表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡娘と獣と騎士と。  作者: 葉月ナツメ
ソドウィザムの騎士
39/78

宿舎に入りました。

大通りの凱旋パレードを馬で闊歩(かっぽ)し、一行は王城の敷地内にある、騎士団宿舎に帰ってきた。

「全員集合!」

フェザークがそう号令をかけると、流星旅団のメンバーは即座にフェザークの前に集まり一列に並んで立った。

「えっ!?わ…あわわっ!」

その様子を見たフィーは、大慌てで一番端に並ぼうと駆け出す。

フィーが並ぶのを待って、フェザークは口を開いた。

「皆、今回の遠征と陛下の護衛、ご苦労だった。次に発つまでしっかり体を休めてくれ。次の出立は、四日後となる」

「四日後、ですか?」

「団長、出発日が決定しているという事は、次の目的地も決定しているんですね?」

「次は、どこへ行くのでしょうか?」

女性騎士達が次々に口を開き、フェザークに尋ねた。

「トゥイタギアだ。もう一度行く事になった」

「トゥイタギアに?」

「団長、何故もう一度?」

「新たな魔獣でも現れたのですか?」

今度は男性騎士達が尋ねた。

「そうではない。フィーの希望でな」

「…フィーの?」

イシュマががそう呟くと、全員の視線がフィーに集まった。

「あっ、えと、はい!…私、あの翠色の子を迎えに行きたくて。王様と団長さんにお願いしたんです。すみません皆さん、お願いします」

フィーはそう言って、ぺこりと頭を下げた。

「ああ、なるほど」

「そういう事ね。わかったわ」

「では皆、しかと準備をしておくように。解散。…クリム、ユスティ、ミレット。フィーの案内を頼む」

「はい、団長。承知しました」

「お任せ下さい」

「行きましょ、フィー!まずは宿舎を案内するわ」

「あっ、はい!よろしくお願いします」

クリム達がフィーを連れて宿舎の中へ向かうと、男性騎士達もすぐ後ろをついて来る。

「…あれ…皆さんも来るって事は、この宿舎、男女で分かれてたりは…」

「しないわね」

「騎士団宿舎だからな。さすがに部屋は別だが、隣の部屋は異性の部屋、なんて事は普通にあるぞ」

「と、隣が…そうなんですね」

念のため夜は鍵をしっかりかけなきゃ!

わずかな不安が沸き上がり、フィーは固く決意した。

そんなフィーを見て、女性騎士達が自信たっぷりに口を開いた。

「大丈夫よ、フィー。私達同じ部屋だから。一部屋が四人用なの」

「もし不埒な輩が来たら、私達が撃退するから、安心して」

「極たまに悪酔いした愚か者が乱入するからね~。そんな時は遠慮なく全員でボコって上役に引き渡しの刑よ」

「えっ、そ、そうなんですか…た、頼りにしてます…」

「「「任せて!」」」

「はは、うちの女性陣は男顔負けだからな~。セキュリティはバッチリだぞ、フィー」

「酔ってるとはいえ、うちの女性陣の部屋に乱入する奴は度胸あるよな」

「…確かにな。…悪い、俺先に行く」

そう言うと、イシュマは早足で通路を歩き、階段へと消えた。

「へ、おい、イシュマ?」

「どうしたんだ、あいつ?」

「何か急用じゃない?久し振りの帰郷だし」

「かもね。今回の遠征、準備期間一日だったし、用を後日に回したとか」

「ああ、なるほど。…って、それ俺もだ!やば、俺も行くな!」

そう言うとリューイが慌てて駆け出して行った。

「やれやれ、じゃあ俺も行く。またな四人とも」

リューイの後をヴィルがゆっくり追いかけて行った。

「慌ただしいわね。それじゃあフィー。部屋はこっちよ」

「あ、はい。あの、同室という事ですし、本当に、色々、よろしくお願いします」

フィーは改めてぺこりと頭を下げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