覚えたこと、忘れたこと
手に入れる、ということは。
何かを失うことだと、誰かが言っていた。
覚えることと、同じ分だけ。
覚えていたことを、忘れていく。
それに気付かないのは、忘れたことを覚えていられないから。
新しいことを覚えたという感覚だけが、残るから。
覚えることができないのは。
忘れることが、できないから。
失うものなど、何もないなんて。
たまに格好つけて言う人がいる。
失うものがないのは。
全てのものを、手放したくないから。
傲慢。
何でも手に入れたいから。
失うものがないんだ。
そんな、新鮮な感動と、満足。
前向きに、進んでいく。
覚えて、成長した自分になる。
昔の自分は物足りなかった。
自分を否定することでしか、成長できない。
物覚えの、良い人。
三歩歩いたら、歩いたことも忘れてしまう。
人の、顔も、声も。
もちろん、名前も。
それを、新しい記憶の上書だといって。
信じてくれる人など、いない。
覚えていられないということは、そういうことだと思います。