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エイボンのブックス!  作者: 真実の王っぽいワーグナーっぽいの
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イホウンデーの章

ブックスブックス!(悪魔の角って良いよね!)

「ねぇあっちゃん、角のある女の子って萌えるし興奮するよね? もちろん性的な意味でも」

「珍しくまともかと一瞬思ったけど分からねぇよ、同意求めんな」

 いつも通りの休み時間……心なしか数回しかなかったような気がするけど……ぼくはいつも通りにあっちゃんに対して、野球でいうボール球みたいな性癖――石化(略)やロリボ(略)は危険球だ――を投げつけていた。ちなみに今日のボール球な発言はこれで三度目だ。

「だって普通に可愛い子に角のオプションが付いてるんだよ? 角が当たって痛いかも知れないけどねアッチャン……ソ レ ガ イ イ……」

「歌なら歌ってやるから退散しろ」

 歌で退散するなんてどこの宇宙刃……もとい宇宙人だろうね。

 まあ、うたのひとつやふたつで退散したら委員長さんもあっちゃんも苦労しないだろうけどさ。

「ただし鹿角、あなたはダメです」

「お前鹿になんか恨みでもあるのかよ!?」

 特に理由もなく鹿角を省いてみたらあっちゃんに力強くツッコまれてしまった。突っ込まれてはいないけどツッコまれてしまった。

「特に理由はないけど、鹿角の女の子に角で掘られかけるゆみゃっ」

「フォアボールです、副委員長さん……」

 話の途中のぼくに無言の手刀を入れつつ、委員長さんがツッコむ。

「今のは(ストライクゾーンの)ナカに入っていましたよ!?」

「スレスレがふたつあったので今のでフォアボール扱いにします」

「ハメられちゃった!」

「ペナルティであの部屋でカウンセリングをするので今日も来て下さい」

「ぼくとのあの出来事が忘れられにゃっ!?」

「ええ、忘れるはずもありませんよ……あの忌まわしい出来事を」

 忌まわしいとまで言われちゃった……これが絶望だね、あっちゃん……ターンエンド

「そういえば……委員長さん、大丈夫でしたか?」

「心遣いありがとうございます、アツトさん……それはそうと、誰かがあなたを見張っているような気がしますよ……」

「……あー……まあ、僕は気にしてないから大丈夫です」

 あっちゃんが誰かにスニーキングストーキングされてるんだ、ふーん……

「あっちゃん! 困ったらぼくに」

「お前にだけは相談したくない」

「えっ……酷くない?」

「残念ながら当然です」



 放課後……DASHで逃げようとした結果、委員長さん……ツァトゥグァさんとあっちゃんに捕縛……捕獲されそうになり、逃げだそうとしたのにあっちゃんの友達の女の子2人にあっちゃんの指示で逃げ道をふさがれ……奴を普通に拘束しろ、ってどこのサテライトだろうね……、諦めて窓から逃げようとした結果、クールビューティーな転校生さん(確か帰国子女だったと思う)によって取り押さえられた。ちなみにそのバストは豊満だった。

 そうして……

「んー!(訳 HA☆NA☆SI☆TE!)」

 縄に縛られて猿轡かまされて今に至る。正直縛られるよりも縛る方がいい。それはそうと

「………………」

 無言で読書フェイズを進めるのはやめてください! ぼくがなんでもしませんから! ん? 今

「…………ノックの音がしたと思いますけど……うるさいので無視します……」

「んんー! (訳 ノックは無視してもいいので早く解いて下さいよ!)」

「……あ、忘れていました……猿轡だけで良いですよね?」

「…………ふぅ……酷いじゃないですか! ぼくが何をしたって」

「前回わたしを押し倒したのをもう忘れましたか?」

「う……臨死体験したので許して下さい。何でもしますから」

「ん? 今、何でもするって言いましたよね?」

「あっ……」

「縄を解くので、ノックしている誰かの相手は任せました」

「……心当たりありますか?」

「あんなに激しくノックをするには心当たりがありません」

 仕方がないし、これで混乱状態に押し倒した件がチャラになるのなら問題ないかな……



「あ……ありのままに今起こったことを話しますよ……ノックがうるさかったからハンガーを片手に扉を開けたら、目の前には夢で掘られかけた女の子がいたんですけど……」

「イホウンデーさんです」

 心当たり無いって言ってませんでしたっけな?

