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エイボンのブックス!  作者: 真実の王っぽいワーグナーっぽいの
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ツァトゥグァの章

 人の三大欲は食欲、睡眠欲、そして性欲で構成されている。そして、それぞれが人間の文化を発展させたとぼくは思う。

 肉を得るために獲物を狩る武器が出来て、安定した食料を得るために農耕が発展した。

 睡眠欲は……思いつかないので省略するとして、次は性欲だ。ぼくとしては三大欲のトップがこれだと考えている。

 まあ、長々と性欲と人類の発展について説きたいところなのだが、儀式やら風習やらについて詳しく語りたくなって凄く長くなりそうなので省略して本題に入ろうかな……

「ぼく思ったんだけどさ……ト○□を擬人化したら凄く興奮すると思うんだよ。もちろん、性的な意味で」

「……………………」

 後ろの席の少年―-クールで微妙に女性に見える中性的な顔立ちだけど一応男らしい。ちなみに名前がアツトなので、あっちゃんって呼んだら怒られてしまった。―-に話しかけたところ、聞いているはずなのに無視されてしまった……興奮出来ると思うんだけどなぁ……トト□ン……じゃない、トロン……あれ? まあいいや、刹那で忘れちゃった。おいあんたやめっちゃん。

「ねぇ聞いてる?」

「無視してる」

「ねぇ今どこ?」

「教室ん中だな」

「ちきゅうより下なら問題ない」

 ちなみに今のちきゅうは地球ではなく……恥ずかしい方だったりする。

「で、なんだ? さっきのアレなら刹那で忘れたが」

「おいあんたふざけたこと言ってんじゃ」

「やめろ」

「……やっぱりあっちゃんは面白いね、クールな振りしてるけど、ネタをどこに投げてもちゃんと打ち返してくれるんだね」

「おいやめろ」

「この話題は早くも終了ですねぇ……じゃあ話を元に戻して…………石化(略)って興奮するよね」

「おいちょっと待てさっきの話題はどこにいった」

 え? さっきから石化母(略)の話じゃなかったっけ? まあいいや、ぼくの性癖は107個あるからね……中途半端だけど、残り一つは記憶と一緒にどこかに行っちゃったんだ。

「というかそれって何なんだよ……」

「うん!」

「質問に答えろ!」

「ああ! 伝説それってハネクリボー?」

「……もういい、勝手に1人で話してろ」

 1人ですること以上に悲しいこともないと思うんだけどな……パーティーゲームしかり友情ごっこ破壊ゲームしかり、えっちぃことしかり。まあいいや、じゃあお言葉に甘えるとして

「やっぱ石化母(略)ってクソだね」

「手の平返しはえぇよ!」

 キュートなぼくの理由もない熱い手の平返しにあっちゃんもツッコミを入れざるをえないみたいだ。

「ぼくから言わせてみれば、石化(略)なんてグスタフバーン(隠語)できない観賞用の趣味だよ」

「なぁ……頼むから日本語で話せ、ツッコミし辛い」

「やっぱり時代はタンぽぁぅっ!」

 あっちゃんですらぼくの暴走を諦めていたのに誰がぼくを叩いたのかな? せんせぇ怒らないから早く出てきなさい……と言おうと、後ろ……もしくは前を向くと、額に青筋を立てたウチのクラスの委員長さん……ちなみにメガネはない……が仁王立ちしていた……英和辞典を片手に持ちながら。とどのつまり次は英和辞典で叩かれるわけですね!

 ……それだけはやめてください! 僕がなんでもしますから!

「休み時間とはいえ、変な話をするのは謹んで下さい、副委員長さん。アツトさんも困っているじゃないですか」

「分かりました~じゃあ次からは」

「次からは……何ですか? 場合によっては……」

 委員長は僕の机に思いっきり……かつ、音が大きすぎない程度に分厚い英和辞典を叩きつけた。

「これです」

「ハイ、ワカリマシタ」

 予想は出来てたんだけど……これは酷くない……? 凄いヒビったんですけど……

 流石に委員長として副委員長を止めるのは当たり前だけど、ここまでする必要は……

「委員長さん……グッジョブ」

「裏切ったの!? ぼくを見捨てるの!?」

 あっちゃんが裏切って委員長についたんだけど……こんの裏切り者ぉぉぉぉぉ! あっちゃんなんて嫌いだ!

