夜の花
――青く輝く海を見つめ、少年は一人、崖の上に立っていた。
波飛沫が潮風に運ばれ、足元に添えられた花束を小さく濡らす。
それを数えながら、少年は口を開けた。
「…その話、本当なの?」
声は、海原ではなく、後ろに佇んだ少女に向けられていた。
「…本当よ。だから、いつまでもこんな所に居ちゃ駄目。これからする事が沢山あるんだから。」
短い髪を僅かに靡かせ少女は言った。
やがて、ゆっくりと少年に歩み寄り、その後ろ姿を膝を屈め抱き締めた。
少女の髪が頬にふれ、少年に高揚をもたらす。
「でも…僕に出来るかな?〝あせんしょん〟」
「出来るよ。わたし達の力で理想を作る。それは、わたし達にしか出来ない事なんだから。」
困惑し、意気消沈する少年を、少女は叱咤激励した。
――自分達の理想の姿で、理想となる世界を作れるアセンション…
その夢のような話を聞き、少年の瞳は輝いた。
「じゃあ僕は、父さんみたいにカッコ良い服来てあせんしょんをするよ!」
少女は、喜々として話す少年の手を取ると、宙を舞い、風の如く駆け出した。
手を引かれ、少年は長らく佇んでいた崖を離れ新たな一歩を踏み出した。
「…さようなら。」
少年は心の中で崖に対し別れを告げた。
潮風とは違う暖かい風が、二人の体に優しく吹いた。
誰もいなくなった崖は、飛沫が降り注ぐ事もなくなり、ただ花束だけが残された――
―――――――――
――リリは、ゆっくりと目を覚ました。
シオンの事を咎められて以来、毎日見る同じ夢。
アセンションと共に置いてきた遠い過去が、リリの心を動揺させていた。
――シオンはわたしが導いた大切なワンダラー。
そう言い聞かせてはみるが、占術師の勘故か胸騒ぎはおさまらない。
リリは意を決し、クルトに言われた通り、感応飴を使いミレマを伺った。
(――そんな。)
結果が信じられず、何度も調べてみるものの、得られたものは冷たい汗と徒労のみ。
しばらく呆然とした後、リリはテレパシーを行った。
「クルト…この前言ってたシオンの事なんだけど――」
――新雪舞い散るミレマの夜空に、鋭く吹雪く風二つ。
思念波を放つシオン。
素早い身のこなしで、それを避け、攻めいるザック。
その争いは、冷たい空気を切り裂いていた。
ザックは、得意な接近戦へ持ち込もうとするが、シオンはそれを察してか、思念波を放ちながら適度に距離を保ち遠ざかる。
光の少ない夜の状況下では生体磁場の生成も限られるため、無駄に思念波を放つ事は、自身の不利を招くことになる。
それを理解しているザックは、遮二無二に思念波を用いるシオンに疑問を感じたが、同時に好機と思い、策を練った。
――言葉を紡ぎ、シオンの心を巻き取る。
両手で思念波を防ぎながら、そう考察し、早速策を開始した。
「…一つだけ解らない事があります。村中を陰気にするというやり方は、ネガティブオーラを蔓延させることになる。それはあなた達にもマイナスなはず。」
聞いて、シオンは「心配ご無用」と切り返す。
「ディセンションは世界規模に広がらない限りは問題ない。多少のリスクに怯えるより、村を使いインディゴを確保する事の方がよほど効率的だ。」
その時、シオンの攻撃の手が微かに緩んだ。
当然、その隙をザックは見逃さない。
テレポートを使い、短兵急に回り込むと、首筋目掛け手刀を仕掛ける。
…がその刹那、背後に強い衝撃を受け、ザックは地に吸い寄せられた。
新雪が深雪する森の中に落ち、ザックは苦痛に顔を歪ませた。
「貴様の力では私を捉えられまい。」
後を追って来たシオンが嘲笑し言った。
その左手にある小さな紫色の板「パープルプレート」を見、ザックはようやくシオンの異常な力の正体に気が付いた。