「やっぱり、嘘じゃなかったですか……心当たり、あるんじゃないですか……」

「人には心当たりがありません。あんな激しくノックをして、かつこの部屋に用事のある人間には心当たりが無いとは言いましたよ」

「……つまりあの子は神ってことです?」

イグザクトリィそのとおりでございます

「そ……その理屈それっておかしくないですか! 一応鍵はかけておきましたけど……いつ突破されるか分からないんですけど」

「突破されても角が引っかかるから大丈夫です」

 うわぁ、大人気ないんだぁ……そろそろえっちぃ本かえる年齢だからって大人気ないんだぁ。

「不埒な事を考えているみたいなので、ボールカウント3つ目です」

「!?」

 理不尽な増やされ方をした気がするんですけど……ワケが分からないよ

「今日のカウントを増やされたくなかったら追い返す役目はお任せいたします」

「アッハイ、分かりました」

 いつの間にかスリーボールになっていたから後がないし、仕方がないね……諦めよう。



 扉を開けた先にいたのはツァトゥグァさんを捨ててでもお付き合いしたいくらいに可愛いお嬢様だった……ただし、角があるところ等はノーセンキューだけど。8番やら森の神みたいな角はノーセンキューだけど。

「ちょっとアナタなんでツァトゥグァを隠してるの! そもそもアナタは何者よ!」

 とりあえずなんでもやっていいから追い返せばいいんですよね……? フヒヒ! とんだハリキリお嬢様がやってきたじゃねぇですか!

 ……よし、第一印象は普通にしないと……本音は隠そう……

「通りすがりのCoなPへんたいです。胸もまれたくなかったら退散してください」

 うっかり言い間違えちゃった。怪我をしたくなかったら退散してくださいっていおうとしたつもりだったのに

「はぁ……アナタはなに言って……」

 ……まあ、忠告したから問題ないよね! だってツァトゥグァさんに頼まれた以上従わなきゃだしね!

「揉ませてもらいますよ……あなたのおっぱいを……!」

「え…………っきゃぁぁぁぁぁっ!」

 大きすぎず小さすぎず……うーん、なかなかいいじゃないですか……触ったのはほぼ初めてだけど。

 触るのはセクハラだし、やっちゃいけないよねうん……自分の意思では。これはこうでもしないとツァトゥグァさんを諦めてくれないから仕方のない事だし。(イホウンデーさんのバストを思いきり揉みしだきながら)

「あぅっ!」

 流石にやりすぎたかな……無言でビンタされたんだけど、後の展開を想像したくない……だって

「このわたくしに向かってなんたる仕打ち……! 人間ごときがこのわたくしにっ……! あなたの男としての尊厳を踏みにじってもまだわたくしの怒りは収まりませんわ!」

 怒髪天をつく勢いで……最初から角は天を突いてるけど……それはもう、怒り狂っている。最早無限ループパーツになりそうなほどの怒りだ。

 例えが分からない? つまり理解出来ない程に怒り狂ってるって事で! それか適当に考えておいて!

「懺悔の用意は済ませましたの?」

「待って! いまのは」

「今のは……?」

「……ツァトゥグァさんにやれと言われました!」

 嘘だけど! 少し矛先をズラさせてもらっただけだけど!

「……でも、あなたがわたくしの胸を揉んだのは事実ですの」

「くっ……」

 このままじゃ掘られ……じゃない、ヤられる……! スッゴく大きい鹿の角でヤられる……!

「……ところでアナタ、名前は?」

永本ながもと……ユウですけど」

「永本……永遠の永に本音の本?」

「あっハイ、そうですけど……」

「えい……ぼん……? 偶然? いや、でもこのトチ狂った変態具合はエイボン以外……」

「どうしたんですか? 今朝誰かがあなたに掘られかけた夢に何か関係が」

「エイボォォォォォォォォン! アンタ今度あったら(自粛)!」

 イホウンデーさんの怒りが覚醒してハイカラな番長っぽい喋り方になったんですけど……とりあえずエイボンが誰の名前なのかは分からないけど、とりあえず全部エイボンって奴の仕業みたい。

