縁の下
――『今荒らしを浄化した。後はお前さんが奴を見つければ終わりだ。』
マティスのテレパシーを受け、ザックは小さく息を吐き、拳を握った。
耳に入るは列車の音色。
それが止み、列車の中から黒山がどっと押し寄せる。
ザックは目を凝らし、それを眺めた。そして、その中を歩く一人の男を見た時、急ぎ足で駆け出した。
「見つけましたよ。観念して下さい。ハーモンドさん。」
ザックの声は、列車が走り出す音にかき消され、ハーモンドの耳には届かなかった。
だが、その姿だけでも、ハーモンドに十分な動揺をもたらした。
人が居なくなったホームに、邂逅し合う二人。
ハーモンドは「煽り屋」である。
煽り屋とは、荒らしを煽り、その強力な力を自分の利益になるよう働きかける者である。
ハーモンドの場合、列車が来た時荒らしにラグを起こさせ、運行が滞っている間に乗客の金品や資金を奪うという方法を行っていた。
この間ザックが乗っていた列車も、そんな蛮行により事故を起こしていた。
そのため、これ以上被害が及ばぬよう、ザックは今回山を張り、昨日まで滞在していた街「アソノモイカ」からここ「ジランド」に移動し、ハーモンドの待ち伏せを行った。
乗客の金品が目当てなら、客入りが多い時を狙うはず。そこを踏まえ、以前ハーモンド本人から聞いた、荒らしが定期的に現れるという線路の中から足取りを特定。一週間のうち一番客入りが多い時をラーソに予知してもらい、見事、足取りを掴む事が出来たという訳だった。
ザックがそれを話し終えると、ハーモンドは観念したのか、両手を上げ屈服を示した。
「見事な読みだ。だがあと少しで俺も報われる…だから今終わるわけには!」
突如、ハーモンドは身を屈め、ザックの視界から消え失せた。
全身全霊、右拳を突き出し、一つ二つと風を切る。
ザックはそれを左手で受け止めた。そして、身を低くすると、開いたハーモンドの股を右腕ですくい上げ、そのまま勢い良く地へ放り投げた。
地に伝わる自身の振動に、ハーモンドは身体の動かし方を忘れ、うずくまる。
捕まった場合、チャネリングによりその蛮行を広められ、一生罵られることになるだろう。
ハーモンド自身、それを覚悟の上で行っていた煽り屋であるが、いざその時が来ると、体の震えが止まらなかった。
と、その時――
「お父さんをいじめないで!」
突然、少女が両手を広げ、二人の間に入り込んだ。
少女の姿に、ザックは思わず臨戦態勢をやめる程の動揺をみせた。
なぜなら、その少女は以前列車で知り合ったオセロ好きの「紗流」であるからだ。
突然の再会に戸惑うが、なにより「お父さん」という言葉に驚きを隠せなかった。
そして、そんな娘を前にし、驚きもしないハーモンドが解せなかった。
「確かザックさん…だったわね。父さんをこれ以上いじめるならあたしが。」
ザックは両手を上げ、危害を加えるつもりはないと紗流に伝えた。
そして一旦落ち着いた所で、ハーモンドを振り向き問いただす。
「一体どういうことですか?」
途端、「こっちの台詞だ」という叫びが返る。
ハーモンドによると、突然ザックが独り言を始め出したのだという。
(――紗流が見えていない?)
