一滴大流
――ここには、周囲全てを飲み込む深い闇が広がっていた。
その中でたった一つ、闇に負けんと光を放つものがあった。
ランプ程の輝きを放つそれは、消え入りそうになりながらも、周囲にある緑や樹の幹を照らし移動していた。
やがて光は、緑から木造の扉へと照らす対象を変えた。
扉が開き、中から強い光が溢れ出す。それと同時、二つの声が鳴り響く。
「父さん、お帰り!」
「帰りが遅いから心配したよ…」
それは、シェインとカインだった。
「すまないな。探すのに手間取ってな。」
そして、先ほどまでの淡い光―ブリザードフラワーを右手に持ち、シェインの頭に手を置くのは父であるクルトだった。
三人が住むスパンセは、三日間の夜に包まれていた。
「もうあんまり無茶しちゃ駄目だよ。」
夜の中、無事帰ってきたクルトに、カイン達は安堵を浮かべるが、どこか表情は暗いままだった。
これも夜の影響か… だが、本当の理由は別にあった。
クルトは息子達を部屋に帰るよう伝えた後、二階へと上がっていく。
古めかしい檜の香りを漂わせる扉をゆっくりと開けた時、表情が僅かに柔らいだ。
「…お帰りなさい。どこに行ってらしたの?」
中から聞こえたか細い声。そこには、弱々しくベッドに横たわるレリクが居た。
クルトはベッドに近寄ると、目線をレリクの元までおろし、後ろ手にした右手を差し出した。
「これを探してたんだ。」
部屋の中でも明るく輝くブリザードフラワーは、レリクの瞳に強く反射した。
「こんな夜に…ほんと、あなたは無茶ばかりするんですから。」
クルトの右手に、細々しい腕が伸びていく。
レリクは今、体調を崩し寝込んでいた。
夜が始まってしばらく後、体調不良を訴え倒れ込み、既に三日間このような状態が続いていた。
だが、クリスタルであるレリクには体調不良など考えられない事である。クルトは必死に原因を模索したが、骨折り損の草臥れ儲け。夜になにか原因がある、という事までしか知り得ることが出来なかった。
「お前の好きなブリザードフラワーだ。…こうしてると思い出すよ。お前に告白した時の事をさ。」
幸せな時期の思い出話は病に効く… 古くに聞いたまじないを、クルトは信じ実行していた。
その甲斐あってか、昔語りをする度レリクの笑顔が明るくなっていった。
レリクは自分の全て… 今回の件は、改めてクルトにそう実感させていた――
――「では皆さん、またの機会に!」
一方、ここ「オマ」の高原には、女性の高い声が鳴り響いていた。
そこには無数の人だかりがあり、皆一様に歓声を送っていた。
「リリ!最高!」
声を受け、リリは笑って手を上げた。
それが勢い良く頭上で動く度、歓声も盛大になっていく。
リリは仲間を一度に失ってからの三カ月、クレロワのデフォメ制作の協力を行う日々を送っていた。
これまで協力を担っていたクロンは、身辺警護役のビンズ共々解雇されていた。
それはひとえに、制作協力を願い出たリリの為であるが、クレロワの内心は複雑だった。
「皆さん、今回はこれまでとさせていただく。」
リリの隣に立つクレロワは、歓声を鎮めた後、リリにジョウントタグ促した。
リリの人気は絶大だった。
これまで神秘的な存在だったリリが現実に現れた… 世間の異様な高揚感はこれが原因だった。
その上、美しい容姿と類い希なる力でデフォメ協力をする様は、ますますの熱狂を齎した。
「今日も楽しかった。」
カニールガーデンに着き、リリ達は一息付く。だが、それを阻止するように、遠くでは「電話」の音が聞こえていた。
破竹の勢いのリリだが、その陰には未だクロンのファンも根強く、今では「リリ派」「クロン派」という下らない争いが起きていた。それはカニーリガーデンにも及び、常に電話には「クロンはどうした」といった脅迫めいた言葉が送られていたのだった。