「ちょ、ツァトゥグァ! 出てきなさい! エイボンの事で話さなきゃいけないことが」

「……図書室では静かにしてください、イホウンデーさん」

「誰のせいで叫ぶ事態になってると思ってるの!?」

 だいたいぼくのせいで叫ぶ事態になっていると思う。まあ、言わないけど。

「……誰か来たら面倒なので早く中に入ってください」

「っ~~! ……角が引っかかって入れないのよ!」



「それで、話とはなんですか?」

 ぼくをパシらせて買ってきたミルクティーを飲みながら、ツァトゥグァさんが問いかける。

「わたくしの角を切っておきながらどれだけ平然としていますの!? しかもほとんど根元から!?」

 イホウンデーさんの角が壁に引っかかるから角を切ったのは良かった。それは良かったんだけど、ツァトゥグァさんがなんの嫌がらせか根元近くからスッパリと、しかもノコギリで切っていった。

 場所的にはほとんど耳元に近い場所でノコギリを使って角を切ったのだ。精神的なダメージは計り知れないものがあったであろう、実際半泣きだし……合掌

「まあ、やっちゃった事は仕方がないじゃないですか……それはそうと、イホウンデーさん……可愛い目をしていますね」

「甘い囁きには騙されませんわ! 可愛い顔した悪魔神王!」

 どういう階級なのかハッキリとさせてほしいです。悪魔神の王なのか、悪魔の神王なのか……まあ、悪魔の最上級という感じだからほめ言葉として受け取っておきます。

「まあ、クリスマスまでに伸びればいいですね」

「誰がトナカイですの!」

「鼻は食紅で赤くします? せっかくなので合法的に舐められるようにしたいのですけど」

「だからわたくしはトナカイじゃありませんの! それにあなたは何をするつもりですの!?」

「鼻ペロペロ」

「な……! やっぱり変態ですの!」

 この程度で変態とは失礼な……例えるなら大名行列を横切るくらいに失礼な……

「本当の変態っていうのはですね、○○ピーッ○○ピーッしたり、○○ピーッ○○ピーッして○○ピーッしたり」

「押し出し失点3」

 最早大暴投だとかそんな領域じゃない、凄い炎上しちゃってるピッチャーみたいな失点だ。

 スリーボールからここまでだと21回もボール球を投げたことになる……よね?

「…………は……話を戻してもよろしいんですの?」

 クリスマスのトナカイの鼻ぐらいに、顔全体を真っ赤にして、イホウンデーさんがぼくらに聞いてきた。まあ、隠語無しのド直球勝負だったから、仕方ないね。

「しょうがないにゃあ……じゃあ揉ませて」

「自由契約」

 暴投云々どころか、根本的にクビになってしまった……というかプロ野球だったんだ

「あなた達が何と言おうとも話を戻しますの……この子はエイボンが転生した、もしくはエイボンがこの子に死後取り憑いた可能性が高いんですの」

「どういう……ことですか……今年のクリスマスの鼻ペロペロは諦めますから教えて下さい! ぼく……なんでもしますから!」

「ん? 今、なんでもすると言いましたわよね?」

 よかれと思ってよからぬ流れに向けました! さあ、よからぬ話を始めようじゃありませんか!

「じゃああなた……ツァトゥグァの相方をやめ、わたくしの物になりなさい」

「ぼくはものじゃありません! (イエスマイロード)」

「本音が出ていますよ? ユウさん」

 ツァトゥグァさんに本を読みながら冷静にツッコまれてしまった。それでもぼくの本音じゃない。

「ここここれは本音じゃないですよよよよ! たたた多田野…………ただのビタミ」

「ドラフト指名回避で」

 ついにはドラフト指名を回避された……海を渡るしか無いじゃないですか……

「今日からあなたはわたくしの物よ……分かったら靴を舐めなさい」

嫌ですむしろあしをなめたいです

「…………もういいですの……ツァトゥグァに返しますの」

 何故かは分からないけど、イホウンデーさんのものでは無くなったらしい。やっぱり変態体制の無い人にはキツすぎたようだ。

「ツァトゥグァさん! ぼく」

「これ以上近寄るのでしたらホモホモしいビデオに出演させますよ。サッカー部員役で」

 なんで具体的なのかな? なんでそんなに具体的に役割まで決めてるのかな? ワケが分からないよ

「ツァトゥグァさんに嫌われたので」

「お断りですの」

 なにこの絶望……少年よこれが絶望だ、と暗に言われているような気がするんですけど……というか実際そんな感じの雰囲気なんですけど……

「ぼくの何が悪いって言うんですかぁ!」

「全てです」

「全部ですわ」

「ちくしょぉぉぉぉぉぉっ!」

 全裸になって叫びたい。裸になって何が悪いっていうんですか! 服をキャストオフして何が悪いんですか!

