第25話
遅くなって申し訳ございませんっ><
「お願い!返して!それが無いと…」
あれが、楽譜が無いと世界が…
私は両手を強く握りしめた。
桜花は、いとも簡単に大事な楽譜を敵の手に渡してしまった自分の無能さを悔いていた。
いつまでも悔いていてもしかたがない。
今は、どうやって楽譜を取り返すか考えるだけ!
「あなた達は、この世界を征服すると言ったけれどこの世界は壊れかけているのに、治さないの?」
〔もちろん、直しますよ。そうしないと私達も朽ちてしまうじゃないですか。〕
「じゃあ、その後は?」
[そんなの、決まってるじゃないか。私とマヤが精霊界、悪魔界を私達の物にするだけだ。]
「精霊界と悪魔界を征服して、いったい何をするの!?」
〔その後は精霊界、悪魔界の民達に私達の生け贄になって貰うのよ。〕
生け贄、これまた物騒な言葉が出てきたな。
「生け贄?いったい何をするつもりなの?」
〔私とウェルの永遠の美貌と命の為かしら〕
《まさか、あなた達、禁じられた魔法を!?》
「禁じられた、魔法?」
《人の精神力、命を使い、自らを不老不死にする魔法よ。でも、それは定期的に人の命を吸いとらなくてはいけないの。》
「精神力を、吸いとられた人はどうなるの…?」
発した言葉は少し震えてしまった。
《精神力を吸いとられた人はその後、脱け殻となります。》
「脱け殻?」
マリア様は頷き、続きを話そうと口を開いた。
が、それは悪魔界の王妃 マヤに遮られてしまった。
〔精神力を吸いとられた人はその後、心を無くし 生き人形となるのよ。〕
「そんなっ」
そんなのって!
「あなた達の勝手な都合で、人をそんなふうに扱うなんて!」
〔私は、私とウェル以外どうでもいいもの〕
「余計にあなた達に楽譜を渡すことはできなくなったわ!力ずくでも取り返してみせる!」
〔それが、あなたに出来るかしら?
そうだわ、楽譜に関しては、クローディア、よくやってくれたわ。ありがとう。〕
〈そんなっ 王妃様達の為ですもの。当たり前の事をしたまでです。王妃様達の為なら私、なんでもします!〉
クローディアは誉められた事が嬉しかったのか声が少し弾んでいた。
〔そう私達の為になんでもやってくれるの。〕
王妃は口元に笑みを浮かべて言った。
〔じゃあ、消えなさい。〕
〈え?〉
クローディアの動きが止まる。
「ちょっとあんた!なんてこと言ってんのよ!」
〔何?あなたあの子を庇うの?あの子はあなたの敵なのよ〕
「確かにクローディアは敵だ!でもさっきのはいくらなんでも酷すぎる!」
私はマヤを強く睨み付ける
だがマヤは気にもしたいでクスクスと笑い声あげ言った。
〔それが何?クローディアは私達の所有物ですもの。どう扱おうと私の勝手でしょう?〕
そう言ってさらに笑みを深くし、クローディアに言った。
〔どうしたの、クローディア。さっさと消えなさいよ。〕
マヤの言っている【消えろ】は【死ね】と言っているのと同じ意味だろう。
クローディアは口を開き小さく呟いた
《どうして?王妃様、私のこと愛してるって言ってくれたのに…》
クローディアの発した言葉は震えていた。
〔ええ、私はあなたを愛していたわ。使い勝手のいい使い捨て用の駒としてね。〕
クローディアの顔は青く、絶望に満ちたような顔になっていた。
[ちょっと待ちなさい。]
ずっと黙っていたウェルが久々に口を開いた
[クローディアを処分するのはやめなさい。]
クローディアはその言葉を聞いて顔を上げた。
その顔はまだ青ざめ、絶望にまみれていたが、少しだけだがクローディアの瞳には希望が宿っていた。
それをみたウェルは笑みをマヤ以上に深くし言った
[私達の生け贄といてね。]
クローディアの顔には希望どころか絶望すら宿っていなかった。
いうならば無 感情の無いお人形のような表情だった。
「止めろ!もうそれ以上いうな!」
私は叫んだ クローディアは確かに敵だが嫌いではなかった クローディアとは友達になりたかった
桜花はクローディアを少なからず好いていた(クローディアの過去の話につられて)
『桜、花さん…』
ソフィアが声を発する
『呪文を、この人達を倒さないと世界がっ…』
「でも、私そんな呪文知らない!」
『あなたの思った通りに言葉を紡いでください。一言一言に言霊を込めて。それが、呪文となります。あなたは特別ですから』
ソフィアは冷や汗をかきながら強く笑った
私はそれに応えるように強く頷く
〔ふんっ、そんな小娘に何が出来るって言うのよ〕
[たかが小娘が私達に勝てるとでも?]