ザックはそう直感し、紗流の事、そして紗流が「お父さん」と言った事を伝えた。
「あんた、娘が…沙琉のことが見えるのかい?」
聞いてハーモンドは、ザックの胸ぐらをつかみ叫んだ。
気付けば紗流は居なくなり、その場には興奮したハーモンドの声だけが響いていた。
「とにかくあんたは沙琉の事が解るんだ。…是非家に来てくれないか?ここからだとそう遠くないんだ――」
―――――――――
――ハーモンドが利用していた荒らしを浄化し、マティス達は一足先にチャットルームへと着いていた。
そこでザックの帰りを待っていた時、思わぬ連絡がラーソの元へと届いた。
『…解りましたわ。お気を付けて。』
それは、煽り屋ハーモンドの頼みを聞くため合流が遅れるというザックからの知らせだった。
それを聞いたマティスは、ザックの人の良さに少々呆れている様だった。
「ミイラ取りがミイラになるってやつですわね。」
ラーソは対照的に、最近覚えたことわざを嬉々として披露する余裕を見せた。
その余裕はザックを信頼しているからこそのもの。マティスはそれを知っていた。
「そういえば、ザックはどんな奴なんだ?」
出会った時から、なぜか昔からの知った仲のように思える存在だけに、今回の件でマティスの好奇心が増していた。
それに対しラーソは悩む事無く答える。
お人好しで突拍子のない所があって、柳のような人…と。
「…なるほどな。」
的確なその答えに、マティスは小さな笑みを覗かせた。
注文したブルーローズティーを口にしながら、二人はしばらく話しに老け込んだ――
――時を同じく、クルトもヴァースのチャットルームにて、ブルーローズティーを口にしていた。
その表情は、憩いの場にはそぐわない暗く沈んだものだった。
そして、その中に隠された瞳には、以前ザックに見せたような、後には引けない覚悟が宿っていた。
突然届いたリリの連絡…それが、クルトを再び混沌とさせる元凶だった。
それは、今から小一時間前の事――
―――――――――
――『皆さん、大変です!これを見て下さい。』
緊迫したリリのチャネリングが、クルトの頭に鳴り響く。
突然の連絡に、口に含んだブルーローズティーを思わず吹き出しそうになる。だが、チャネリングで見せた映像を覗いた時、リリが緊迫する意味を理解し言葉を失った。
見開いた先には、複数枚の思念写真の映像があった。
ただの思念写真として見るならば、それらは雅やかな美しいものと感じただろう。
だがリリが示した写真達は、一目見て異常だと理解出来る代物だった。
全ての写真の縁側が、球体状の光に覆わており、雅やかな風景を不気味なものに変えていたのである。
『じじ(音吏)の調べでは千枚中十枚ほどこのような写真になったそうです。これは、ディセンションが進んでいる証拠です。』
言い終えるや否や、リリは各自にディセンション抑止に回るよう指名した。
ディセンションにより、魂が揺らいでいる者を世界中から探し当てる…さすがのリリもこれには疲労を覚えたらしく、やり終えるとグッスリと寝息を立て眠ってしまった。
ヤーニを除く仲間達は、早速リリが指定した対象を排除すべく行動を開始した。
だが、クルトだけはジランドに居る煽り屋の排除を命じられても、なかなか動こうとしなかった。
――せっかく得た信頼を保つためには、今指令に背くわけには行かない。
解ってはいるが、それに反して身体は動かない。
――冷徹さが欲しい。
一瞬そう考えた時、脳裏に普段嫌悪するシオンの姿が浮かび上がった。
(――俺は…あいつとは違う。)
何度も自分に言い聞かせる。
そして、連絡を受けてから一時間が経過した今、クルトはようやく重い腰を上げた。
タグ帳に掛かれたジョウントタグを宙になぞり、その身を目的地へといざなう。
飲みかけのブルーローズティーが、ジランドへと移動するクルトの姿を、冷たくなって見送った――
――ハーモンドの自宅に着いたザックは、単刀直入に事態を聞いていた。