「良いことを教えとやろう。既に我々はアセンションに必要な要素を概ね終えている。貴様が邪魔をしていたワンダラーアンチもな。」
今度はシオンが言葉を紡ぎ、動揺を誘う。
「残る障壁は、クラインの壺を繋ぐ"プロジェクションタグ"を手にすることだけだ。」
話を聞き終えた時、ザックは身体に異変を感じ、地に膝をつけた。
光輝き、次第に消える両手を見、ザックはタグの仕業だと察した。
「ループタグ。貴様も効果は知っているだろう。残念だがこれまでだ。」
必死に抗うが、もはや後の祭り。タグは発動し、ザックの身体は光となって消え失せた――
――花火の打ち上がりを数十分後に控えたミレマの中心地。
インターナルの演奏会場でもあるこの場所は、積もった雪を溶かすほどの熱狂をみせていた。
皆、夜の寒さや陰気を忘れ、白熱しあい響き合う。
台風の目であるインターナルは、ステージの上で遮二無二に演奏を行っていた。
本番前に尻込みしていたラーソですら、歓声と熱気に煽られ、意気揚々弾き語る。
夜光祭は元々、「脅威である夜という現象に負けず、邁進しよう」という思いから始まった行事。
降る雪を紙吹雪と思えるほどに高揚とした今の状況は、その願いに相応しいと言えた。
歓声を送られ、ムゲは更なる熱狂を作るべく意気込んだ。
が、その時…
「…どういうことだ?」
ムゲ達が見たものは、片手を上げたまま微動だにしない観衆の姿。
(――ラグ。)
ラーソは直感し、同時にその原因となった者の気配を探ろうとギターを置いた。
「貴様達以外の場所に強力なラグを起こした。部外者を巻き込まない…私からのせめてもの気遣いだ。」
目を閉じ気配を探っていた時、棘を纏った鋭い声が、ラーソの耳へと伝わった。
慌てて目を開くと、震えるスズナとムゲの姿が。
出会った直後の陰気な雰囲気を感じさせる二人に、ラーソは声を失った。
後ろに迫るシオンの事さえ気づかずに、ただ動揺し立ち尽くす。
「ラーソか。まさか我々の誘いを断った貴様がザックと行動していたとはな。」
言われ、ようやくシオンの存在と、二人が震える理由を知った。
シオンはザックが足止めを行っていたはず…
にもかかわらず、シオンは今ここに居る…
ラーソは、湧き出る不吉な考えを必死に抑えギターを握った。
「ザックはもう二度と現れることはない。私が排除したからな。」
その話に、これまでやっとの思いで立っていたムゲとスズナは、糸が切れたように地についた。
戦慄した空気の中、シオンは立ち尽くすラーソを通り過ぎ、無慈悲にムゲ達に迫る。
「…なぜ、あなたはこんな事を?」
後ろから聞こえた呼び掛けに、シオンは歩を止め振り向いた。
――アセンションに必要なインディゴを確保するため。
そう返答されるが、ラーソはさらに問いただす。
「じゃあ、どうしてアセンションなんかを?」
その途端、 シオンの表情から笑みが消えた。
「それは…我々にしか出来ない事だからだ。」
――元々、全てのワンダラーはアセンションに向けて行動してきた存在。
あらゆる業や、あらゆる煩悩、エゴを淘汰し、理想となる世界に人類を導く… それこそがワンダラーの役目なのだとシオンは言った。
だが、例えワンダラーでも、今の世界を生きる人々の生活をねじ曲げることは許されない。ラーソはそう獅子吼した。
「人の業により滅びた魂だけが、人の業を浄化出来る。ワンダラーでありながら、それすらも忘れたのか?」
呆れながら、シオンはペーストタグを作り、身体から一冊の本を取り出した。
後ろで震えるムゲ達には目もくれず。
「この真死録には、人の業により最期を遂げた我々ワンダラーの事が記されている。ラーソ、お前の事も書かれているはずだ。」
