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0話 少年と少女

崖を背に少年と少女がいた。

その前を、体格のいい一人の賊が逃げ道を塞ぐようにしている。


「・・・はぁはぁ、ぐぅ・・・」


「くそッ!!このクソ坊主、よくも仲間をッ!!」


「にぃに、恐いよ・・・」


「はぁはぁ・・・大丈夫だよ。」



少年は少女に優しく声をかける。



「守ってみせる!!」



少年と少女は窮地に立たされていた。

たまたま寄った村に、たまたま賊がやってきて、少女を知る者がおり、少年は少女を攫おうとする賊を斬り殺して2人で逃げた。

賊は少年より弱く、逃げながら斬ることもできた。


しかし、賊の頭目は少年より強く、底の深い崖を背にするまでに追い詰められた。



「そのガキ捕まえるなんて後だ!!クソ坊主!!まずはてめえを絶対に殺すッ!!!!」



仲間を皆殺しにされた賊の頭目は完全に激昂している。



「・・・いいかい。今から奴の隙を作る。その時、全力で逃げるんだ・・・」ヒソヒソ


「にぃには?」


「・・・が助けを呼んできてよ。それまで頑張るから。」ヒソヒソ


「やだッ!!にぃにと一緒に逃げる!!」


「てめぇらッ!!ヒソヒソ話してんじゃねえ!!」



頭目は2人との距離を一気に詰めてくる。

それと同時に少年も距離を詰め、少女の逃げ道を確保しようとする。

剣と斧がぶつかり合い、激しい火花が散った。

激しい剣と斧のぶつかり合い。

賊は少年を殺そうと、少年は少女を逃がそうと、少女は少年と共に逃げようと、様々な想いが交錯する。

長いようで短い攻防は、徐々に頭目の方が有利になっていく。

剣の腕が立とうとも、所詮は少年。

大人の力に勝てるはずもなく、離したはずの少女との距離が徐々に縮まっていく。



「はッはーーッ!!所詮はクソ坊主!!てめえじゃ俺には勝てねえよッ!!」


「ぐはッ!?」



少年は弾き飛ばされ、先程の少女を後ろに庇う配置に逆戻り。

今の一撃で少年は動くことができない。

頭目は一気に近寄り、トドメをさそうと少年目掛けて斧を振り下ろす。



「にぃにッ!!」



少年の前に少女が回り込み、少年を庇う。



「馬鹿ッ!!!!」



少年は残り少ない力を使い、少女を頭目のいない方へ吹き飛ばす。

吹き飛ばすと同時に斧が振り下ろされ、少年の左腕が宙を舞う。


頭目は勝ち誇った顔をしていた。



少年はこの瞬間を待っていた。

斧が振り下ろされ、頭目の体勢が下がる時を。

意識を失うほどの激痛を堪え、残った右手に持つ剣を首もと目掛けて払う。


勝ち誇った顔のまま、頭目の首と胴が離れる。

頭目の首はそのまま崖に落ち、胴も誘われるように崖へ向かう。



少年を押し倒しながら・・・



「ごめんね、・・・。助け呼ぶまで待てなかった。」



少年は頭目の胴と共に崖の深い闇へと落ちていった・・・




少女は、自分に起こった出来事が理解できず、吹き飛ばされた場所で激しい痛みを感じていた。



「うう・・・はッ!!にぃに!?」



自分が庇ったはずの存在を確認するため、痛みと闘いながら少年を探す。

一連の流れは少女が痛みと闘っている間に終わり、少年の使っていた剣を残し、その場には誰もいなかった。



「えっ?にぃに、どこ?」



にぃにと呼んで慕っていた少年の声はどこにもない。

ただ、少女の声だけがその場に残る。



「にぃに?にぃに!?どこにいるの、にぃに!!」



いくら呼んでも少年の返事は返ってくることはない。



「うそ、だよね・・・にぃに強いもん!!・・・を置いてどこにも行かないもんッ!!!!」



それに対する返答はどこからもない。

ただ少女の声だけが、にぃにと呼ぶ声がけが聞こえるだけ。



「にぃに・・・にぃにッ!!うわーーーーんッ!!!!」



先程まで、少年のいた場所に落ちていた剣を抱きしめ、少女は大きく泣き出した。



・・・それを止める存在はどこにもいなかった。

私の興味を惹いたのは、とある武将の伝記と共においてあった少女の日記。

その武将は中国の歴史『三國志』に登場する人物の1人だ。

特に『三國志』に興味があったわけではない。

たまたま、歴史資料館に行ったときに見つけた物で、何故かその本を読んでみたいと思ったのだ。

資料館の職員にその本の貸し出しをお願いしたのだが、そんな本は知らないと言う。

手に取れる場所にあるため、その本を手に取り、その職員に見せつける。


何も持っていないと言われる・・・

頭の可哀相な人に見られる。


腹が立ったのでそのまま資料館を後にする。

家に帰ると手にその本が握られていることに気がついた。


・・・職員は知らないと言っていた。

そのまま持っていよう。

自分の部屋に戻り、その本を読んでみようと思った。

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