再会
隣接している国をひとつ素通りし、フィー達はトゥイタギアへ辿り着いた。
街に入ると、街の騎士団支部へと向かう。
「ここでトゥイタギアの騎士と合流する。かの魔獣の居場所は、既に陛下を通じて調査の依頼がされている。大まかの場所はもう判明しているといいのだがな」
馬を並べながら、フェザークが言った。
「トゥイタギアの騎士、ですか」
フィーの脳裏に、レイド達第2小隊の面々の顔が浮かぶ。
そんなフィーの後ろで、イシュマはわずかに眉を寄せた。
支部へ着くと、玄関前に人影があった。
「お?あれは」
「あら…」
「あっ…!」
「ようこそ、流星旅団の方々。度々の訪問、ご苦労様です」
フィー達が玄関前まで歩を進めると、赤毛の髪をしたその人物は騎士の礼を取り、そう言った。
「レイドさん!お久し振りです!」
フィーは明るい声でその名を呼ぶ。
その声に顔を上げると、赤毛の騎士、レイドは驚きに目を丸くした。
「え?…さ、サクさん!?」
改名する前の元の名を呼ばれ、フィーは苦笑する。
「…ちっ」
イシュマはレイドを一瞥した後顔を反らし、小さく舌打ちした。
「え?」
背後から聞こえてきたフィーはイシュマを振り返った。
フィーの視線を受けると、イシュマは軽く首を振った。
「ああ、何でもない。ほら、降りるぞ」
早口にそう言って、イシュマはひらりと馬から降りて、フィーに手を差し出した。
フィーはその手を取り、馬から降りた。
「サクさん…どうして、君がまたここに?」
レイドはフィーのそばへ歩み寄って尋ねた。
「…違います」
フィーは小さく首を振って居ずまいを正すと、真っ直ぐにレイドを見上げた。
「私は、ソドウィザム流星旅団所属、騎士、フィー・ストロベルと申します。以後お見知りおきを。トゥイタギア第2小隊、小隊長殿」
「…流星旅団所属?騎士?…フィー・ストロベル…?」
レイドは何度も目を瞬きながら、ひとつひとつ確かめるように呟く。
「はい」
フィーは短くそう返事をすると、にっこりと微笑んだ。