ラーソは、初めて耳にするワンダラーの事実に動揺し、これまで必死に抱えていたギターをついに地へと零した。
――自分もワンダラーであるにも関わらず、なにも知らずに今日まで生きてきた。
その事が心に重くのしかかる。
ザックを失った悲しみも加わり、ラーソの心は深い重力場に落下した。
「ワンダラーは本来皆仲間だ。アセンションを妨害するような真似さえしなければ危害は加えない。」
差し伸べられたシオンの手からは、不思議と威圧感は感じなかった。
むしろ、重力場の中、落ちていく体を掴んでくれるような安堵感さえ感じさせた。
シオンの腕が光に見え始めたその時… ラーソの耳に、静かな旋律が入り込んだ。
振り返ると、ギターとピアノを奏でるムゲ達が。そして始まる激しい演奏。
それは、二人が示した反抗という名の旋律だった。
「なんの話か知らないが、シオン…お前が信用ならない奴には変わりはない!」
その叫号は、ラーソに喝を、シオンに怒をもたらした。
先ほどまで怯えていた小心者。一度も反抗を示さなかった脆弱な存在… そう見下していた相手に罵倒され、シオンは怒りに任せ突撃した。
だが、それは一つの衝撃を持って停止した。
強力な思念波…受けたシオンは、舞台裏に転がり込み悶えた。
「ムゲさん、見事な一喝でしたよ。」
突如現れたその存在に、その場の全員は言葉を失った。
「ザック!」
四人の声が重なり響く。
「貴様、一旦どうやってループタグから!?」
よろめきながら叫ぶシオンに、ザックは再び思念波を放ち、遥か彼方へ吹き飛ばした。
そして、徐にスズナに歩み寄ると、胸に添えたブリザードフラワーを手にし一言。
「これは、あなた達が持っていたほうがお似合いです。」
瞬間、シオンが起こしていたラグが収まり、停止していた会場の時間が動き出した。
壇上のいざこざを知らぬ観衆は、先ほどまでの熱狂をそのままに騒ぎ出す。
「話は後です。三人とも、いいステージを期待しています。」
言うとザックは、突如目の前から姿を消した。
舞台は平穏を取り戻す。
訳は分からないが、ザックの無事にひとまず安堵する三人。
考える暇を与えぬ歓声は、ラーソ達に演奏の再開を促していた――
―――――――――
――シオン先刻の森まで吹き飛ばされていた。
苦渋を浮かべ、立ち上がるシオンの瞳に、悠々と歩くザックが映る。
「ループタグを受けてしまっては、流石になりふり構ってる訳には行きませんでしたからね。特別な手を使わせて頂きました。」
言いながら歩み寄るザックに、シオンはこれまで感じた事のない恐怖を覚えていた。
咄嗟に落ちていた木の幹や枝を操り、ザックにぶつけに掛かるが、闊歩は止められず、萎縮。
目の前に迫ったザックに対し、慌てて拳を振るうが、それも全てのれんの腕押し。
柳の如く受け流す機敏な動きに、手も足も出ず、何度も地に叩き伏せられた。
素早く風を切る拳と蹴脚を受け、屈辱に震えながらも、シオンはある感覚を呼び起こしていた。
(――この絶望感、どこかで…)
そして、強烈な一撃を顔に受けた時、はっきりと思い出す。
(――そうか、あの時、無柳の奴の…)
泥が混じった雪を口にし、シオンは高々と笑い始めた。
――怒りで呆けたか。
ザックはそう感じ、宥めるように言った。
「命までは奪いません。しばらくリスボーンしてくれるだけで十分ですからね。」
だが、シオンの笑いは止まらない。
ザックは呆気に取られ、一瞬立ち止まる。が、それは悪手だった。
シオンの右手がジョウントタグを作り、その身体を光に変え、遠くの地へといざなった。