「人は神を失い信仰を無くしたって言うけど嘘ね。信仰の対象に違いがあるだけで、常に何かに依存し、それ以外の邪魔者を淘汰しようと考える。」
クレロワの心労を見抜いてか、リリは独り言のように言葉を零した。
「安心して。この遊びはヤーニが戻って来るまでだから。そしたらまた計画を進めましょうね。」
それは、鳴り止まぬ電話の音より強く、クレロワの心に流れ込んでいくのであった――
―――――――――
――そしてここは、大都市モバンのチャットルーム。
複数の話題で盛り上がるのが常のチャットルームだが、今日はリリについての話だけが室内を包んでいた。
いや、ここ三ヶ月間、リリがカニールガーデンのチャネリングに現れる度、このような馬鹿騒ぎとなっていた。
嬉々とする雰囲気の中、それとは真逆の反応を示す者が二人。
「ザックさん。やっぱりこれは…」
ラリマーティーを飲むラーソと、スギライトティーを飲むザックである。
クレロワが進化派であることは明白。そのクレロワが、クシミの件からまもなく後、同じ進化派のリリを引き連れ公の場に現れた…
事実を知るラーソは、放送にはなにか裏があるのではと考えていた。
放送がある度不安を口にしていたのだが、何故かザックはその都度首を振っていた。
「彼らは変わろうとしてるんですよ。」
再注文したチャロアイトティーを手にすると、いつものように話のお茶を濁す。
「彼らにはもう争う力は無いですしね。それに…」
言いかけ、ザックは手にしたお茶をテーブルに置いた。
そして、コップをカメラに持ち替え一言零す。
「そろそろ行ってきます。」
立ち上がり、ラーソの笑顔を確認すると、ザックは軽い足取りで店を後にした。
カメラを光らせ小気味良く進むその足は、草木が香るモバン市外を抜け、さらに西南へと向かっていく。
草木の香りの中に、僅かずつ川の澄んだ香りが混じり込む。
モバン西側には巨大な山脈があり、そこにある水脈は、一つの大河を生んでいた。
土地を二つに分けるように流れるそれは、人気のスポット。ザックはそのほとりに向かっていた。
出発してから三時間。川のせせらぎを耳に捉えた時、眩しい光の流動が視界に飛び込んだ。
ここならイメージ通りの写真を撮れる。 期待と自信が、心を揺さぶり流動させた。
――~モバン写真コンテスト~最優秀者にはもれなく名誉をプレゼント!
モバン近隣の街「エスタリーブ」に降り立った時、ふと目に入ったアフィリエイト。それが、今回ここまで足を運んだ原因だった。
思い出巡りの旅の途中ではあるが、それがどうしても気になったザックは、ラーソに頼み、モバンに滞在する事に決めたのだ。
コンテスト期間は今日で最終日…それも参加を決めた理由の一つだった。
ザックは、老若男女が散見する大河のほとりを散見しながら、コンテストの概要を思い起こした。
まず始めにテーマを決め被写体に反映させる。次に、その写真を見た人達が、第一印象で感じた写真のテーマを決める。その直感的なテーマが、撮影者の描いたテーマと重なる度合いでポイントが加算されていくという仕組みだった。
写真の美しさも問われるが、なにより大切なのは、写真を通して伝える思い。風変わりなコンテストだが、ザックはそこを気に入り熱意を燃やしていた。
テーマは既に決まっていた。後は、それを表現出来る構図に出会うだけ。
だが…
(――これも駄目だな。)
ほとりに着いてから小一時間。十枚目となる写真を見、苦渋を混ぜたため息を漏らす。
場所を変え、更に十枚。それでも納得する一枚に出会えない。
(――…なにか焦りがあるな。)
気休めに釣りを興じながら、ザックは自己分析をすることにした。
その後方…ずっと訝しげな視線を送る者が居ることを、ザックは気付く事が出来なかった。
