第26話 Fランク依頼と3人姉弟
最近所属しているサークルで劇の台本を書いていたら遅れてしまいました。
申し訳ございません。
「「「“ごちそうさまでした”」」」
「おそまつさんでした」
僕達はモロット師匠の家で親子丼を存分に堪能して後片付けをした後、師匠から後日また来てポーション生産の手伝いをして欲しいと頼まれた。出来れば今でも手伝えると言ったんだけど今日は大丈夫だと断られた。親子丼が色々と効果抜群だったみたいだった。流石に無理に残る理由も無かったので、ここはそっとしといた方が得策だ。
「ではモロット師匠、2日後にまた来ても良いですか?」
「うむ、出来れば朝から来て手伝って欲しいのう」
「では、また来ます」
「次も昼食を頼んで良いかの?」
「はい、喜んで!」
師匠は僕の料理が気に入って貰えたようだ。杉に作るメニューを考えておこう。
「前払いとしてこれをやろう」
モロット師匠は棚から新しい調薬道具セットをくれた。見るからに新品に性能も良さそうに見えた。
「道具が無ければ自分で練習が出来ないじゃろう?持っていきなさい」
「あ、ありがとうございます」
「良いんじゃ。頑張ってくれればそれで良い」
「はい、頑張ります」
僕達は“モロット·ポーション屋”を出て街を見回した。追加で必要な物を買い足したり、眺めていた。途中、果物屋さんで果物を見ていたら店長がお姉にサービスだとりんごを貰った。妹と勘違いされたみたいだ。僕は黙って感謝したが、お兄が妹に間違われているとお姉に言ったら、横腹を殴られた。相変わらず勝手に墓穴掘るね。あれは一種の病気だな。
なんやかんやで冒険者ギルドに戻ってミネルさんに感謝の言葉を言うために受付に行った。
「あら、マンダリッジの皆さん。モロットさんに会えましたか?」
「はい、無事に弟子になりました。紹介してくださってありがとうございます」
「いえいえ、私は自分の仕事をしたまですよ。でも弟子入りになったのは驚きです」
「え、どうしてですか?」
「あの方は昔、魔物に家族を失い、弟子達も戦場に連れて行かれしまい、帰らぬ人となったのです。その衝撃で心を長く閉ざしていたのです。でも貴方達を見て心情が変わったみたいですね」
確かに師匠は何か抱えていると予想をしていたが、その様な事があったんだな。
「でも、それをなぜ最初に教えてくれなかったんですか?それに結構有名な調薬師なんですよね?」
「実は昔からあの方に前からお世話になっていたのですが、事情を知ってから何かして差し上げたいと思っていたのです。そこで貴方達の様な純粋な方と合わせれば何とか心を開いてくださるのではないかと思って教えなかったのです。変な誤解をさせていたのであれば謝罪します」
「いえいえ、その様な事とは知らずに申し訳ございません。確かに知っている状態で接していれば遠慮したり距離を作っていたかもしれません。むしろありがたいです」
「そう言って頂けると助かります」
ミネルさんマジ天使。僕達はミネルさんの優しさに感動した。
「ミー天使さん、何か困った事ってあります?」
お姉があだ名を付けたって事は、ミネルさんを気に入ったみたいだ。
「何でもいいから困った事があれば何でもするぜ」
お兄も乗り気だな。
「何か困った依頼とか無いですか?」
「あ、ありがとうございます。困っている事ですか...そういえば会議でFランク指定の依頼が解決されずずっと溜まっている事、でしょうか?」
「Fランク指定依頼ってどんなのがあるんですか?」
「大体はお使いかペット探し、力仕事をして欲しいなどさほど危険が無いか、報酬が安い依頼がありますね。新しいのは表示版に貼ってありますが、誰も受けなければ保留として別に保管しています」
「どれ位あるか見せて貰っても良いですか?」
「少々待ってください」
ミネルさんが奥に入ってしばらくすると、沢山の依頼書を持って来た。
「奥にもまだありますが、全部で約百件溜まっていますね」
僕達は適当に依頼書を読んでみた。
―ペット探し
難易度:F
特徴:茶色でトラ模様の猫
報酬:10銅貨
―落とし物探し
難易度:F
捜索物:ルビーの指輪
報酬:3銀貨
―物運び
難易度:F
内容:指定の場所に運ぶ
報酬:50銅貨
お使いか交番に頼みそうな事が他にも沢山あった。強いて言うなら万屋だね。ここでこれを全て解決しよう。この世界の事をもっと知ることができるし、ギルドの悩みの種を解決できる。
