「ネメキネシス」
かの者は、その力をこう呼んだ。
「世界を創造しうる力」だと。
また、ある者はこう言った。
我々が持つ思念波やタグなどは、この能力の一部分を発現しているに過ぎない、と。
人類が至るはずであったレインボーという種にのみ扱えるという力… つまるところそれは一体何なのか?
私は、資料を元に調べ上げた結果「脳裏で想像するあらゆる事を現実に起こす力」であると定義した。
とは言え、それだけでは理解しがたいと思うので、これから詳細に伝えていこうと思う。
だがその前に、「アニマクオーク」というものについての説明をしなければならない。
冒頭で述べたが、ネメキネシスとはレインボーが扱える力である。
秘密は、その魂にある。
我々の魂は、肉体という入れ物に依存するエネルギー体だが、レインボーの魂は肉体には依存しない。
そして魂は、「アカシックレコード」という場所に自由に繋がる事が出来る。
アカシックレコードとは、世界の過去未来現在に存在する物質、現象、概念、歴史などの全てが記憶されたデータバンク。
「世界」という概念の中にある全ての存在や事柄は、アカシックレコードに保管されている。
そこは多次元空間であり、物理的な存在は無く、情報だけがエネルギーとして漂っている。
レインボーの魂がアカシックレコード入ると、エネルギーとして漂う情報を魂の表面に纏わりつかせ、素粒子を作り出す事が出来る。
それこそが先ほど述べたアニマクオークであり「脳裏で想像するあらゆる事を引き起こす」ネメキネシスの力の源なのだ。
ネメキネシスとは、まずそのアニマクオークを対象に与える事から始まる。
では、その方法を次に解説するとしよう。
アニマクオークは、生体磁場の様に肉体から放つことは出来ない。
そこで使うのが我々に馴染み深い概念原回路である。
言うまでもないが、概念原回路は、思考、精神、魂を繋ぐ思念回路である。
そこにより我々はチャネリングやテレパシー等の意志疎通を可能にしている。
旧文明でいう電話回線をイメージすれば理解しやすい人もいるだろう。
我々が生体磁場を概念原回路に飛ばしテレパシー等を行うように、ネメキネシスもその原理で行うのだ。
テレパシー等との違いは、何に対しても概念原回路を結び付ける事が出来る点である。
人は勿論、物や空間さえも対象に出来る。
それを可能にするのは、アニマクオークである。
例えば、私が目の前の岩に対しネメキネシスを行いたいと思った場合、魂に付着したアニマクオークが、本来存在しない概念原回路を作り出し、岩に辿り着くのである。
また、対象を脳裏に思い浮かべるだけで概念原回路が結びつくため、たとえ対象がその場に居なくても可能である上、複数に対しても可能である。
「今、カニールガーデン内に居る者全員」という思念でも行えるというわけだ。
また、必要最低限の情報(特徴、名前等)さえ解れば、アニマクオークが正しい対象をアカシックレコードを元に導き出し概念原回路を繋ぐので見知らぬ者に対しても可能である。
つまり「自分にとって邪魔な存在」というアバウトな対象設定でも、アニマクオークがアカシックレコードを経由し、適切な対象に繋げるのである。
「将来、自分にとって邪魔になりうる存在」という指令の場合も同様に、アニマクオークがアカシックレコードにアクセスし、未来の情報を把握した上で対象を捉える。
ここまで、ネメキネシスの初動段階である、アニマクオークを概念原回路を通じ対象に行き届かせる方法を解説したが、次からはいよいよネメキネシスの本領と言うべき、「想像を現実にする」創造力の原理の解説に移るとしよう。
意識が素粒子化したアニマクオークは、いわば自我を持つ生きた素粒子である。
発現者のイメージ一つであらゆる原子、分子、元素、構物質、構成成分へと姿を変える特徴を持つ。
つまり、液体、気体、個体問わず変化を遂げる事が出来る。
そのアニマクオークを人体に対し一体化させた場合を想定しよう。
「今、私の前に一人男が居る。私は彼に向かって手をかざすと、彼の身体はたちまち石になり崩れ去った。」
プロセスは、まず、先ほど言ったように対象となる者に概念原回路を繋げる。
今の例は、対象が石になるというイメージであるため、アニマクオークが人体を構成する全ての要因(元素等)と一体化し、石を形成する全ての要因に変化を遂げる。
それは、思念したと同時に行われるため、タイムラグはほぼ皆無である。
もう一つ、より複雑な例を言おう。
私は今、コーヒーが飲みたくなったので、ネメキネシスを使い、それを作り出そうと思う。
そこでまず、机の上の空間に対し概念原回路を繋げ、アニマクオークを送り込む。
すると、アニマクオークは、私が念じた「コーヒーを作り出す」という事を実現すべく、活動を始める。
コーヒーの味の元になる成分、色素、温度に致までにアニマクオークは自発的に判断し変化するのである。
今の例では空間に対しネメキネシスを行っていたが、仮に人体に行った場合、アニマクオークが人体を構成するあらゆる要素を、先に述べた原理によりコーヒーへと変える。
だが、コーヒーと言っても、味や温度、水量等、様々である。
また、飲むためには液体を入れるコップも必要になるだろう。
無論、味を甘め、温度はぬるくといった風に意識しネメキネシスを行えば、アニマクオークはそれに応えるが、ただ単に「コーヒーを生み出す」という意識だけでは、おかしな話、アニマクオークが困るのでは…
その場合、アニマクオークは発現者が無意識に感じているイメージを優先、または今現在の表現者に最も最適な状態を導き出し、コーヒーを作り出す。
つまり、コーヒーを飲みたいと思っていても、それを念じず、ただ単にコーヒーを作ると念じただけでも、アニマクオークはそれを理解し、発現者に最適なコーヒーを作り、飲めるようにコップも作り出すのだ。
そしてもう一つ。
仮に「世界一おいしいコーヒーを作る」と念じネメキネシスを行えばどうなるだろう?