その口から語られる事実に耳を澄まし、話す表情をじっと凝視する。
「紗流は、俺達のせいでインビジブルとして産まれた娘でしてな。」
インビジブル…それは、五感が発達した人類でさえ認識出来ない状態の事を差すコラ化の事である。
見ることはおろか、コラ化した者の全ての行動や干渉は、第三者には感知出来なくなってしまう。
だが、荒らしやワンダラーといった、常人以上の感覚を有する者は、その存在を知り得ることが出来る。
ザックとラーソは、それで紗流を知り得たのだが、ハーモンドにはそれが理解出来なかった。
しかし、それはハーモンドにとってどうでも良い事であった。
自分達(親)の失敗のせいで、紗流はコラ化した… その事で毎日苦しんでいたハーモンドにとって、紗流を知ってくれる者が居るという事実だけで救われた様な気がしていた。
しかし、コラ化は治せないという訳ではない。
治す見込みは限りなく低いが、両親が居れば話は別である。
子供のイメージを設定した両親が共に健在なら、「リロード」という行為を行い、コラ化を治す事が出来るのだ。
その分多額の費用が掛かる事になるのだが…
「それで煽り屋をしようと考えた訳ですか。」
今まで神妙な面持ちで聞いていたザックは、重い口を開き言った。
事情は把握したが、だからと言って、煽り屋は許される事ではない。
ハーモンドは、それは承知とばかりに言葉を返した。
「娘を治す為なら何でもする。しかも身近に居たと解ったんだ。なおさら辞めるわけにはいかんですな。」
その声は、決して酔狂から出るものではなく、力強い意思が確かに乗せられていた。
生半可な説得では効果はない… ザックは考えた末、少し酷な方法で説き伏せる事にした。
「あなたがこの前列車を乗った時…見たんですよ。あなたを近くで見つめる紗流の姿を。」
その途端、ハーモンドは足を震わせ、明らかな動揺をみせた。
今の話が本当なら、紗流は今までの愚行を見ていたことになる。これは、ハーモンドにとってなにより辛い事実であった。
必死に嘘だと言っては見るが、その足は、今にも崩れそうなほど震え出す。
「自分は近くで写真を撮りに行きます。帰ってきた時、もう一度決意を聞かせて下さい。」
そう言い、ザックは部屋を後にした――
――時計の分針が先ほどの真逆を指した頃、ザックは再びハーモンドの元を訪れた。
数十分ぶりに見るその顔は、見違えるほど落ち着いていた。
「信じてくれんかもしれんが…俺は足を洗うことにしたよ。娘の前でこれ以上格好悪いことは出来ないからな。」
ザックは、それを予想していたかの様な笑みをみせた。
そして、写したばかりの写真を懐から取り出し、ハーモンドに差し出した。
そこには、積もった雪を必死に支える松の枝が写されていた。
雪の重さに負けまいと、勇んで伸びるその枝は、健気さと懸命さを感じさせた。
「今の、そしてこれからのあなたにぴったりな一枚だと思います。受け取って下さい。」
そう言い写真を渡した後、今度は小袋を手渡した。
その中身を見、ハーモンドは目を見開き絶句した。
ぎっしりと入れられた硬貨。そこから感じられる重さは、いかに高価なものなのかを示していた。
慌てて返そうとするハーモンドに、ザックは「選別」だと言い送り返した。
(――これだけあれば、コラ化を治すために必要な費用をまかなえる。)
ハーモンドは悩んだ末、小袋とその好意を受け取った。
「リロードが終わったら、気持ちを切り替えて全うに家族を養って下さい。」
そう言い残すと、ザックはこれ以上の感謝を避けるように、足場に部屋を後にした。
一人残ったハーモンドは、妻にテレパシーを送った。
今からリロードの準備を始める…そう話す表情は、期待と不安が二重に浮き出ていた――
―――――――――
――家の外は白銀の世界が広がっていた。
まだ溶けずに残る雪達は、この街が夜明け直後であることを物語る。