取り逃がした… ザックは眉間にしわを寄せ、シオンの体型が残された泥土を眺める。
怪しく輝くパープルプレートがそこにあった。
(――これでもう、のんびり構えてられないな…)
――命からがら、カニールガーデンへと戻ったシオンは、傷を癒すことなくリリの部屋へと向かった。
――ミレマはもう利用できないだろう。
その事実を受け止め、敗北の苦杯を心に流し込む。
だが、シオンの口元は綻んでいた。
先の戦いで手にした朗報が、苦杯を甘美なものに変えていた。
勇んでリリの部屋に入り、早速朗報を話そうとした矢先…
「シオン…今近くに蛮人さんが居るみたいなの。行ってくれないかな?」
強張ったリリの表情に、シオンは一瞬動揺するが、すぐに大見得を切った。
「任せろ。それよりリリ、朗報があるんだ!ザックの奴…」
「…シオン…お願いだから今すぐ言って。」
叫んだ声は、 リリの一声にかき消えた。
その悲壮漂う横顔に、有無を言わさぬ迫力を感じ、シオンは早速指定された場所へと向かった――
―――――――――
――着いた先は古ぼけたビルの中だった。
部屋の配置に壁の色。シオンは、それらを全て知っていた。
(――私の利用していたビルに逃げ込むとはな。)
やがて、シオンは標的となる男の元に行き着いた。
薄汚れた地面に額を付け、必死に見逃してくれと懇願する男に、シオンの腑は煮えくり始める。
床に置いた頭に足を乗せ、罵倒しながら蹴り飛ばす。
そして、追い打ちとばかりに、ペーストタグを書き、一冊の本を取り出し叫んだ。
「なにで痛めつけられたい?鋸か、金槌か、それともナイフか!」
言いながら、屈み込んだ男の腹部を何度も蹴り上げた。
が、その最中、シオンは突如向こうの壁まで吹き飛んだ。
強力な衝撃に、声を出す事さえ出来ず、悶え込む。
「…貴様、その力はなんだ…」
嗄れた声を受け、暴行を受けていた男は、俯き加減に言葉を返す。
「残念だよ。…シオンさん。」
放たれた少年の声に、シオンは目を丸くした。
「ヤーニ…か。」
そしてシオンは気が付いた。
周りが草原に変わっている事と、ヤーニの後ろに佇む三人の見慣れた姿に。
「リリ、これで解っただろう。」
口を開いたクルトの右側には音吏、左には萎縮したリリの姿があった。
シオンは目を見開き、動揺した。だが、状況はすぐに把握出来た。
ヤーニのキャプチャーを使い自分の行動を仲間の目に晒す… それは、クルトの策略だとも理解出来た。
「シオン。わたしは森ばかりを見て木を見ていなかったみたいね。」
ディセンションの影響か、はたまた生まれ持っての気質なのか… シオンからは、蛮人と蔑むものと同じ、強いネガティブオーラが放たれていた。
それは、ディセンション抑止の対象者という事を意味していた。
「誰よりも真っ直ぐで、誰よりも役目に熱心で、ちょっぴり頑固で…そういう所は昔から変わってないんだから。…シオン、ご…」
――ごめんね。
その一言が言えず、シオンに向かい構えた右手を力なく下ろし、両膝を地に付けた。
放とうとした思念波の変わりに、溢れた感情を目から零し、泣き崩れる。
その涙は、罪悪感と背徳心となってシオンの心を波打った。
ヤーニは、リリの変わりにシオンを裁こうと、意を決し歩き出す。
だが、クルトはそれを制止した。
「…俺に任せてくれないか?」
ヤーニは頷くと、音吏と共に泣き崩れるリリを連れ、思念の世界を後にした。
残されたシオンは、青空を眺めながら呟いた。
「…最後に貴様との優劣を決めるのも悪くはないか。」
そして、動くことを拒否する足を無理に進ませ、クルトへと突き進む。
眼力から思念波を放ち、クルトが受けの体勢へ入ったのを確認すると、大きく舞い上がり、再び二発の思念波を放った。