  もうヤケクソですよ! 女将、酒を持って来い! 未成年だけど飲んでやる! 一番いい蜂蜜酒を頼んでやる! もちろんイホウンデーさんのツケで!

「……流石に言い過ぎましたわ……だから」

「だから? 足をなめ」

「だから、自分の服をはだけさせるのをやめなさい! あなた男なのに艶めかしくてちょっとそういう気分になってしまってかなり不愉快ですわ!」

 さりげなく脱いでいたのにバレちゃったよ……こんな流れでぼくが脱いだら許してくれるとは思ったけど、そっちを許さなくて良かったのに……



 服を少しだけはだけさせたままにして、事後っぽくしたまま家に帰るまでいようと思ったのだが、2人の友情技によって正装にさせられてしまった……ちくしょう

「それで、この人がエイボンの転生やエイボンに憑かれているといったわたしには理解しがたい、例えるなら手札アドの概念を完全に無視したトチ狂っているとしか思えない動きをする某無限煉獄カテゴリー使いのループにかける情熱並みに理解し難い理屈の根拠はなんなのですか?」

「……今なら満足さんも謝れば許してくれると思うんですのよ……?」

 確かに満足民のループにかける情熱は理解しがたい物があるけど、そこまで言うことは無いんじゃないかな?

「話を戻しますの……根拠はズバリ……この子が見た夢ですの! さあ、具体的に言ってご覧なさい……あなたが見た夢の中身を」

「|めんどくさいですね……(じゃあもませてください)」



 結論から言えば一字一句正確に再現したのに、揉ませてくれな……じゃない、微妙にイホウンデーさんの記憶とは異なっていたらしかった……

「モチモチを揉ませてくれたっていいじゃないですか……」

 ぼくにとって前世の因縁がどうとか憑かれてるからリラックスしろとかそういう事はどうでも良かった……ただ、ジャストフィットする双丘をこの手で掴みたかっただけなんだ……ウォーランは死んだんだ。

「……そこまで落ち込む事は無いんですの……(チラッ)……わたくしのしもべになると言うのなら、膝枕くらい」

「|3回まわってワンと言えばいい(さんかいまわってワンといえばもませてくれる)んですね? 分かりました!」

「ちょ、誰も揉んでもいいとは」

「ワン! ワン!」

「早すぎですの! 3回回るのも、犬の真似をするのも早すぎですの! そもそも誰もやれとは言って」

「ヒャーッハハハハハハー! 揉ませてもらいますよ! ちょうどいいむにゃっ!?」

 案の定といえば案の定だけど、本を片手に持ったツァトゥグァさんに拘束の影メリコミタマタマ……じゃない拘束されてしまった……こうなったらシャトルの中に……

「離してくださいツァトゥグァさん! ぼくはあの双丘を」

「嫌です」

「双丘……」

「却下します」

 無限ループに閉じこめられました! 罠ですか……酷いんですよ! 残酷なんですよ! ツァトゥグァさんの一々が! ぼくが何をしたっていうんですか!

「ねぇユウさん、わたくしの信者になりませんの? そうすれば、ツァトゥグァに拘束を解くように」

「あなたの神官になります。死ぬまでずっと一緒に密着していたいのでお願いします」

 神官なら双丘おっぱいにさわったり揉んだり他の場所に落書きとか(略)しても揉んだり……問題ないですよね! 神官だけど劣情と愛さえあれば関係ないですよね!

「直球過ぎですの! ……ツァトゥグァ」

「……後悔しないでくださいね」

 そうして、ツァトゥグァさんの手から、野獣ぼくが解き放たれた……狙うはイホウンデーさんの双丘おっぱいのみ! それ以外の場所は……まあ、ペロペロしたいけど後回しに……

「いっただきまーふへっ!?」

 おかしいな……あの距離なら完全に回避することが出来ない……狩猟領域だったハズなのに……顔が何か暖かい物に包まれて目の前が真っ暗闇なんですけど……

「やっぱり、あの距離なら真っ正面からぶつかってくると思っていましたわ、ユウさん……」

はんなん……へふほですと……? ぼふひまほほはんれふぼくいまどこ?」

「わたくしの胸の間ですわ」

 なるほど……どうりで柔らかくて暖かいと……はい?

