第2話 異世界と3人姉弟
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(修正日5月4日)
意識が無い僕の体に心地いい風が吹き、草も風に吹かれて綺麗な音色が聞こえてくる。徐々に意識が回復した。
「...こ、ここは?」
どうやら時空の狭間に落ちている時、気を失ってたみたいだ。回りを見ると隣にお姉とお兄も倒れている。二人とも無事のようだ。よかった。
そして僕は辺りを見回した。
「うわぁああ...!」
目の前に今まで憧れてた異世界が広がっていた。僕は思わず感動のため息を漏らしてしまった。
見たこと無い程の高い山、同じように見えるが違う植物、微かに感じる魔力の気配があった。スキルのおかげで見える景色が違う。
「うう~ん...」
急にお姉が唸ったと思えば、目を覚ましたようだ。それに続いてお兄も起き上がった。
「お姉、お兄、大丈夫?」
「大丈夫っぽい」
「俺も大丈夫だ。しかし、ここが異世界か...」
お兄がそう呟くと、お姉は周りの景色を見回した。僕も釣られて、また景色を眺めた。何回見ても新鮮な世界だ。僕達はしばらく景色を見つめてて会話も無く、ただ見つめていた。
「これから私達、どこへ向かって行けばいいの?」
最初に口を開いたのはお姉だった。
「そうだね。まだ太陽を見るからには昼頃だと思うし、町を探さなきゃ」
「じゃあ、早速出発しよう」
「その前に!」
僕は当てずっぽうに進もうとするお兄の肩を掴んだ。
「最初に僕等のスキルの確認だよ。何も分からずに進んで魔物に出会ったら、今度こそ死んじゃう。そうしたら神様が苦労されるだけ、分かった?」
「あ、ああ。分かった」
スキルとか能力が無かったら僕達はただの制服を着た人間だ。簡単に死ねる。そうならないためにも僕達のスキルを使い慣れないと。
自分のステータスってどう見るんだろう?教えてもらってないが、試しにステータスと念じてみた。
タチバナ・モトアキ
LV:1
職業:クリエイションサモナー
HP:300
MP:1000
攻撃力:100
防御力:100
知能:500
速度:100
器用値:999
スキル:召喚魔法、召喚獣意思疎通、召喚獣融合、魔物図鑑、魔力操作、魔力感知、魔力回復(高)、多様多芸
僕の目の前に僕のステータスが表示された。ビンゴ!
「二人とも、ステータスって念じれば、自分のステータスを確認できるよ」
僕の言葉を聴いた二人はすぐに自分のステータスを表示した。僕はまた僕達のステータスを確認した。何度見ても凄いな。これほど凄い職業とスキルをもらっても勝てないって、恐るべし邪神。
「お兄のスキルは武器が無いと使えないみたいだね。僕達は魔法を扱うからまだやって見ないと分かんないね」
「私、魔法のスキル沢山もらったけど扱えるのかな?」
「たぶん、職業が関連してるんだと思う。僕とお姉がもってるスキルの幾つかが被ってるし。やって見るしかないね。幸い、広い草原にいるし、試してみよう」
「「はーい」」
本当は早くスキルを使いたくて体がウズウズしていた。でもさっきのは本気で言った事だ。たとえ凄いスキルをもらっていても僕達にはここでの常識と経験が全く無いのだ。だからこそ慎重に進まなければいけない。
僕達は草原の中心に移動した。どんな事が起きるか分からないので、なるべく危害が無いようにした。
「まずは、お姉から始めようか?僕の言うとうりにやってみて。たぶん、スキルのおかげで魔力を意識できるから。魔力を感じたら手の平に火を灯すイメージをしてみて」
「分かった、やってみる」
お姉は目を瞑って、手の平に何かを持つ仕草をした。お姉の手に魔力が集まったと思えば、火が点いた。
「「「おお!!」」」
本当にできるとは、さすがお姉。ただそれっぽい事を言っただけなのにやりこなすとは...
あれ、段々と火が大きくなってくぞ?火が炎に変わってるけど?
「お姉?それ早く止めて。なんかマジでヤバイんですけど?」
「ごめん、止められないかも」
...死ぬ。ってイヤイヤイヤ!!何とかしないと!
