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エイボンのブックス!  作者: 真実の王っぽいワーグナーっぽいの
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あとがきの章

『今度はツァトゥグァへの接触者が、ね……』

「ああ……報告書には書けなかったが、あの後ノーデンス、そしてブラックメイドとも接触したようだ……」

 彼女を除けば誰もいない屋上、元対邪神組織の沙耶はとある邪神に対し、邪神少年の観察結果及びツァトゥグァ等の邪神と接触した少年に関する追加報告をしていた……

 沙耶自身、これ以上面倒な事には巻き込まれたくなかったのだが、ツァトゥグァと交渉し、ある事・・・を約束した以上、彼やツァトゥグァに降りかかる不幸には半強制的に巻き込まれる形になってしまう。

『これはボクが資料漁って考えたことなんだけどさ、ひょっとしなくても彼……生きる地球破壊爆弾かも知れないよ? 本人はもちろん、キミを含めた周りには分からないかも知れないけどね』

「な……どういう……ことだ?」

『キミには分からないだろうから説明するよ、あれは今から5世紀前…………まあ、要はその時にニャルラトホテプがボクに分裂させられたんだよ……いろいろあってね』

「……やはりニャルラトホテプは複数ということか?」

『そうだよ、キミの近辺には少なくともボクを含めて3人のニャルラトホテプがいるという認識で間違っていないよ。それで、その時に分裂した一体がもの凄く凶悪で……仮にフェクダとするけど』

「北斗七星か」

『そいつは当時最強クラスと言われた魔導士を何人も……精神を壊したり色々とんでもない事をやっていたんだよ……そしてその時だったかな? ヨグソトースが日本の……夜に吠えるものを間一髪の所で助けたらしく』

「…………おい」

 話がズレかけた所で即刻沙耶が怒りを含んだ声でツッコむ。

『まあいいや、この話は後回しにして……多分その時だと思うんだけど、ヨグソトースが切札のエイボンの魂を使っちゃったみたいなんだよ。それでなんか逆恨みしてエイボンを目の敵にしたみたいなんだけど、その後ヨグソトースが魂ごとかは知らないけど雲隠れして……まあ、それでヨグソトースを炙り出そうと躍起になって』

「私達にとっては迷惑極まりないな……」

 完全に呆れ果てた声で沙耶が呟く……まあ、元々が逆恨みで更に八つ当たりの行動だから無理もないだろう。

『そうなんだよね~だからボクが闇に棲む暗黒神を倒すために』

「貴様が財団Wのトップをやっているのは他の理由だろうが」

『……まあ、それはそれでいいとしてさ』

「おい」

『まだ奴は来ていないんだよね? 一応ボクが喚ばれてないって事は』

「…………まあ、今のところはまだ大丈夫のようだ……だが」

『いつ来るか分かったもんじゃないんだよね、闇に棲まう暗黒神アイツは……』

「もし貴様がいない時に来たとしたら、ノーデンス、ヴォルヴァドスその他そして私が対処するほか無いという事か……」

『いやいや、一応ボクのバックアップでアバンス君の大事な親友その1とそのお仲間も帰ってくるみたいだから、ラーン=テゴスの手助けも期待してもいいよ。まあ、失敗したとはいえ邪神召喚の生贄にされちゃったせいで衰弱しちゃってるみたいだけどね』

「そうか」

 沙耶が素早く脳内で味方側の戦力を推定、そして計算する……その結果、なんとか勝てるのではないかと推測した。

『召喚者に激甘なアザトホースを召喚すれば……っていうか、アザトホースを味方にした方の勝ちだね』

「本末転倒だな……それほどの力を持っているのか? アザトホースは?」

『そうだよ。例えるなら普通の邪神が強力な効果を持ってライフを削りやすくする能力だとすると、アザトホースはそもそも直接ライフを大量に削るような能力なんだよ。それも一回や二回で決着が着くほどのね……』

 サラリと恐ろしい言葉を沙耶に告げる無貌の神トロン……そんなトロンに対し、沙耶は問う……

「……つまり、私にアザトホースを召喚しろと」

『まさか、そんな無茶はキミ1人にはさせるはず無いじゃんか。君の義妹には任せるけどね……彼女には邪神の巫女の才能が有るみたいだよ。適当な魔法陣に適当な呪文でヨグソトースを召喚して世界を越えるくらいだからねぇ』

 いつも通りのおちゃらけた口調でサラリと仮面のニャルラトホテプが沙耶に告げた……もちろん、沙耶にとっては寝耳に水もいいところである。

「萌枝が……?」

『そうだよ。どうやら彼女、潜在的な才能があるみたいなんだよね……潜在的に邪神との距離が近くなる、性質としては邪神少年の彼やエイボン君に近いかな?』

「……ところで、霞蓮はどうなのだ?」

『ああ、彼は唯の不幸体質みたいだね……しかも、彼の妹との相乗効果で今まで邪神に襲われなかったのが不自然なくらいにね……しかも沙耶とソウシソウアイなんて』

「貴様、次に会うときに超銀河剣の錆にしてやるからな?」

『落ち着いてよ沙耶……最近キミはカッカしすぎなんだよ、どこぞの総統じゃあるまいしさぁ……年がら年中生理なの?』

「………………」

 最後の台詞が、とうとう沙耶の、鋼の逆鱗に触れてしまったために、沙耶は無言で通話を打ち切り、屋上から出て行った。



 ブラックメイドの騒動から数日経った放課後、ぼくはふと気になったことがあって、あっちゃんにヨグソトースちゃんを屋上に呼んでもらった。だって空き教室なんて生徒会と自称風紀委員の巣だしツァトゥグァさん達には聞かれたくないから旧図書室も使えないしでここしかなかったんだよ。