釣った魚を再び川へと離した時、ようやくその視線に気付く。
気配の変化を察した時、遂にその首は背後を振り向いた。
視界に見えるは鋭い光。
「驚き顔、頂きました。」
光の中から飛び出した女性の声… それを聞いた時、ザックは驚愕し立ち上がった。
「…ハルカさんじゃないですか!」
それは、ザックにとって一眼レフカメラの「生徒」ともいうべき女性、ハルカであった。
「偶然ですね」という声と「久しぶり」という言葉が同じ空間で響き合う。
初めてハルカと会った時から、偶然の再会はこれで二度目。しかもこの地は二人にとって馴染み深い場所である。やや朽ちた倒木に腰を下ろし、自然と話は盛り上がった。
「でも今回は偶然じゃないかもね。ザックもコンテストのために来たんでしょ?」
ハルカもザックと同様、コンテスト作品を収めにこの大河を訪れたのだという。
作品を撮り終えて帰路に着く時、釣りを興じるザックを見つけという事らしい。
「そういえば、なんかさっき苛ついてなかった?」
心を見透かした様なハルカの言葉に、思わず体が硬直する。
ザックは、納得いく写真が撮れない事で少々気が立っていた事を伝えた。
驚くハルカだったが、渡された写真を見た時、確信した口調でザックを諌めた。
「ザックがそんな状態だから、イメージがブレちゃってるんじゃない?機械だってきっと解るのよ。」
それは、ザック自身が心に何度も言い聞かせていた事だった。
焦り、不安… リリが姿を見せるようになってからの数ヶ月が、その二つを強く前へと押しあげていた。
そしてもう一つ、ラーソにもまだ話していない秘めた心中が、ザックの不安に拍車を掛けていた。
「…よし。ザック先生がスランプから抜け出せる手助けをしてあげよっかな。」
悶々とするザックに、ハルカは笑顔でそう告げた。
はじめは一人でやってみると言っていたザックだったが、ハルカの強引な誘いに次第に流されていく。
「…本当に良いんですか?敵に塩を送ることになりますよ。」
ハルカは、もちろんと即答し、素早く右手を前に突き出した。
妙に馴れ馴れしい様は相変わらずか… ザックは小さな笑い、胸元で握手を交わした。
その後、話は写真撮影へと流れていった。
写真の構図を練り、川のほとりを練り歩く。
真横に佇む、巨木の梢にカメラを向けた時、ふと脳裏に一人の男が浮かび上がった。
「…そういえば、スイさんとは上手くいってますか?」
途端、ザックの声を遮る高い声が流れ込む。
「あ!忘れてた!ザック、スイと会ったんだってね!驚いたわ。」
スイは、以前ザックがモバンで出会ったデフォメ制作者である。そこでザックは二人の仲を知り、仲違い気味だった間柄をそれとなく取りもっていたのだっだ。
ハルカはその事をスイから聞き、再び寄りを戻したわけだが、ザックとの再会時、喜びが先行してしまい礼をするのを忘れてしまっていた。
ハルカはバツが悪そうに謝ると、改めてその時の礼をした。
「忘れていたのはお互い様」とザックは返し、スイは今どうしているかを聞いた。
「あの人は例のデフォメ制作。一度火が付くと滅多に会わないのよ。」
呆れた物言いでハルカは返すが、その表情はそれに反して嬉々としていた。
人を笑顔にさせるデフォメを作りたいというスイと、人の幸せを写したいというハルカ。道は違えど似た感性で動く二人はモバンで出会って早々意気投合した。
喧嘩も多かったが、それ以上にお互いの夢を語り合い、刺激しあい成長してきた。
「あたしは一度写真から離れたことがあったの。その時もスイは励ましてくれたわ。」
そのおかげで今の自分がある… 恥ずかしいのか、ハルカは急に後ろを向き、頬を掻いた。
「それから色々話し合ってね。あたし達、落ち着いたら子供を作ろうって事になったの。」
ハルカがカメラを手にした時、ザックは驚きでカメラを離した。