その場合、アニマクオークが持つアカシックレコードが有利に働く。
おさらいすれば、アカシックレコードは世界の過去、現在、未来のあらゆるデータが収められたデータバンク。
アニマクオークは、そのアカシックレコードから世界中の味覚、好みをまず引き出し統計。そこに発現者の好みを織り交ぜ、世界一の味を表現するのである。
おわかり頂けただろうか?
今の例の原理により、生命も生み出すことも可能である。
以前伝えたタルパという技術は、元々はネメキネシスの能力であると私は考えている。
また、そのアカシックレコードを活用すれば、対象の精神干渉も可能になる。
仮に私が目の前にいる男に対し、泣きわめけと念じネメキネシスを行った場合、アニマクオークはアカシックレコードから悲しみの情報を引き出し対象の精神へと流れ込む。
今の例を参照にすれば、感情、思想、意識を変える仕組みが理解出来ただろう。
では、今までのおさらいを兼ねた例題を一つ出し、ネメキネシスの解説を終えるとしよう。
例題は、自分を別の空間へ送る場合のネメキネシス。
まず、行きたい場所を思い浮かべ、概念原回路をその空間に繋ぐ。
繋がった時、アニマクオークは、発現者の身体と一体化し、生体磁場へと変化させ、エネルギー体にした後、概念原回路を通り、指定した空間に移動させる。
我々が使うジョウントタグと似た原理であるが、特筆すべきは過去や未来といった空間にもネメキネシスを行える点である。
次に、行きたい場所が「あの場所」という不透明な場所だったらどうだろう?
その場合、アニマクオークが発現者の無意識を理解し、正しい場所に導くのである。
では「世界で一番美しい場所に行きたい」とした場合はどうなるだろう。
これまで話を聞いてきた皆さんならば、すぐにおわかりになれただろう。
そう。アニマクオークがアカシックレコードから、世界中の場所の情報を引き出し、人々の意識と発現者の意識を統計し世界一の場所を選択するのである。
また、自分以外の空間移動も可能である。
移動させたい対象をまず意識し、概念原回路を繋いだ後、さらにそこから移動場所である空間に回路を繋ぎ、移動を完了する。
この原理で、対象と別の対象同士の位置を変えたり、複数の対象を同時に空間移動出来たりも可能である。
なお、ネメキネシスの主要エネルギーとなるアニマクオークは、一度思念を実現させれば再びアカシックレコードへと戻るが、一つだけ例外がある。
それは、物体を構築した時である。
精神干渉や物体移動等と違い、形を成したアニマクオークはアカシックレコードへと戻ることはない。
したがって、人を生み出すのであれば、三人が関の山であり、それ以上作り上げると、自身の魂を滅ぼしかねない。
また、「空間に対し、笑い転げろ」と言うような、流石に無理難題と言えるネメキネシスを行った場合、アニマクオークが暴走する危険性があるため、やはり自身の身を滅ぼす可能性がある。
以上でネメキネシスに関する、私がまとめ上げた資料の解説を終える。
無論、全てが荒唐無稽な話ではあるが、レインボーなら出来るかもしれないこの力、心のどこかで好奇心として留めてくれたら私としては嬉しい事である。
チャネリング「未来を担う世代へ繋ぐ英知達~ネメキネシス編~」より
チャネリング放送者代表「クレロワ=カニール」