「モンモン、キッキー。もしかして同じ事考えている?」
「多分な」
「同じかな?一斉にミネルさんに言ってみる?」
「間違ったら辱め者だな」
「そんじゃ、いっせーの!」
「「「この依頼、全部受けさせてください」」」
全員見事に合っていたので、お互いハイタッチ(ロータッチ)した。
「え、全部ですか?」
「はい、全部です。良いでしょうか?」
「可能ですけど...全部をするのに時間がかかり過ぎるのでは?」
「大丈夫、二週間位あれば何とかなるさ」
「二週間で?」
「今日はこの依頼書を持って帰って優先的にするものと、種類別に分けるので時間が掛かるから、実際は九日から十日で終わりそうだね」
「この街は王都ほどは無いけど、かなり広いですよ?」
ミネルさんがかなり心配してくれるな。でも流石に不可能に見える量だけど、問題は無い。元の世界ではこれよりもっと多い案件があった。確か...千件ほどの頼み事を解決していた。ある日、偶然にも警察署長から勲章を貰ったこともあった。なので、これくらいの頼み事は問題ない。
「大丈夫です。後、出来ればこの街の地図をください。地図があればより最短で行動できます」
「地図でしたらここで2銀貨で売っていますね」
「んじゃ、3つください」
「6銀貨になります」
僕はミネルさんに6銀貨を渡して、この街の地図を3つ貰った。
「本当に全部の依頼を引き受けて大丈夫ですか?
「ミネルさんも困っているのであれば助けないと」
「そこまで仰るのではお願いしても良いでしょうか?」
「「「任されました!」」」
僕達はミネルさんから大量のFランク依頼書を受け取った。数えてみると150件の依頼だった。
「それじゃまた来ます」
「無理しないでくださいね」
「「「は~い!」」」
全ての依頼書をアイテムボックスに収入して冒険者ギルドを出た。
なんやかんやで空を見上げると日が暮れて、鮮やかなオレンジ色に染まっていた。
「いや〜、色んな事があったね」
「そうだな、毎日が新鮮だ」
「そうだね。ご飯食べる前に依頼書を細かく検討してみよう。やる事が沢山だ」
「私は落とし物の依頼はリストにしてから探してみよう。全部まとめて最短ルートを絞り出すから」
「後、力仕事や肉体労働は俺が引き受けるから」
「僕は細かい仕事をしようかな?さっき見た時、絵を描いたり、彫刻を作る仕事があったからやってみたい」
「それじゃ、宿屋に戻って整理してから夜ご飯にしよ!」
「お姉の意見に賛成だ」
「僕も賛成だな。それじゃ早く宿屋に戻ろう!」
僕達はギルガルドの宿屋に戻って、依頼の分類別に分けた。分けると落とし物が58件、お届け物が30件、力仕事25件、雑用20件、ペット探しが17件と5種類に分けられた。
落とし物は指輪、ブローチ、イヤリング、玩具などなど色々とあった。小さい物なので、プービーにお願いして、何でも飲み込んで特定の探し物を探し当てよう。
お届け物は隣町の届けるものだった。歩いて二日程掛かるらしい。殆どがお年寄りが息子娘に送るのが多かった。中には親に送る手紙もあった。
力仕事仕事は部屋のリフォームと引っ越しの手伝いだった。量が多かったり少ないのがあったが、お兄にかかればあっという間に終わるだろう。
雑用は図書館の掃除、ガラス工芸、作画、演芸など色んなのがあった。僕の興味を引く依頼が多いね。この際、関連しているスキルを覚えよう。
ペット探しは犬や猫が主で、難しそうなのは鳥だった。良く探さないと難しいな。常に動いているから時間を掛けないと難しい。
「整理してから時間を考えて見たけど、落とし物を三日、お届け物は三日、力仕事は二日、雑用は二日、ペット探しは二日かな?上手く振り分ければモンモンのポーション作りと並立しながらできるね」
流石、元生徒会長様だね。スケジュール管理と計画性が凄いですね。
「それじゃ多い依頼から解決しよう」
「落し物からか。問題ないな」
「そうしよう。もうお腹空いてあんまり頭に入らないよ」
「それじゃ食べに行こう!」
夜ご飯を食べようと食堂に行くと、ゴルファドのメンバーがいたので同席で食べた。今日もまた色々とお腹一杯に食べた。
明日は大量の依頼を消費するために早く寝ておこう。
大量のクエストですね。ストーリー急展開はまだですね。