第27話 最終回
ちょっと前までただの大理石の床、周りは乾いた土、曇り、雨が降りそうだった空。
それらが、目を開けると大理石の床は変わってないが乾いた土だったものが、青々とした芝になり、曇り、雨が降りそうだった空は雲一つない晴天になっていた。
『よかった…』
ソフィアの口から安堵の声が聞こえる。
「ソフィア、この風景がこの世界の本当の風景なんだね。」
『はい。』
今まで見てきた物たちも十分過ぎるくらいに綺麗だったが、今、私が見ている風景は、比べるのすら馬鹿らしいほどに綺麗だった。
《桜花さん。》
マリア様が静かな声で私の名前を呼ぶ。
「何ですか?」
《本当にありがとうございました。》
そう言って、深々と頭をさげてくる。
「あ、あの、そうゆうの本当にやめてください!私苦手なんですよ…」
そう言うと、マリア様はすっと、無駄一つない動作で頭をあげた。
《本当に、なんてお礼を言ったらいいか…。》
マリア様は声をふるわせながらそう言った。
『桜花さん。本当に、本当にありがとうございました!』
あのソフィアが腰から深々ともう、本当に深々と頭をさげた。
「うっわぁ、ソフィアがやるとなんか違和感半端ない…。」
私は少し引きぎみにそう言った。
すると、ソフィアはムッとした表情になり、ツンとした感じで言い返してきた。
『何ですか、それ。そんなの私が謝る事をしないわがままな子みたいじゃないですか!』
「いや、事実だし?」
私は言った後、すぐさま口をふさいだ。
背中に何か冷たいものが流れる。
「(やっばい、つい口がすべったぁぁぁぁぁぁ!!!)」
『へぇぇぇぇ、桜花さんはそんな事思ってたんですかぁ、そうですかぁいいんですよぉ?そう思ってても。私がなおして差し上げますからぁ』
語尾に一体何個ハートが付くんだというくらいの甘ったるい声。
しかし、今の私にはそれはただの悪魔の囁きにしか聞こえない。
『そうですねぇ、そのひんまがった根性叩き治しますかぁ。』
―――――しばらくお待ちください。―――――
「美しくも儚げで天使のようなソフィア様にあのような事を口にしてしまい、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!!!」
私は全力で土下座した。
私は自分のプライドより命のほうが大事だ。
『ようやく分かりましたか。桜花さんは理解力がないですね。まったく、何度めですか。』
そう言って はあ、とわざとらしくため息をつくソフィア。
「てか、みんな、少しぐらい助けてくれてもいいじゃん!」
周りを(特にマリア様とリリとクローディアを見て。)叫ぶように言った。
《ですけど…ソフィアには》
〈嫌われたくないからな。〉
マリア様とリリ。
クローディアは申し訳なさそうに顔をそらしていた。
「この、裏切り者おおおぉぉぉぉぉ!!」
雑談だがこの時の私の叫び声は味噌汁を飲んだあの街まで響いたようだ。
『と、言うわけです。桜花さんに味方はいません☆』
「くそっ」
〔ふふふ。〕
クローディアが笑いだす。
「どうしたの、クローディア?」
〔いや、仲がいいんだなあーって〕
「『いやいや、全っ然仲良くない(です)!』」
〔ほら〕
「ソフィア、真似しないでよ!この鬼畜!」
『なんですって!?それはこちらのセリフです。このバカ!』
私達がにらみあっているあいだ、マリア様達はずっと微笑ましく見守っていた。
そして、マリア様が思い出したように言う。
《そう言えば、この国、悪魔界の王と王妃倒しちゃったので、この国を統べる者が居なくなりました。どうしましょう。》
「確かに、考えてなかった…」
『国を統べる者が居ないと国は機能しませんからね。』
「どうするもんか…」
〔あの、よかったら私にやらせてくれない?〕
「クローディアが?」
〔うん。あ、でも駄目ならいいよ!〕
「ううん!駄目なんて!クローディア、よかったらやってくれない?」
〔うん!〕
「マリア様、クローディアなら大丈夫ですよね?」
《ええ。よかったら貿易もしたいわ。》
〔もちろん!〕
「がんばってね!」
〔うん!〕
それから私達は怒涛の数日間を過ごした。
私とソフィアとマリア様は国に帰って、国民に世界が救われたことと悪魔界の事を説明して、同盟(?)をくむ事を納得してもらったりした。
他にも、クローディアの王になる準備をして同盟をくんだりして、国民同士の交流会などをした。
ちなみに、私は崇め奉られた。いや、本当に居心地悪かったよ。
他にも天界と悪魔界での交流会をやったりもした。(悪魔界の人達は見た目は人間だったよ!)