小作りの苦労はもはや語るまでもない。安全の確保は出来て居るのかという疑問が、素直に応援する心を遮った。
「もちろん危険なのは解ってる。でもあの人から持ち掛けた話なの。それがあたしには何より嬉しい事だから。それに…」
話を切り、ハルカはカメラのケースに手をやった。
黒皮のポケットから取り出されたものは、一枚の思念写真。それは、以前スパンセで写した子供が誕生する瞬間を収めた写真だった。
写真を見る度、あの日の事を思い出す… そう言いハルカは目を閉じた。
あの日見た光は、ハルカにとって未来を照らす輝きとなっているのだと、ザックは思う。
「一つの出会いは、もしかしたらその人の一生を変えることになるかもしれない。あたしにとってスイはまさにそうだし、ザックもそう。おかげでカメラがもっと好きになったしね。」
ハルカはカメラをザックに渡し、一枚の写真を見せた。
大河の源流で収めたというその写真は、苔むした岩の裂け目から流れる雫が小さな水溜まりに吸い込まれていく様を映していた。
その美しい小さな情景は、ザックの目を釘付けにした。
一粒の、雫が心に零れ落つ。
それが流れとなり、うねりを起こし、感動へと昇華する。
(――そうか。俺が写したかったものは…)
ザックはしばらく写真を見つめた後、ハルカに一言礼をした。
すかさず空へと舞い上がり、隆々(りゅうりゅう)と流れる大河の中洲へ移動する。
ザックが視線を向ける先、地面を削るように左右に流れるうねりがあった。
(――よし。)
一度大きく深呼吸。力強く握られたカメラは、ザックに負けんと強い光を放った――
―――――――――
――三日間の時間が流れ、コンテストの結果が発表される日となった。
結果はチャネリングにて伝えられることになっている。それが流れた時、ザックはチャットルームに居座り、呑気に惣菜のパワースコーンとお茶を口にしていた。
隣に座るハルカに促され、ようやく時間が来たことを知り、慌ててチャネリングを受信した。
二人の間に沈黙が走る。
数分経過した時、ザックはまぶたより先に口を開いた。
「おめでとう御座います。ハルカさん!」
目を見開いた先、驚きと照れを同居させ、困惑するハルカがそこにいた。
そう。コンテスト最優秀はハルカの写真である。
「一粒の出会い」と題されたそれは、三日前にザックに見せた源流の写真だった。
ザックの写真はおしくもニ番手。地面を削るように流れる大河の力強さを写した写真は、奇しくもハルカと同じテーマを表したものだった。
「出会いがもたらす力… でもあたしが最優秀って運が良かっただけかも。」
そう謙遜するハルカの言葉に、ザックは思う。
スイとアバターを決めた思いが、スイとの出会いを思い起こさせ、あの写真を生んだのだろう、と。
ザックは、写真を改めて賛辞した後、旅仲間の待つチャットルームに戻ると告げた。
立ち上がると同時、ハルカも腰を椅子から離す。
どうやら見送りをしたいらしい。
「でもせっかくの最優秀賞なのにザックしか誉めないんじゃ味気ないわね。スイは話にならないし。」
チャットルームへ向かう中、ハルカはひたすら愚痴をこぼしていた。
ザックはやんわり受け答え、なんとか歩を進めていく。
「スイじゃなくてザックと付き合った方が良かったかな?なんてね。」
チャットルームに着いた時、笑いながらハルカは言った。
苦笑し、ザックは別れを告げた。
色々あったが、この三日間は充実した時間だった。そう思いを巡らせながら扉を開けた、その時…
《ミ( ∵)ノ-☆》
テーブル三台分はあろうかという巨大なチャットリング文字が視界に広がった。
それと同時に聞こえるのは男の声。
「ハルカ!おめでとう!」
鳴り響くクラッカー、乱れ舞う拍手。
「ラーソさん!」