「あーちゃんさいてー」

「失望したのでアツト君のファンやめます」

 騒ぎを部分的に聞いていた女子2人もぼくの味方をしているようだ。さっきまで向こうの味方だったみたいだけど、まあ気にしないでおこう。

「~~っ! 委員長さん! ここは任せました! 僕はあいつらに突っ込むので!」

「穴に? ……あぅっ!」

 ジョークのつもりだったのに、委員長のチョップを喰らってしまった……軽度のえっちぃ発言はチョップによるツッコミをするらしい。まあ、辞典チョップなんていう殺人技なんてくらいたくないし、酷いのは少しの間自粛しようかとおもう。

「副委員長さん……ゆっっくりと話したいことがありますから、放課後に旧図書室の資料室に来て下さい……」

 ……口は災いの元……今度から……いや、明日から気を付けよう。明日から……

「……図書館プレイって興ふあふぅっ!」

「時と場合を選ぶようにみっちりと教育してあげますから楽しみ・・・にしていてくださいね」

「アッハイ、ワカリマシタ」

 とりあえず返事をしなければ殺られる……心なしか委員長さんの握り締めている英和辞典が少し圧縮されて薄くなったような気がするんですけど……

「……殺気で人が殺せたら、間違いなく死んでたよ……アナネオじゃなくても」



 放課後……ぼくは約束通りに旧図書室の前に来ていた……旧図書室なんて存在多分初めて聞いたから道に迷ったりして遅れたけど委員長さん、優しいから謝れば許してくれるよね……月島さん位に優しいから謝ったら許してくれるよね……

「すいませぁぅっ」

「副委員長さん……今何時だと思っているんですか?」

 ちゃんと遅くなったけど来たのに、委員長さんに手に持った文庫本を投げつけられてしまった……流石に遅すぎたかな……?

「遅くなったけどちゃんと放課後に来たじゃないですか!」

「夜7時は放課後には入りません!」

 3時間も遅刻したら、そりゃあ委員長さんも問答無用に鬼おこぷんぷんだろう。……ぼくにも意味がわからないけど。何かな、問答無用に鬼おこ(略)って?

「そう熱くならないでくださぅにゃっ!!」

「避けないで下さいよ、本棚の稀覯本に傷が付くじゃないですか」

「えっ……『ぼく<<<<(越えられないウォールチハヤ)<<<本棚の稀覯本』なんておかしくないですか?」

「何がおかしいんですか?」

「可愛いぼくよりもレアなブックス! の方が上なんておかしくないですか!」

「変態だからです」

「し、失礼ですね! ぼくのどこが変態」

「石化(略)、タンポン、脳(略)、ロリ(略)×2……ここ一週間、あなたがアツトさんとの会話で出た変態的な性癖に関する言葉です」

 胸ポケットから手帳を取り出し、書かれていることを読み上げながら、ぼくの外堀を埋めていく……

 そういえばそんな会話もあったような程度の……ほとんど手のひらクルーってしたハズだけど。

「それで、あなたが変態という言葉への反論は?」

「う……それは……」

 反論出来ない……全部こっちから振ってるから反論する要素がない……

 その時、偶然開いていた窓から委員長さんの方に向けて、月の光が差し込み……

「あっ」

「えっ?」

 フリィズ……リコントラクト…………状況把握開始……委員長さんの頭頂部に獣耳……

「委員長さん、が、狼男の亜種、でした」

 なんと、月の光を浴びることによって委員長さんにオプションでケモミミがつきました! ……どういう……ことだ……?

「……ケモミミ……もふもふしていいです?」

「……そ、それで、あなたが変態という言葉への反論はありますか? ケモミミなんてどうでもいいので」

「もふもふペロペロにゃんにゃんしてもいいですか?」

「……反論は?」

「無言の肯定ですか? じゃあいただきま」

「やめてくださいよっ!」

「ぬぅわっ!」

 委員長さんに文庫本の背表紙で思いっきり殴られてしまった……ぼくは、正気に、もどった

「ふひひひひ……もふもふ……もふもふ……もふもふ……もふもふ……もふもふ……」

 正気度ロールに失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した……一時的なランブル狂気レクターなう。委員長さんでダークチャージ!

「あなた、見た目は可愛いんですけどね……」

「もふもふ!」

「きゃっ……!」

 フヒヒ! 可愛い声……あれ? ぼくはなにを……

 目の前には超接近状態の委員長さんの顔……姿勢はぼくが押し倒したような……あっ……(察し)

「…………副委員長さん……懺悔の用意はすませましたか?」

 手元に英和辞典を引き寄せながらぼくに対して言う……

 残念、ぼくは死んでしまうようだ。スイーツ(笑)



「…………ン様…………ボン様……」

 委員長さんらしき人がぼくではない誰かの名前をぼくに対して言う……ああ、なんだ、これは夢なんだ……眠りの鐘はもう鳴り止んだ。ぼくは輝ける人生の、その一歩を踏み出す時がきたんだ。

「もうすでに起きていますよ、ツァトゥグァ……」

 ……ぼくが誰か他人……声の高さからして、おそらく男性だろう……の声で、ツァトゥグァ? さんに言った……

「そうですか……夕べはイホウンデーさんとお楽しみだったようですね」

 ツァトゥグァさんがトゲのある……どころかトゲしかない言葉を言う……

「お楽しみ、か……すまんな、この歳になると物忘れが酷くてな……」

「……では、わたしがかけた不老の術の効果も忘れてしまいましたか……」

 不老の術……つまり、は不老ということだろう。で、イホウンデーって誰?