一度目を両手で受け、余裕をそがれていたクルトは、上空から迫る思念波を避けきれず、焦眉の急。
辺りは土煙に包まれた。
と、その時、巻き上がった砂の粒子が一カ所に集まり、一つの巨大な岩となって現れた。
(――面白い。)
向かってくる生体磁場を纏った巨岩を、シオンはラインタグを鞭のように振るい砕く。
「甘い!」
砕かれた岩の中から、クルトが乾坤一擲とばかりに現れた。
虚を突かれ、たじろぐシオン。その胸元に、クルトが手にした突剣が突き刺さる。
それは戦いの終わりをもたらした。
「視界を塞ぎ、一気に攻め込む…貴様の常套手段だったな。」
シオンは素直に負けを認め、地に伏した。
憎悪の対象であったその惨状を見、クルトは思う。
勝利の喜びではなく、ただひたすらな虚無感を。
それは、自身でも意外な事だった。
「解っていた。自分自身が、蛮人と蔑む者達と等しくなっていく事を…だが、止められなかった。」
シオンは言うと、力を振り絞りタグを書く。
それは、対象者の魂を無間に続く強い重力場へといざなうループタグだった。
「自分の業は自分で浄化する。それがリリを泣かせた私の償いだ。」
クルトはなにも言わず、シオンの最期をその目に焼き付けると、思念の世界を抜け出した。
無間に続く重力場に身を投じたシオン。
その表情は、恐怖ではなく笑っていた。
体に感じる風を心地よく感じたのはいつぶりか… そう思考した時、在りし日の記憶が脳裏に浮かんだ。
リリに手を引かれ、新たな一歩を踏み出した日…
(――そうか。あの時ぶりか。)
やがて、シオンはゆっくり目を閉じた――
――――――――
――一方、ここミレマの中心地は、なにやらブーイングに包まれていた。
呪われた歌と呼ばれる曲をイベントの最後に演奏したい… そのムゲの一言が、白熱していた観客を青ざめさせていたのだった。
歌を憎んで歌い手を憎まず。その暗黙の了解すらも破られようとした時…
「みんなが言いたいことは解る。だけど、今ならこの歌に打ち勝てそうな気がするんだ。」
その説得により、場はなんとか収まった。
ラーソとスズナは楽器を手に身構える。
始まった序奏は、意外にも優しく流れ、辺りの闇を包んだ。
それは、人々の心と、村中に広がった叢雲を晴らすように響いていった――
――――――――
――花火が打ち上がる直前。
「奮奏」を終えたばかりのムゲ達も、一観客となりその時を待っていた。
ムゲの隣にはスズナが、そして、ラーソの隣にはザックの姿が。
「ザックさん…わたくし、ワンダラーについて色々聞きましたわ。」
少しためらいがちにラーソは話した。
今はなにもかも忘れて楽しもう…そうザックが言った時、空が急に輝きだした。
――満開に咲いた夜の花。
すかさずザックはカメラを構えた。
無邪気に写真を撮るその背後に、ムゲとスズナがやって来る。
「ザック、ラーソ。あんた達が来てくれたおかげで俺たちは、いや、この村は救われた。」
昨日とは違い、自信に満ちて伸びたムゲ達の右手を、ザックとラーソは力強く握りしめた。
夜空に上がる枝垂れ花火が村を照らす。
そして、なにやらラーソの前にも小さな花火が咲いていた。
それは、チャットリングで描かれた擬似花火。
スズナが真っ先にお面白そうだと飛び付き、ラーソの真似を始めた。
やがて四人は、それぞれ別の色を使い一つの大きな花火を作り出した。
作りあげた擬似花火は、夜空の花に負けないくらいに美しかった――
第二十三話「夜の花」 完
二十三話登場人物集
※イラスト協力者「そぼぼん」
※登場人物一部割愛
少年
少女
シオン=ダオリス
リリ=アンタレス
クルト=ブル