第28話 落し物と3人姉弟 2
お久しぶりです、Banapanです。
異世界冒険と3人姉弟を読んでくださっている皆さんにお知らせがあります。
まず、投稿曜日を木曜日から日曜日に変更します。事情上日曜日の内に投稿するほうが時間を作れると判断しました。
そして、3人姉弟のイメージを描きました。
皆さんがイメージし易いように描いて来ました。上から順に元明、元吉、善美です。本当はクリスマスに投稿したかったのですが、年末で予定がパンパンでやっと投稿できました。
これからもよろしくお願いします。
僕達はギルドを出て直ぐに西の方向へ向かった。そこから人が隠れる所を探すために外へ出ないといけない。手遅れになる前に烏を操っている犯人を捕まえなくちゃ。
「でもモンモン、どうしてその烏達が操られていると思ったんだ?」
お兄が僕が出した結論に疑問を持った。
「そうそう、普通の烏って光る物を集める習性を持っているよね?」
「僕も最初にそう思ったけど、ギルドの依頼の中に烏に関する依頼が全く無かった」
「え?一つも無かったのか?」
「無かった。街中に烏が沢山止まっているのに一つも無いのがおかしい。それにここは魔法が存在する世界。何かしらの魔法で記憶を書き換えられているかも知れない」
「それだったら第三者から見ればばれるんじゃないの?」
「誰かが見かけても被害者が何も取られていないといってしまえばそこで終わり。調査をする必要がなくなる」
「なるほど、流石オタクモンモンですな。この世界だったらお姉より頭が切れるんじゃねえの?」
「確かに私もこんな発想は出来ないね」
「お兄はオタクと言うな。お姉は昔あった大事件をお姉の名推理で犯人を特定できたじゃん」
「流石にここの常識じゃ私には無理だね」
僕達は昔とある大豪邸で開催されたパーティーに参加していた。でもそこで殺人事件が発生した。狙われたのは主催者、大豪邸の主人だった。そこでの調査で人数を割り込めたが、犯人が分からなかった。そこでお姉が自主的に調査に参加した。結果、犯人は狂人並のトリックやアリバイを作って逃げようとしていたが、それを裏回る計算と推理で犯人を突き止めて豪邸から帰れた。因みに犯人は借金を負わされながら働いていた執事が犯人だった。
おっと、話が脱線してしまった。今は烏を操っている術者を探して捕まえないと。被害も増えるし、このまま逃げられては元も子もない。話している内に西の門に着いた。身分証明書としてギルドカードを見せたらあっさりと通してくれた。やはり何処の世界も身分証明書になる物が無いと怪しまれるのは同じだな。まあ、無くてもそれらしい嘘を吐いても確認する方法が無いので安心だ。でもかのラノベで嘘を感知出来るスキルや魔道具があるかもしれないので嘘にならないうそを吐かないといけないかも。
「早く行かないとね。たぶん、犯人に気付かれている可能性が高いね」
「モンモン、早くモっちゃんを召喚して行こうよ」
「モリィのことかな?」
またあだ名が付けられているね。一瞬分からなかった。
「それじゃ、モリィを召喚して移動しよう」
「どんな姿になったか楽しみ!」
「もっと早くなっていたら追いつけられないんだけどな」
「ま、頑張ってもらうしかないね。お兄はアホみたいに体力が高いんだから」
「今サラッと兄にアホって言ったぞ」
お兄を無視して魔力を高める。今の僕のレベルだと4体まで召喚可能みたいだ。たぶんパーティー人数を考えると5体までが限度だろう。そろそろ新しいモンスターを召喚しようかな?
『サモン・モンスター』
召喚の呪文を唱えてモリィを召喚する。現れた魔法陣から白馬が飛び出してきた。頭から尻尾の先まで真っ白だった。
「綺麗...」
「わぉう...」
「真っ白だ...」
僕達は見とれてしまって、バカみたいに口を開けながら立ち尽くしていた。
“ご主人様達、急ぎではなかったのですか?”
「おっと、そうだった。さあ、お姉、お兄、急ぐよ」
「「うん」」
お姉を前に座らせて、僕は後ろに座って手綱を持って大地を駆け巡る。隣にはお兄が人間とは思えないほどの速度で並走していた。ここに来て段々と人間を止め始めている気がする。まあ、元から普通の人より身体能力が高かったんだ。いまさらかな?