「……エイボンと約束した事……?」

「うん、ちょっと気になって……教えてくれないかな? 一応ツァトゥグァさんに言ってた事は聞いてたんだけど、直感的に半分嘘なんじゃないかなって思ったから」

 一応あっちゃんに襲われた後はあまり聞こえてなかったけど、その前は大体聞いていたから一応覚えてる。ヨグソトースちゃんはツァトゥグァさんのそばにぼくみたいなエイボンと波長が合う人にエイボンの魂を融合させてそばに居させようとしていたみたいだけど、そんな回りくどい事より、エイボンの魂そのものを軸にすれば良いんじゃないかと思う。そこが引っかかった。

「……中途半端に鋭い所もエイボンにそっくり……確かにその通り、エイボンがワタシに頼んだこととワタシが実行した事は少し違う……エイボンはワタシにエイボン自身の魂を転生させて欲しかったみたい……」

 つまり……どういうこと?

「転生っていっても……その……魂単体じゃなくて体ごと……つまり……ワタシが新しいエイボンを産むように……」

「……エイボンさんは変態ですね」

 そんな親友を利用して母体回帰プレイをやろうなんて、エイボンさんしか思いませんよね……このぼくの予想をも遥かに超える変態的なプレイなんて……

「このぼくでもドン引きするような変態だったなんて失望しました……とりあえずツァトゥグァさんとイホウンデーさん、あとヨグソトースちゃんはもらっていきます。お別れです、歴戦の魔導士エイボンさんよ……」

「ワタシはどっちでもいいけど……ツァトゥグァにもイホウンデーにも聞かれていたみたいだけど」

 ……なん…………だと…………?

「ツァトゥグァさん! イホウンデーさん! 一応言わせてもらいますけど」

「……もう立ち去ったみたい」

「……一応言っておくけど、ぼくはツァトゥグァさんに対してもイホウンデーさんに対しても、ヨグソトースちゃんに対しても……そしてヴォルヴァドスさん、ツァールちゃんロイガーちゃん、ノーデンスさんに対しても本気だからね? ヨグソトースちゃん、安心してね」

「……ナイスボートにならないように気をつけて」

 ヨグソトースちゃんに心配されてしまった……悲しみの向こうへ行くのはまだ早いからね?



「やっぱりここに居たんですね……」

 ヨグソトースちゃんに見送られて屋上から校舎内に戻ったぼくは、十中八九居るだろうと思って旧図書室の資料室に来た……案の定、2人とも無言でぼくを待っていた。隠れるためなら別の場所に隠れるだろうから、ぼくがまず最初にここに来るであろう事を見越して、ここに来たんだろう。

 まあ、まずは空き教室探索かなと最初は思ったけどね。

「浮気男が着きましたの」

「あなたの恋に関しての白黒緑ネクラカラーをはっきりと付けて下さい」

「緑ってなんですか?……」

 まあ、ぼくはどっちでもいいけどね……

「ぼくはツァトゥグァさんとイホウンデーさん、どちらとものフラグを立てたいんです。というよりもぼくの周りの邪神全員とのハーレムルートに進みたいんですよ。たとえ茨の道でも、ぼくはそれで良いんですよ。その道を進んでこそ得られる物があるってぼくは信じてます。ぼくは護られる立場かもしれませんけど、皆を守りたいという気持ちと敵を排除したいという気持ち、感情の二律背反によってたとえぼくが無感動になっても皆を幸せにしてあげたいんですよ。ぼくの感情が無くなってぼくにとって世界がつまらなくなっても皆を守りたいんですよ」

「それじゃあつまらないんですの!」

「もし仮にですけど、私達がユウさんと恋人の間柄になったとして……というか今の距離感でも、あなたが感情を無くしてまで私達を守ろうとするのなら、あなたを見捨てますよ? 率直に切り捨てますが、ユウさんの言っていることはエゴです」

 ……確かにぼくの言った言葉はぼく自身のエゴだ……それでも、ぼくは己のエゴの為に他人を巻き込み、そしてその他人を護るために自分を犠牲にする。そうでもしないとぼくはただのゲスな人間になってしまう。

「ぼくにとってツァトゥグァさんもイホウンデーさんも……そしてヨグソトースちゃん、あっちゃんはぼくの命よりも大切なひとなんですよ……! だから、たとえぼくの命が無くなろうとも守りたいんですよ……! みんなを……」

「でも、そんなエゴは認めませんの!」

「そうですよユウさん……本当に大切に思っているなら、1人で何もかもを抱え込まないでください。私達を頼ってくださいよ、困った事があったら……」

 ……あれ、いつの間にかぼく、2人に攻略されちゃったかな……?

 2人のフラグを立てようとしたつもりなのに、逆にフラグを立てられちゃったみたい。少し悔しい……でもデレちゃう……デレデレに

「…………分かりました……じゃあ、ウルスさんの親愛度を限界突破させてミルクを」

「ユウさん、相談するならもっとマシなことを相談してくれませんか? 今の発言でユウさんへの恋心が消失しました」

 困ったことがあったから相談したのに……酷くない?

くぅー疲れました!これにて

「伏線なげんな!」

「高忘だよあっちゃん」

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