『桜花さんはやるときはやる人です。それに、世界に選ばれた人です。
今に見てなさい。』
私は目を瞑り、そっと唱える
自分が唱える呪文一言一言に思いを込めて
「『この世の聖なるもの達よ
闇に飲まれ
人を裏切り
多くの者を犠牲にし
生に逆らった者の黒く汚れた心を浄化し
己の犯した罪の重さを理解させ、正しき道へと導きたまえ
そして、その者達に新たなる人生を」』
そう唱えると白のような、黄色のような色をした光が辺りを照らす
そっと目をあけると唱える前となんら変わりの無い光景が広がっていた。
〔なによ、何も起こらないじゃない〕
[もしかして失敗したのか?はっはっはっ、笑えるな。やはりクズはクズか]
ウェルとマヤはああ言っているが私は確信していた。
この魔法は成功した、と…
「大丈夫魔法は成功したわ」
[はっ、何を言って…]
続きを言おうとするがそれを遮り言う
「だって、ほら」
私はそう言って王と王妃を指さす
〔何言って…〕
そう言いながら自らの手を見た王妃マヤの顔は一瞬にして青ざめた
〔何よ、これ!?〕
王と王妃の手は、いや、体全身は先ほどまではどこぞの芸能人だ と言うぐらい綺麗だったはずの外見は今はしわしわのおじいちゃんとおばあちゃんだった。
[どうゆうことだ!?]
そう言う声もしゃがれ、おじいちゃん声になってゆく。
《どうゆうこと!?》
無表情だったはずのクローディアは、今は驚きを顔に浮かべていた。
「あなた達は罪を犯しすぎた。でも、一度だけチャンスをあげる。だから、もう二度と道を外れないで。正しく全うに生きてちょうだい。」
〔嫌よ、私はまだ生きるの。この国の王妃として永遠に生き続けるのよっ!〕
[クローディアっ!助けてくれっお前を育ててやったのは私達だろう!?私は、私達はお前を愛してた!]
《っ!!》
クローディアの瞳が揺らぐ
そして、周りに助けを求めるような視線を向ける
「クローディア」
私がクローディアの名をを呼べばびくっと体を震わせる。
「周りを頼るんじゃないの!自分で決めなきゃ意味無いの!」
クローディアはどうしようかというふうに視線をさ迷わせ下を向き、数秒考え込んだ。
そして、上を向き大きく、強く頷いた。
《わかったわ》
そう言ったクローディアの目は絶望でも、諦めでも、希望でもない。
その目に宿っていたのは確固たる決意。
《確かに私はあなた達に育てて貰ったあなた達を両親のように思っていたし育ててもらって感謝もしてる》
〔なら…〕
喋ろうとしたマヤを遮りクローディアは喋り出す。
《でも、あなた達は私に消えろと言った。なのに、こんな時だけ頼るって、間違ってると思うし、あなた達は長く生きすぎたと思う。だから私はあなた達を助けない。
でも、私を拾って、ここまで育ててくれてありがとう。感謝してる。最期に伝えとくね。
ありがとう。そして、さようなら。〕
クローディアがそう言った瞬間、二人は光の粒子となり空へと消えていった。
二人が立っていた場所にはうっすらと靴型がついている気がするがそれ以外は何も残っていなかった。
「ちゃんと、改正してよね!」
私は二人の消えていった空に向かってそう言った。
《あの》
「ん?」
《これからは私、ちゃんと自分の足で歩いて生きます》
「大丈夫。クローディアなら出来るよ」
「…って、あーーーーーー!!!!!」
《!?》
『どうかしたんですか!?』
「ど、どうしよう。が、楽譜…!あの二人持ったまんまだったじゃん!」
『あー、それなら桜花さん上。』
ソフィアが指で上を指す。
「上?」
上を向くと楽譜がヒラヒラて落ちてくる
『桜花さん。しっかりキャッチしてくださいね!もし落としでもしたら…』
ドスを聞かせた黒い声でソフィアが言った
「ひっ。か、必ずキャッチさせて頂きます!!」
クローディアはそんな私達のやり取りを見てそっと微笑んでいた。
私はそれに気付く事なく、体を左右に移動させながら手を伸ばして楽譜を一生懸命掴もうとしていた。
「う~! あ、よし、とれた!」
私はしっかりと両手に楽譜をキャッチした。
それをしっかり確認した。
「やっと、そろった。」
『よくやりましたね。桜花さん』
ソフィアはそう言ってよろよろとだが歩み寄ってくる
「ソフィアソフィア」
私はそう言ってソフィアに手のひらを向ける
『しょうがないですね。』
私達はお互いの手のひらを一度だけ、強く叩いた。
『お疲れ様でした。桜花さん!』
やっと、取り返しました。
なんか最終回みたいになっちゃってますけど一応、あと1・2話続きます!