「Oh……Nice bust.」

 ついつい英語で言ってしまったが、いまの状況はナイスなボートのあのシーンと首がつながっていること以外はだいたい同じ様な感じである。

「…………(無言の胸揉み体勢)」

「この距離では、もうわたくしの胸は触れませんのよ?」

「………………(無言の絶望)」

 酷いですよ……こんなの……あんまりです……ぼくはただマッサージ(隠語)をしたかっただけなのに……

 逆に考えるんだよぼく……顔が当たっているからこのチャンスを生かせばいいじゃないか……!

「ひゃっ! くすぐったい……ですの!」

 少し動いた途端、何故かヘッドロックというか……まあ、腕で頭を押さえつけていた体勢から一転、今度は頭を締め付けてきた……

 馬鹿だなぁ、イホウンデーさんは……そんな事したらぼくがおっぱいに密着してむふふな状態になるだけじゃないですか………………あれ、なんか息苦しく……

「オチなさい! 今すぐ意識をオトシなさい!」

 あ、こういう事だったんですか……まあ、胸に密着してヤられるんですし未練はな…………



「……話とは何ですか、イホウンデー」

 自分から聞こえてきたエイボンの声と角の長いイホウンデーさんの存在で、これが夢なのだと自覚する……というかやっぱりまたイホウンデーさんの夢なのかな……

「…………なんで……行ってしまったんですの……?」

「なんで、ですか……それはぼくがツァトゥグァの神官だからです」

「そういう意味じゃありませんの! なんであなたがこんな時に限ってツァトゥグァだけの神官のように振る舞って、こんな薄暗いところに引きこもってしまったんですの!? おかげでわたくしの信者はもう0ですのよ! ワタクシに失望してツァトゥグァの信者になってワタクシの信者がいなくなりましたのよ!」

 話を整理すると、ツァトゥグァさんとイホウンデーさんは1人の神官……エイボンを同じ土地で取り合った仲なんだろう。そして何らかの理由でその土地にいられなくなったエイボンはツァトゥグァさんと一緒に逃亡……そしてほぼ同時期にイホウンデーさんの信者がいなくなった、ということなのだろう。

「あなたの信者ならいますよ……ここに」

「っ~~! じゃあ戻って来てほしいんですの! あなたがわたくしの信者というのでしたら!」

「それは無理です……まず第一に、今更あなたの神官なので戻ってきましたといって、ツァトゥグァと駆け落ちするように逃げたぼくは受け入れられますか?」

「…………う」

「そして第二に……ツァトゥグァ信仰が盛んな状況で、ツァトゥグァとイホウンデー、両方の神官のぼくが必要とされる理由はどちらでしょうか」

 エイボン言い過ぎでしょうに……イホウンデーさんが涙目になってるんですけど……

「この分からず屋! あなた最悪の……真のゲス野郎ですわ!」

「っぅ……」

 まあ、案の定というべきか……ビンタされた。怒りのビンタをかまされた……

「わたくしの気持ちも知らないで……」

 ……だんだん夢がぼやけてきた……つまり、起きるときがやってきたのだろう。多分……



「…………うぅん……?」

「起きましたね」

「起きましたわ」

 記憶が戻ってくる……確か、ここはツァトゥグァさんとぼくの愛の巣……じゃない、九十九クリニック? ま切忘

 今日は鹿の神様、イホウンデーさんがやってきたんだっけ……まあ、その後の流れは振り返らなくていいとして

「ここはどこ? ぼく真月」

「あなたの神やめますの」

「えっ……酷くないですか? じゃあぼくあなたの神官やめます」

「……本当にエイボンとは無関係ですの……? この子」

「……エイボン? 誰それ、ぼくベクター」

「…………頭が痛くなってきたから保留にしておきますの……」

 この日はなんか適当な感じでお開きになった……今日あったことで後にも関係があることといえば、ツァトゥグァさんとの距離が開いたことと、イホウンデーさんがたまに来るようになったことぐらいだ。

 ……そういえば、最初から少し思ってたけど、イホウンデーさん、なんで学校にいるんだろうね……あからさまに制服じゃないし……

あ、鹿角はいいです

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