「それを早くどっかに撃って!」
「わ、分かった!」
『ファイア・ボール』
お姉が何か呪文っぽいことを呟いたらデカイ炎を放った。物凄い炸裂音と共に風圧が襲い掛かり、炎が燃え上がる。
うわぁあ...燃える燃える...草原で試して見て良かった。でも、あれでファイア・ボールなの?明らかにステータスが影響しているな。森とか山で試してたら100%火事になって大惨事になるとこだった。危ない危ない。
「わわわわわわわ!モンモン、どうしよう!?」
「って感心してる場合じゃない!広がる前に消さなきゃ!お姉、水!水魔法で消して!」
「う、うん!」
お姉は両手を燃え上がる炎に向けて魔力を高めた。すると今度は水の球が作られた。
『ウォータ・ボール』
さっきのファイア・ボールと同じ大きさの水球が放たれた。するとさっきより大きい爆発が起こり、僕達は数メートル後ろに吹き飛ばされた。
「いたた...キッキー、モンモン、大丈夫?」
「な、なんとか」
「な、何がおきたの?」
「あまりにも慌てすぎて、考え無しに水をいっぺんに水をかけたせいで蒸気爆発が起こったみたい」
さすが我が家の頭脳派だ。それ知ってるなら気を付けて欲しかったところだ。あ、魔法を使ったから認識が違ってたか。それは仕方がない。
「ここで試すのは正解だったな」
「うん、そうだね。お姉はたぶん、他の魔法も使えると思う」
「やってみた感じだとできるかも。何か魔法の呪文を知らずに呟いていたし」
「そっか、お姉は試したから次は僕かな?」
今度は僕の召喚魔法の番か。でも僕、詠唱破棄のスキル持ってないけど、どうするの?まさか 厨二病っぽい台詞を言わないといけないの?まさか...こ、こんな形で黒歴史を再現しないといけないの?
「モンモン、早くして~。現状把握しないといけないんでしょ?」
「うっ、うん」
マジか。やるしかないのか?ホントに?これやったら恥ずかしくて簡単に死ねる。 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理 無理。
いや、落ち着け、僕。ここは異世界だ。こうゆうのは普通なんだ、出来る...はずだ。何を言えばいいか分からないので、召喚魔法っぽい詠唱を考えながら呟いた。
「‘我が僕よ、主の問いに応じて我の前にその姿を現せよ’」
『サモン・モンスター』
これで出来なかったら泣くとこだった。恥ずかしい思いをしながら、自然に呪文を呟いたら魔方陣が現れた。すると、召喚できるモンスターの目録が表示されていた。
「え~っと...狼、鷹、馬、猫か...試しに猫を召喚しようかな?同じ猫でも属性がちがうのか。まずはこれにしよう」
僕は笑いを堪えてる二人を横目に召喚獣を選択した瞬間、魔方陣の中から黒い猫が現れた。
名前:
LV:1
種類:シャドウ・キャット
HP:200
MP:100
攻撃力:50
防御力:30
知能:40
速度:50
器用値:60
属性:闇属性
スキル:猫爪、噛み付き、影同化、闇魔法、魔力回復(極小)
「ニャーン」
「「「おお、可愛い!」」」
名も無き猫は僕の手に顔を擦り付けていた。
「君の名前はどうしようか?」
“何でもいいよ”
「え?」
今、何か声が聞こえた。この猫の声?あ、僕のスキル‘召喚獣意思疎通’か?
「どしたの、モンモン?」
「いや、僕のスキルでこの猫の言葉が分かるみたい」
「おお、いいな!動物と話せるなんて良いじゃん」
「羨ましい!ねえねえ、名前は何にするの?」
「うーん...シャールでいいかな?」
名前:シャール
LV:1
種類:シャドウ・キャット
HP:200
MP:100
攻撃力:50
防御力:30
知能:40
速度:50
器用値:60
属性:闇属性
スキル:猫爪、噛み付き、影同化、闇魔法、魔力回復(極小)
さっきまで空欄だった名前の目録にシャールの名前が書き込まれた。シャールは嬉しいのか、ゴロゴロと鳴っていた。
“良い名前だね、気に入ったよ”
「これからよろしく、シャール」
シャールは二人の方を向いた。
“ご主人、この二人は誰?”
「あ、僕達の紹介がまだだったね。こっちが一番上の姉、橘善美、こっちは上の兄、橘元吉、そして、僕が末っ子の橘元明だよ」
“ヨシミ、モトヨシ、モトアキご主人...難しい”
「それにしてはスラスラ言えたね」
僕は褒めながらシャールの頭を撫でた。
“エヘヘ...嬉しい”
「さて、一通り試したことだし、冒険、始めますか?」
「うん!」
「おう!」
“はい!”
「冒険の始まりだ!」
と思った時、四方から魔力の気配が複数感じ取った。お姉と僕は‘魔力感知’で、お兄は‘気配感知’でその気配を感じ取った。
「何か来てるね...沢山も」
「ざっと五十?いや、もっと多いな」
「多分、百は居るかも。シャール、影に隠れて」
“はい”
数分間の間、周囲を警戒をしながら待っていると、草陰から皮膚が緑色に包めらた小人、ゴブリンが現れた。
召喚獣のシャール登場!どんな冒険が待ち受けているのでしょう?
春でも夜は寒いですね~...風邪と花粉症気を付けてください。