

「こちらこそお願いいたします」


 まずプリンを作りコップを30個用意した。おかわりするかも知れないので多めに作ろう。プリン1個で卵一個、牛乳150cc、砂糖30gを使う。なので30個だと卵三十個、牛乳4500cc、砂糖900gだな。流石に機械とか無いので半分に分けて作ろう。まず最初に卵と牛乳、砂糖が溶けてなくなるまでよく混ぜる。2、3度こすと、砂糖も完全に溶け切って上手く出来る。そして鍋に容器が半分つかる程度のお湯を沸かす。沸いたら耐熱の容器にかき混ぜたプリンの液を泡立たないように流しいれる。ここでの注意点!加熱途中、プリンが膨張するので、容器いっぱいいっぱいにするとあふれてしまうので注意しないといけない。そしたら容器を鍋に入れ、ふたをして弱火で10分火にかける。

 待っている間にプリンに掛けるカラメルを作ろう。まず、小さな鍋に砂糖を大さじ二杯、水を大さじ一杯入れてかき混ぜないまま火に掛ける。混ぜない、触らないままじっと我慢だ。周りがきつね色になったら鍋を回しながら全体を混ぜ合わせる。良い色になってきたら火を消して、水を大さじ一杯半ゆっくり入れて鍋ごと回して馴染ませる。ある程度冷やしたら完成だ。

 カラメルを作っていたらちょうど10分経ったのでプリンを鍋から出す。そしてプリンを冷やせれば完成だ。


「ふう、残りは皆さんにお願いします」

「いやはや、こんなに簡単にできるとは、世界はまだまだ広いですな。いい勉強になります」

「冷やさないといけないので1時間ほどしたら、お嬢様方に持って来てもらっても良いですか?」

「はい、畏まりました」


 厨房を出た途端、何かを猛烈にかき混ぜる音が聞こえた。早速プリンを作っているみたいだ。


「どうやら料理人達に火が付いた様ですな」

「そんなに難しい物では無いのですけで」

「ホッホッホ、謙遜な方ですな」


 何故かセバルさんの眼差しが尊敬する目に変わっているような?


「セバルさん、お嬢様の部屋で裁縫をして良いでしょうか?」

「すでに準備を済ましております」


 流石、執事長だな。いついかなる時も気が利くな。

 そのまま僕達はお嬢様達がいた部屋に戻った。そこにはメイドさん達が持って来た裁縫道具を興味深めに見ているメロール様とメリアン様がいた。


「あ、モトアキ様!」


 メリアン様が笑顔でこちらに向かって走って来た。


「おかしはできたのですか?」

「申し訳ございません、まだできていません。少し待って頂ければ出来ますから」

「いまたべてはだめなのですか?」


 うるうるとした瞳で聞いて来る幼女。イカン、可愛い過ぎて目眩が。でも、あえてここで教えなくては。


「メリアン様、何事にも待つ姿勢も大事です。一番美味しい時に頂いたほうが一番です。なのでもうしばらく待ってください」

「わかりました!メリーまちます」


 自分の事をメリーと呼ぶのか。最高だね。


「さて待っている間にぬいぐるみを作りますか。メロール様とメリアン様はどんな動物が好きですか?」

「私は猫が好きです」

「メリーはうさぎが好きです!」

「分かりました。直ぐに作りますね」


 僕は準備されていた裁縫道具でぬいぐるみを作り始めた。色は2つとも同じ白で良いかな?最初に布にチョークで目印を付けていく。目印は作る部位の一回り大きく付けていくのが常識。感覚的にやっているけど、どちらも同じ大きさになりそうだ。それから目印を付けた所を切っていった。胴体と手足は全く同じ大きさで、耳と尻尾だけ違った。最初に手足、耳、尻尾を丁寧に縫い合わせてから綿をバランス良く入れる。綿も高級素材なのか凄く柔らかいな。次に頭部に耳を縫い付け、ボタンと黒い糸で顔を縫ってから綿を入れる。同じく胴体に手足、尻尾、そして先程の頭部を縫い付けてから綿を入れる。これで可愛いぬいぐるみの完成だ。


「はい、出来ました!」

「「すごーい!!!」」

「お近づきの印とは言ってはなんですが少し早い誕生日プレゼントです」

「「ありがとうございます!」」


 二人共喜んでくれて何よりだ。その笑顔にセバルさんやメイドさん達もほっこりと和んでいる表情だった。

 しばらくぬいぐるみで遊んでいる二人見ていると、僕が作っておいたプリンと美術道具が運ばれてきた。


「さて、お菓子を食べましょうか?」

「おかし!」


 プリンに最後の施しをしようとしたら、プリンを今にでも食べそうな姿勢で眺める二人。


「ゴホン、お嬢様方。姿勢が悪いですぞ」

「「ごめんなさい...」」


 急がねば。さっき厨房で作ったカラメルをアイテムボックスから出してプリンにかける。すると、ほど良い甘い香りが漂う。これでプリンの完成だ。


「さ、召し上がれ」

「「いただきます!」」


 初めて見るプリンをスプーンで突くと、ぷるんと揺れる。更に強くスプーンを差し込むとプリンが削れて、それを口に運ぶ。


「「美味しいー!!!」


 良し、いい笑顔ゲットだぜ!早速準備された美術道具でスケッチを高速で始める。最初に鉛筆みたいな物で全身の大きさと比率を描き出し、細かな顔の部位と服を薄めに描いた。そして描くと決まった場所を強めに小さく描いて、消しゴムを使って全体を軽く消す。すると強めに描いた部分が残って後で彩色するのにあとが残らず塗りやすい。ここまで掛かった時間は約10分。

 残った部分を確認しながら彩色を始めた。油性なので色の上乗せが簡単なので間違っても簡単に修正しやすいが、色の混ざりが良くないので最初から色を混ぜないといけない。慎重にしないといけないのは変わらないけどね。

 彩色を始めてから2時間ぐらい過ぎた頃だった。目の前には今にでも飛び出てきそうなお嬢様達が居た。笑顔でプリンを頬張っているメリアン様とぬいぐるみを抱いて笑っているメロール様。どちらも幸せそうな顔だった。

 うん、これで良いかな?


「完成です」

「「「おお~~!!!」」」


 いつの間にか後ろに領主様、お嬢様方、セバルさんと使用人の方々が集まっていた。


「お姉さまにそっくりー!!!」

「なんと素晴らしい絵であろうか!眩し過ぎる笑顔満開のお嬢様方をここまで表現するとは」


 知らない顔だったがこの館の専属芸術家っぽい人が涙しながら感動していた。

 どう反応して良いか分からず領主様に目線で救助要請をした。


「モトアキ君、いくら欲しいかな?」


 ...やりすぎたかな?


ちょっと長めですが文字が止まりませんね。

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