「ツァトゥグァ、もしや……お前は除け者にされたから怒っているのか?」

「叔父さんの元に送りつけますよ?」

「叔父さん……フジウルクォイグムンズハーですか……いいのですか? ぼくは可愛ければ男だろうとホイホイ調教する危険な神官なのですよ」

 フジウルクォイグムンズハーってよく噛まずに言えたな、夢のなかのぼく……話を聞かせてもらう限り、ツァトゥグァさんの叔父さんで男の娘みたいだ。

「お互いに影響されてどちらかがまともになればいいんです。願わくば共倒れして両方が真人間と真邪神として生まれ変わればいいんです」

「残念ながらツァトゥグァ……もうフジウルル……奴は既にぼくの調教技術でぼく無しではいきられない体にぃっ!?」

 話の途中なのに腹パンを喰らってしまった……夢のナカなのに痛いものは痛いんだね……初めて知ったよ……

「人の叔父さんを……なに調教してるんですかこの変態ショタコン神官!!!」

 夢のなかでもぼくの冒険は終わってしまうようだ……スイーツ(笑)



「レスキューショック!」

 そんな委員長さんの声と、心臓の辺りの外傷による痛みによって目を覚ました……やっぱレスキューショックってクソだわ

「……ここは」

「やっとおきましたか、副委員長さん……いえ、ユウさんと呼んだ方がよろしかったでしょうか?」

 まさか、ぼくの本名を知っているとは……まあ、クラスの委員長なのに知っていなかったらその方がおかしいけど。

 そういえばさっきの夢……ツァトゥグァという名前に聞き覚えがある気が……確かネット上だったような……まあいいや、そんな事よりちょっとカマかけしてみよっと……

「じゃあぼくはあなたの事をツァトゥグァさんと呼んでも良いですか?」

 何らかの反応があったら黒……知らないように返されたら白……さて、どっちに転ぶかな?

「……………………………………ひょっとして、何か奇妙な夢を見ませんでしたか? わたしのような人物がツァトゥグァという邪神の名前を」

「うん、見ましたよ……ところで、なんでツァトゥグァが邪神だって分かっているんですか?」

 カマかけパート2、神官という言葉から察するに神だと思ったからちょっと邪神というところに引っかかった。だからその辺を追求すれば別の情報をくれるかもしれない。そういう方に賭けてみた。

「あっ……た、たまたま本で読んだんです……」

「ふーん、たまたま……メリコミたまたみゃぅっ!」

 委員長のチョップ……略して委員チョップを喰らった……メリコミタマタマの何が悪いんですか! ガ   チンコジャッジに勝ちやすくなるハンデス軸ゴーストの縁の下の力持ちらしいんですよ! 公式のカードの名前なんですよ! メリコミタマタマ! 想像するだに痛いですけど

「はぁ……なんで夢にわたしが出てきたのかは理解しかねますけど認めますよ……わたしが魔導神官エイボンの相方のツァトゥグァですよ……それでどうするつもりですかあなたは……」

「じゃあ……秘密をバラされ」

「ヌッコロしますよ?」

 笑顔が怖い彼女です。ヌッコロにツッコミを入れたいけど、脅迫紛いのことを冗談とはいえ言いかけた以上、さすがにツッコミづらい。

「それで、あなたはどんな夢を見たんですか? わたし知識を授ける神なのでそういう事が結構気になるたちなんですよ……」

「えっと……確か……エイボンっていう人になった……みたいな……あれ、さっきさりげなくエイボンって」

「……もっと詳しく話してもらえますか?」

 意外と食いついてきたみたいだ……話をこうすればもっとフラグが立ちやすいと思わない?

「確か……ツァトゥグァさんに起こしてもらって……嫉妬混じりにイホウンデーさんとお楽しみでしたねって言われたり……」

「……!? ……全然嫉妬なんてしていませんでしたけど」

「ツァトゥグァさんの叔父さんの場所に送りつけられそうになったり」

「ぇ…………?」

「でもって最後には……ツァトゥグァさんにフルボッコにされてスイーツ(笑)状態に……」

「……あの……1つ良いですか……? それ……大まかな流れなので詳しいことは分かりませんけどだいたい実際にあった事なんですけど……」

「…………偶然って怖いですね」

 まさか、ぼくと同じくらいの変態が昔の相方でかつ今も委員長と副委員長という主従関係なんて……すごい苦労人ですね

「これは仮説にしか過ぎないのですが……もしかしたら、あなたの前世がエイボンさ……っ、エイボンなのかもしれません……今回だけでしたらただの偶然で済むのかも知れませんけど……とにかく、基本的に放課後にはここにいますから、何かあったら相談してください」

「えっちぃことりっ!?」

 案の定、文庫本チョップを食らった……地味に痛い。ホントに地味ながら痛い

「夢の事ですよ! こんどふざけたら叔父さんの所に……あ、今のは聞かなかったことにして下さい」

「アッ、ハイ」

「はぁ……イホウンデーちゃんにでも送るべきなんですかね……」

 さりげなく他人に送りつけられそうになってるぼく……ORUの無いアシゴやラヴァゴの気持ちになるですよ……

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