ザックは、家の戸を閉め深呼吸をすると、白く輝く世界を見つめながら言葉を発した。
「お父さんは改心したそうだよ。」
その声に反応し、家の陰から紗流がヒョイと現れた。
「ありがとう。もし父さんに何かしようとしたらあたしが…て思ってたけど、あなたって意外に優しいのね。」
紗流はそう言いはにかんだ。
もしハーモンドが改心しない様なら、力づくでも… ザックは内心そう考えていただけに、今回の流れは満足のいくものとなった。
「そうだ。お父さんは今からリロードを始めるらしいよ。行ってあげたらどうかな?」
紗流は大きく頷くと、勢い勇んで家の壁をすり抜け入っていった――
――妻を連れ、ハーモンドは最寄りのチャットルームへと歩を進めていた。
その後ろには、心配そうに付いて回る紗流がいた。
すでにリロードを行う者が待機して居るらしく、準備するものは心の整理だけだった。
道中、緊張に身体を震わせるハーモンドの腕を、妻はそっと握り温めた。
その腕に重ねるように小さな手があることを、二人は知る事は出来なかった。
チャットルームに着き、いよいよリロードが行われる。
リンクタグで場所を変え、波の音が心地良い海岸へと身を置いた。
そこには不釣り合いなベッドが二つ置かれていた。
「では…よろしく。」
力を込め言ったつもりが、波の音に流され消える。
「きっとうまく行きますよ。」
妻はそれを掬うように、大きな声でそう言った。
リロードは、アバター行為より苦しい行為とされている。
二人はその行為の最中、その意味を身を持って理解した。
叫び声が波音より大きく響き、それは二人を見守る紗流の心を凍らせた。
――生体磁場が弱まっている。
助産師の呟きに、紗流はたまらずその場を抜けた。
チャットルームに戻り、震える身を落ち着かせる。
見ていられない… だが、ただ逃げただけでは申し分けない…
紗流は決意し走り出した。
まずは自分の姿が見える人を探す。それから、その人に力を分けてもらおう… それが紗流が考えた唯一協力出来る事だった。
人が多い場所がいい。考えた末、行き着く場所はやはりチャットルーム。
そこは、先ほどまで居た店より人の入りが多い場所だった。
扉をすり抜け入った矢先、思わぬ声が紗流に届いた。
「いきなり入って来ちゃ危ないぞ、お嬢ちゃん。」
それは、先ほどジョウントタグでこの街に着いたクルトだった。
突然の出来事に、紗流は口を開け立ち尽くす。
「…あたしが見える?あたしの声が聞こえるの?」
恐る恐る言う紗流に、クルトは「当たり前だ」と笑い飛ばした。
願ってもない好機だった。
早速事情を話し、クルトに助けを求める。
始めは困惑していたクルトだったが、何か思い付いたのか、ポケットをまさぐると、赤く輝く神秘の石「レッドオニキス」を取り出した。
「これには俺のオーラを込めてある。これを持てばたとえインビジブルでも力は伝わるはずだ。」
紗流は、頬を伝う暖かいものを感じながら、何度も感謝し頭を下げた。
クルトは「頑張れ」と紗流を激励し、静かに店を後にした。
紗流は涙を拭き、オニキスを力強く握り締めた。
その途端、凄まじいエネルギーが小さな身体を支配した。
(――これなら…父さん達を。)
そう感じた矢先、視界が急に狭まり、やがて暗闇が押し寄せた――
―――――――――
――「リロードは成功です。危ない所で突然お二人からオーラが溢れて来ましてね。それで峠を越えられました。」
数時間にも及ぶリロード行為は、最良の形で終わりを迎えていた。
ハーモンド達は、疲れをみせず、嬉々として助産師にこう告げた。
「もうだめかと思った時、聞こえましてな。娘の声が。」
きっとどこかで自分達の力を与えていた… 二人はそう直感していた。
チャットルームへと戻り、二人は今日という日に乾杯を告げた。
後は、紗流が来るのを待つだけ。
だが当の紗流は一向に現れない。
――もしかしたら家で待っているかもしれない。