イベントの類いが終わって、そこから私が帰る為に必要な魔方陣(?)を3日ほどかけてつくった。(らしい)
そして、帰る当日。
『桜花さん…』
少し沈んだ声のソフィア
「大丈夫だって!だって、10人がかりで3日かけたんでしょ?」
『でも』
「大丈夫だって!いつから心配性になったの?」
『そうですね。』
そう言っていつも道理笑うソフィア
「でさ、服、来たときの奴に戻してくんない?」
ここの服はかわいいけど制服がないと困るからね。
『確かに、そうですね。』
ソフィアが軽く指を振ると、ポンッと音をたてて懐かしい数ヶ月ぶりの制服に鞄。
『桜花さん、これ』
そう言ってソフィアが差し出したのは、ソフィアがいつもつかっていた花の髪飾りの色違いだった。
ソフィアが急に優しくしてくるから今まで我慢していた涙が一気に流れだす。
「う゛ぅ、ありがどぅゾビィアー!」
私は大泣きしてしまった。
『な、何泣いてるんですか。桜花さん』
そう言うソフィアも目に涙を溜めていた。
〔桜花様ー!転送の準備が出来ましたよー!〕
少し遠くで魔術師のリーダーが私を呼ぶ。
「ソフィア、私達、もう会えないの?」
ソフィアは少し考えてから言う。
『そうですね、桜花さんからは会いに来れないでしょうね。』
「?どういう…」
〔桜花様ー!!〕
『ほら、桜花さん。』
「あ、うん。」
私とソフィアは魔方陣の方に走る。
『桜花さん、鞄忘れてますよ!』
「あ、ありがとう。」
『もう、最後の最後までバカなんですから。』
「へへへ。」
《桜花さん》
「マリア様」
《桜花さん、本当に長い間お世話になりました。私達の都合に巻き込んでしまって申し訳ございませんでした。どうぞお元気で。また、会いましょうね。》
「いや、いいんですよ。結構楽しかったし、いい思い出もできたしね。」
〔桜花様!早くしてください。魔方陣が消えてしまいます!〕
「あ、はい。」
そうして私は魔方陣に足を踏み入れる
「バイバイ、ソフィア。危なかった時もあったけど楽しかったよ、ありがとう!マリア様も、魔力ありがとうございました!」
『桜花さん。また、会いましょうね!絶対ですよ!』
「うん!絶対!」
そう言うと体が浮游間に包まれる。
そして足が地面に―――――
着かなかった。
「いったー。あー、懐かしい感覚。なんでわざわざ穴の中に転送するかな…地面の上でもいいじゃん。」
私はぶつくさ言いながら一生懸命穴をよじ登って地上に登り、土を払った。
私は携帯を出して開く。
「お。時間ほとんどたってない。」
多分、2・3分たったくらいだろう。さすが王宮に仕えてる魔術師。10人がかりで魔方陣つくったかいがあるな。
そして私は家へと足を運ぶ
「ただいまー。」
そう言って自宅の扉を開ける。
「あ、おかえり。お姉ちゃん」
出迎えてくれたのは弟の咲夜
「あれ、お姉ちゃん。鞄についてるそれ、今まであったっけ?」
「ああ、これ?これはね、お姉ちゃんの大切な親友がくれたんだ。」
「ふ~ん。あ、もう晩御飯だよ!」
「うん。わかった、すぐ行くね。」
そう言ってリビングに向かう。
きっと、一生忘れる事の無い私の大切な親友。
忘れる事の無い短かったようで長かった数ヶ月。
きっと、私は一生忘れる事は無いだろう。
~楽譜~私の異世界探検ライフ、ついに完結です!
約8ヶ月、気長にお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました!
心から感謝申し上げます!
~楽譜~私の異世界探検ライフ、本編はここで完結とさせて頂きますが、数話ほど番外編を乗せようと思っているので、よかったらそちらもどうぞ!