「スイ!?」
ザックは目を丸くしていたが、ハルカは目と口を大きく開き動転していた。
片やラーソとスイ、そして周りにいる男女は、皆落ち着き払い二人を見ていた。
ザックはラーソの元へ寄り、どういう事なのかを聞いた。
「三日くらい前にスイさんから依頼がありましたの。」
――コンテストで恋人の作品がどこまで上位になるかを知りたい。
スイはそうラーソに話しかけてきた。
もし恋人が最優秀者となりそうなら、とっておきの祝いをあげたい… その思いに打たれ、ラーソは詳しく話を聞く事にした。
その最中、スイはザックと知り合いだということを知り、二人はすっかり意気投合。ラーソは依頼を受ける意志を決めたのだった。
占術の結果、ラーソはハルカが限りなく上位になると結論付ける。そして、ハルカがその結果を知った直後、一番始めに入るチャットルームはどこかを未来予知した。そこを貸しきり、祝いの会場にしようというスイの提案を叶えるために。
ここが、その場所らしい。
ザックが納得したように頷いた時、ハルカもスイの目の前で、涙を溜め頷いていた。
「全く…こんな手の込んだ事しなくて良かったのに…」
周りに居る、スイのデフォメ制作仲間の声涙が二人を包み込む。
仕掛け人のラーソもまた、深い感慨に耽っていた。
「ザック、挨拶が遅れてすまないね。君がまたこうして僕らと関わってくるなんて驚きだよ。ここでまた会えたのも何かの縁だ。是非ゆっくりしていってくれ。」
スイは一礼し、ザックを歓迎すると、煽り立てる仲間を鎮め、ハルカを見やる。
「ハルカ…今日、君に改めて渡したいものがあるんだ。」
手の上に乗った小さな箱を開けると、そこからガーネットの赤い輝きが放たれた。
一般的なパワーストーンとは違う、片翼の形に彫刻されたガーネットは、愛の契りを結ぶ際に相手に送るものである。
「相変わらずロマンチストなんだから…でもありがとう。」
一つの出会いが実を結んだ結果だろう。
隠れて頬を拭うハルカは、今までで一番綺麗な姿としてザックの瞳に焼き付いた。
「…今は、リリ達より警戒しなければならない人が居るんです。」
目の前の幸せを見つめながら、ザックは突如隣に座るラーソに言った。
「俺を生み出した退化派の男…彼が最近急激に力を付けているんです。」
タルパは生み手の影響を受ける事が稀にある。
時として生み手が脆弱化している場合、タルパも力を欠如し、生み手が力を付ければ、タルパもまた力を増す。
生み出され、始めて世界に出た時、多大な力があるにも関わらず、無柳は能力を半分以下でしか扱えなかった。
それが今、ネメキネシスを扱える程に成長している。
「それこそ、彼が最近力を増している証です。きっと彼は近々俺からプロジェクションタグを奪いに来るはずです。そうなった時、ラーソさんが危険に…」
本当はもっと早く言うべきだったと、心の中で自身を非難した。
だが、言えなかった。言えばラーソは居なくなるのではという思いがあったからに他ならない。
じっとザックの独白を聞いていたラーソだったが、この時ばかりは僅かに目を細めた。
「まさかわたくしが逃げ出すなんて思ってません?ここまで来てそれはあんまりですわ。」
細めた瞳が優しく開く。
「わたくしにだって覚悟はあります。」
ザックは気まずそうに頬を掻いた。
自分が抱いていた悩みは愚考だったと、ラーソを見て深く思う。
と、そこにハルカの呼び声が入り込んだ。
「ザック、あたし達がアバターをする時、是非あなたに写真撮影を依頼するわ。」
ザックは快く頷き、場の空気の流れに加わった。
その横で微笑むラーソは、一粒の雫を頬へと零していた――
第三十九話「一滴大流」 完
三十九話登場人物集
※イラスト協力者「そぼぼん」
※登場人物一部割愛
クルト=ブル
レリク
ハルカ
スイ