そう思い、妻は家に戻ると告げた。
ハーモンドは引き続きここに残り、紗流が来るのを待つという。
――無事に紗流と会えたら、再び祝いをしよう。
二人は約束を交わすと、各々の場所でその時を待った。
ハーモンドは、再会した時の想像を膨らませ、時間を刻む。
その間に想像する紗流の容姿は、高揚感は高まらせた。
と、その時…
「あなたがハーモンドさんですね。少し話があるんだが、いいかな?」
高揚する思いに水を差す男の声。
少し苛立ちながらも、ハーモンドは話を聞くことにした。
男はクルトと名乗り、ここでは話し辛いのでリンクタグを使いたいという。
普段なら突飛な話には耳を傾けないハーモンドだが、高揚した思いからか、それをすんなり承知した――
―――――――――
――場所は草原。
緑をひとしきり堪能した後、ハーモンドは要件を聞いた。
だが、そこから返った言葉は、ハーモンドの心を高揚から戦慄へと変えさせた。
「あなたは煽り屋という高尚な人類にあるまじき愚行を犯した。よって、消えなければならない…らしい。」
初めは冗談かと笑ってみせたハーモンドだったが、それに反して真顔で迫るクルトを見据える内、今の状況が理解できた。
このままでは消される、という状況が。
「冗談じゃない。ようやく新しい一歩を踏み出そうって時に…!」
叫びと共に身体が動いた。
クリスタルの力を生かし、全身でぶつかるハーモンド。クルトはそれを片手から放った思念波で吹き飛ばした。
「家族が…紗流が待ってるんだ。」
息を切らして叫んだ言葉は、クルトの動きを一瞬鈍らせた。
――低俗な者ならば、アンチにも心は痛まないだろう。
そうどこかで感じていたクルトは、「家族」という一言に、例え低俗でも「人」であるということを思い知らされた気がした。
動揺するクルトの頬に、懇親の右拳が入り込む。
ハーモンドは倒れたクルトを馬乗りにし、その顔めがけ拳を打ち立てた。
何度も、何度も…
このままではこちらが危ない… クルトは本能的に動き出した。
自由の利く右手でタグを書き、それを放つ。
<pla…
ハーモンドがタグに触れた途端、その身体は不気味な光に包まれた――
―――――――――
――紗流は、ゆっくりと目を開け闇から抜けた。
周りの者は、皆紗流を向き安堵をみせていた。
「あたしのことが解るの…」
紗流の言葉に、皆はまだ意識がはっきりしていないのだろうと思い、優しい口調で「見える」と囁いた。
紗流は驚き、勢い良く立ち上がる。
これまですり抜けていた全ての人々が、皆自分を受け入れる…
紗流は思わず叫びを上げた。
チャットルームを出、一目散に走り出す。
目指すはもちろん、両親が居る憩いの場所。早く会いたい。そして色々語りたい。その思いが、沙流を風より速く動かした。
目の前に迫るチャットルーム。
疲れは感じない。
店の前へと来た時、不意にその扉が開き、誰かが顔を覗かせた。
それを見るなり沙流は叫ぶ。
「あ!さっきはありがとう。クルトさん顔中傷だらけ。猫と遊んでたのかしら?」
クルトは、はしゃぐ紗流を見、両親が無事にリロードが行えたことを知った。
祝いの言葉を送るが、その表情は暗く沈んでいた。
だが、喜びに満ちた紗流は、それに気付く事はなかった。
去りゆくクルトに再度礼をし、勢い良く扉を開け、待ち焦がれていたその名を呼んだ。
「お父さん!」
―――――――――
――その頃、ザックはマティスに呆れた視線を送られていた。
ハーモンドを捕まえるどころか、塩を送る形となった事がばれたためだ。
「全く…まぁそれがお前さんのいい所なのかもな。」
笑顔を絶やさないザックにマティスは遂に甲を脱いだ。
二人を眺め、ラーソは笑う。
その頭上には、小さな松があった。
雪を纏った小さな枝は、重さに負けんと伸びていた――
第十六話「縁の下」 完
十六話登場人物集
※イラスト協力者「そぼぼん」
※登場人物一部割愛
ハーモンド
紗流
クルト=ブル