しかし、改めてモリィの乗り心地を言うと速度が上がっていた。そして乗っていても疲労感があまり感じられなくなっていた。乗馬者回復のお陰かな?思ったより快適な乗り心地だった。
モリィで走り続けて一時間ほど経った頃、前方に森が見えてきた。目を凝らしてみると烏が森の中に飛んでいくのが見えていた。どうやら僕の推測が当たったみたいだ。
「烏が森の中に飛んでいくよ!」
「何か口に光る物を銜えているな」
「お兄、見えるの?」
「正確には見えないが、結構光って見える」
視力がモンゴル人じゃないのに目が良いな。飛んでる烏からかなり離れているのに。
兎も角、森の中に入るしかない。モリィは動きが鈍るので一旦帰還させた。一応ここに敵が潜んでいるので最大の注意を払って森の中を進んだ。お兄は気配感知で、僕とお姉は魔力感知で警戒していた。
「あ、向こうに人の魔力が感じる」
最初に見つけ出したのはお姉は森の奥を指差しながら言った。流石お姉の魔力探知能力は高いな。これなら上手く捕まえられるかもしれない。
そのまま歩いていると僕とお兄も犯人の存在を捕らえた。遠くから感じ取れる犯人の魔力は思ったより高かく、かなりの手練れなのかもしれない。気を引き締めていこう。
「お姉、お兄。感じ取っているかもしれないけど手強い相手になるよ。気を付けてね」
「「了解」」
僕達は忍び足で歩いて行った。念のために周りに烏に見つからない様に進んでいた。
すると森の奥から音が聞こえてきた。音の発生源が見える所まで接近して様子を見ることにした。
「ケヒヒヒッヒヒ、ヒュースにはバカな奴らが多くて助かるなぁ。賞金首30金貨‘漆黒烏のクロール’こと俺様の手に掛かればこんなもんだぁ。ざまぁ!」
そこには烏を撫でながら目の前に盗んだ宝石を眺めている男がいた。盗賊なのか魔法使いなのか良く分からない服装だった。盗賊専用の身軽の防具の上に魔法使いが良く着るローブを羽織っていた。全ての服装の色は烏と同じ真っ黒に染まっていた。
「前の町より多く盗る事が出来て良かった良かったぁ。これ位盗れたなら当分は盗まなくても遊んで暮らせるなぁ。どこかの風俗店で遊ぶとするかぁ。だが、そろそろ次に向かおうとするかぁ。最近誰かが街を隅々まで調べまわっているみたいだしなぁ。明日にはここを発つとするかぁ。さっさと荷詰めして野宿の準備するかぁ」
烏を操っている黒尽くめの男は宝石を袋に包んで荷詰めを始めた。
「しかし、俺様の忘却魔法が効かない奴がいるとは...魔力量が俺様と同等かそれ以上じゃなければ効くはずなのになぁ。流石ヒューミル大陸南の最前線って所かぁ。そこを狙って大きく勝負に出たのだが逆に自分にとって脅威になるとは思いもせぬ誤算だったかなぁ。まあ、思ったより儲けたんだ、良しとするかぁ」
すると集めていた枯れ木を一箇所に集めては火を焚く準備をしていた。
...独り言めっちゃ多いな!僕達の初印象は正直言ってウザくセコイこそ泥だと思った。聞いているだけでどんだけボッチ生活をしているか身に染みるほど痛く感じるから止めて欲しい!
「モンモン、あの人独り言が多いね。ボッチだったのかな?」
「ああいうのは大体仲間に影でデカイ面をして、仲間から追い出されて捻くれてしまったタイプだろうな」
「それとも、モンモンと同じ黒歴史の塊なのかな?」
「モンモンと同じ類の人間じゃね?しかも烏は元から黒いのに漆黒とかバカな事をいっているし」
「僕をあんな根暗で精神的に痛いボッチ・オブ・キングと同等に扱わないでくれる!?」
二人の酷い言いがかりでつい、大声を出してしまった。急に前方から音が聞こえ、そこ見てみると犯人であるクロールが僕等を涙目でプルプル震えながら見ていた。
「「「あ...」」」
やば、目が合ってしまった。
「貴様等...」
「いや、最初にこの二人がボッチだの馬鹿だの言ってて」
「モンモンの方が一番酷い事を言ってたからね!?」
「モンモン、ふざけんなお前!」
「お兄は人前でモンモン言うな!!」
「お前等、絶対にぶっ殺して俺様の烏の餌にしてくれるぅ!!!」
畜生!忍び足でこっそりと捕まえたかったけど馬鹿やってしまったせいで失敗だ!このまま正面から無力化して捕まえるしかないな。
意外と毒を吐いてしまう3人であった。