初任務が来ました。
その夜。
旅団の平隊員全員で一緒に夕飯を取っている場所に、フェザークとルヴィークがやって来た。
「皆、食事中にすまないが、今後の予定が変わったので伝えに来た」
「少し、この街に足止めする事になったんだ。誘拐事件が立て続けに起きているらしくてね。アベニカ殿を通じて、協力の要請があったんだ」
「うわ、マジですか?」
「それくらい自分達で解決できないのかしら……」
「同感」
「……思う所は確かにあるが。要請があった以上、協力するのが我々だ。……全員、いいな?」
「はい、了解しました!」
「え、はい、了解しました!」
フェザークの問いかけに声を揃えて返答する他の団員達に少し遅れ、フィーも返事を返す。
誘拐事件の捜査協力かぁ……初めての大きな任務だ、頑張らなきゃ!
「よし、では組を分ける。リューイとユスティ、ヴィルとミレット、イシュマとクリム。フィーはアベニカ殿と組むように」
「え? レイドさんと、ですか?」
「……待って下さい団長。何故です?」
イシュマは不機嫌そうにフェザークを見据え尋ねた。
「アベニカ殿の強い要望でな。フィーがこの短期間で騎士としてどれほど成長したかを確認し、安心したいとの事だ」
「……チッ」
「……そんなの、口実じゃないですか」
「先手を打たれたなイシュマ」
「え、えっと……」
「特に断る理由もなかったのでな。任務に私情は挟めん。悪く思うなイシュマ、フィー」
「向こうは挟んでるみたいですけど?」
「呆れるわ……」
「それはこちらがどうこう言う事じゃないからね。アベニカ殿だって、任務自体はきちんとやるだろうし、問題はないよ」
「やらなかったら最悪ですよ」
「フィー、身の危険を感じたら遠慮なく魔法をお見舞いしてやりなさい」
「あ、あはは……」
「とにかく、今回の組分けはこれでいく。皆、いいな?」
「あ、はい、了解しました!」
「……はい、了解しました」
え、あれ?
また合わない……。
ついさっき一人返事が遅れた事から、フィーは急いで返事をしたが、今度は他の団員達がゆっくりと返答を返し、その声は、やはり合わなかった。
翌日、団員達はそれぞれの組に別れ、任務を開始した。
フィーも気合いを入れて、レイドと共に被害者と犯人の捜索を開始した。