第17話
『いよいよ最後、早かったですね』
「そりゃこの私が頑張ってるもの」
『これで王女様からの信頼とご褒美は私のもの。やっと最後、さいご、最期…』
「ちょっとちょっとソフィアさーん、漢字を間違えている気がするんだけど」
『ともかく次は天界ですよ』
「流されるのは慣れたぜ。ったく…。天界楽しみだなー名物って何なの?」
『前にも言いましたけど桜花に親しみがあると思います。何かは教えませんけどね』
「ちぇー ん?てか天界!?私はしゃいでたけど…
ねえ!まさか、これから死ににいくの!?だから美味しい物とか食べれるの!?」
『私だって命は惜しいですよ。命がないとご褒美貰えませんし』
「やっぱそこなんだ…てか、じゃあどうするのさ私達死ぬの?」
『 私達 だったら私も死ぬ事になるじゃないですか死ぬんだったら貴様だけ死んでこい』
「やっぱり死ぬんじゃん!!」
『冗談ですよ。バスがあります』
「冗談に聞こえないよ!」
てか、ここまで来てバスに乗る私っていったい…
にしても普通空を飛ぶっていったらファンタジー的には列車とか絨毯とかそんなんじゃないのかなと思うけど、この世界がどこかずれているのは今更だから、気にしないでおこうか。うん。
『ちなみに女王様の名前をだせばバスは無料ですから』
「とことん利用しやがるな。まあ、私こっちでのお金持ってないからありがたいんだけどさ」
『そうです、文句言わずにおとなしく従っていればいいんですよ
ちなみにあれが天界に行くための乗り物です』
「うっわあ」
ソフィアの指差す先にあったのは、私達が普段乗っているような至って普通のバスだった
「これが空を飛ぶだあ?ありえん落ちる死亡フラグ」
『他に手段なんてないですよ。さあ、乗った乗った。』
ソフィアに背を押され無理にバスの中に押し込まれる
「いやああぁ!!まだ死にたくないいぃ!!」
『あの、女王様からのご命令で来ました。よろしくお願いします。』
〔こちらこそお願いします。どうぞご利用ください〕
『ありがとうございます』
「(態度いきなり変えやがった)」
『あ、あと女王様から好きに使っていいと渡されたお金渡しておきますね』
そう言ってソフィアがぽんと私の手に置い財布の様な物を開けると
「ゆ、諭吉さんがいっぱいいる…こんな量今まで見たことない」
『それを好きに使っていいとの事ですあなたの給料です あと、多分お金の価値はあなたの世界とおんなじだろうと言ってました』
「でも、こんなに貰っていいの?多くない?」
『いいんですよ、桜花さんはこの世界のために命をかけて戦ってるんですから』
「そっか、そうだよね、じゃあ有り難く貰っとこ 女王様ありがとうございます!!」
私はいもしない相手に向かって深々と頭を下げた
『女王様のいるお城ならあっちですよ』
そう言って真反対を指すソフィア
「……………」
私はもう一度ソフィアが指した方向に向かって深々と頭を下げた
『さ、座ってくださいそろそろ主発しますよ』
「あぁ私はついに死ぬのか…お父さん元気でね親孝行出来なかったけどごめんね」
『なにぶつぶつ言ってるんですかうるさいですよ他の人に迷惑です』
「あと最後にお父さんの一個525円する秘蔵プリンを勝手に食べて証拠隠滅したのも私です あとお兄ちゃんその罪押し付けてごめんなさい怒られてる時ざまあみろとか思ってました本当にごめんなさい」
『懺悔は終わりましたか?』
「他にもいろいろあるけどもういいよ」
『そうですか 天界楽しみですね仕事が忙しくってなかなか行く暇がなかったから本当凄く楽しみです』
「死にに行くのが楽しみなんてソフィア…」
『桜花さんいい加減うるさいです! いいですか、これはこっちの世界では普通なんです。バスが落下するとか言って怯えている桜花さんはそちらの世界の人が船に乗る時にこんな鉄の固まりが海を渡れる筈がないって言ってるのとおんなじなんですよ!』
「それでも!それでもやっぱり怖いものは怖いんだよ!」
『はぁーあ、はいはい、そうですか あ、もう出発しますよ』
「え〜」
ガコッ
ついに扉が閉まる
「逃げ道が塞がれたついに私は死ぬのか」
バスが空中を走る
『ほら、桜花さんうずくまってないで外見てくださいきれいですよ』
私はゆっくりと顔を上げそっと窓の外を見る
「ほんとだ今さっきまでいた場所があんなに小さいすっげー」
『でしょう?もう数十分ほどで着きますよ』
「じゃあ、その数十分ほどでこのバスが転落するのか……この綺麗な景色も冥土の土産ってことか」
『ちっ逆効果だったか…桜花さん、いい加減その被害妄想止めて頂けます?鬱陶しいです』
「じゃあ、私気休めに寝るね着いたらおこして。…起きたら天国か」
『はいはい、わかりましたさっさと寝てください。鬱陶しい』
◇・.。*†*。.・◇・.。*†*。.・◇・.。*◇・.。*†*。.・◇・.。*†*。.・◇・.。*
『・・・・い・・・さん・・・きて』
「ん〜〜、もうちょっと寝かせて〜お父さん…」
『誰がお父さんですか、桜花さん起きてください!着きましたよ!』
「ん〜?着くってどこに?」
『天界ですよ!』
「ああ、天国か」
『天国じゃなくて、天界です!さっさと起きてバスから降りますよ!』
「やだ」
『やだじゃありませんよ!駄々をこねて小さい子供ですか!はあ、こうなったらもうあの手を使うしかないか』
ズーリズーリ ガッ
「痛い痛い!痛いです!ソフィアさん!首がしまります!自分で歩くんで放してください!!」
私はソフィアに服の首の部分を引っ張られひこずられていたそしてなにかに引っ掛かった
マジでお尻に火がつくんじゃないかというくらい痛かった
『それなら最初っから自分であるいてくださればよかったのに』
「いやー、さすがにあんな強行手段とってくるとは思わないじゃん」
『さっさと立ってください入国しますよ』
「ふ〜い 天国への門か…ヘブンズゲートとか?」
『………』
「あ、遂にスルーですか」
『すいません、女王様のご命令で来ましたソフィア・アイメーレジーです』
〔はい、お話は伺っております。失礼ですがお隣の方お名前を伺ってもよろしいですか?〕
「麗舞 桜花です」
〔麗舞 桜花様ですね
それではどうぞお入りください〕
門をくぐるとそこは屋台やお店がいっぱい並んでいて人?でごったがえしになっていた
『相変わらず凄い人混みですね』
「すっげー死人がこんなに」
『……桜花さん、パンフレットをどうぞ』
「ソフィアが遂にスルースキルを覚えたチャララチャッチャチャーン」
『なんですかそれ…』
「知らない?結構有名だと思うんだけどなー」
『知りませんよそんなの』
そんな会話をしながら私はソフィアが渡してくれたパンフレットに目をやる パンフレットには各店舗の紹介・クチコミ?などいろいろと載っていた
「うん、パンフレット見たらここが観光地って納得できた!」
『そんなので納得できるだなんて、桜花さんは単純な頭のつくりをしていらっしゃるんですね。』
「うわ、さらっと毒はいたよこの人……ん?これって」
「そ、ソフィアこ、ここここれって」
パンフレットに書いてあった天界の名物とは…