事情(4)
短いです。
そんなやりとりを階下で弟達がしている時、階上で悠は静かに眠る希の寝顔を眺めていた。明日からは出社せねばならず、希を一人夏休みに入る弟達の元においていっても良いのだろうかと不安を感じていた。
女でありながら女性恐怖症なきにとって男ばかりの新堂家は良い環境だが、家の中に男しかいなかった為の問題点もある。
教育上、弟達には女性には紳士的に接する様、徹底しているし、思い起こす限り全員きちんと身に付いているとは思う。だが、弟達は母親とも一番下の慎が小学校に上がってから共に暮らした事は無い。年に数度、数日から2週間程度滞在する程度なのだから、表面的な気遣いはできても、本当に気遣えるのかと言えば年少の3人に関しては否としか言えないだろう。
それに今は誰も希を女として見てはいないが、もう少し成長して女らしくなったら・・・そう考えると、今後家の中で恋愛問題が持ち上がらないとも限らない。ただでさえ年少組は固まる傾向にあるし、兄弟全員の理想の女性が母親なのだから、魅かれる相手も似て来る事は想像に難く無い。
今は良いとしても、思春期にどう変化して行くのかは、自身の性癖を知るきっかけだった強い衝動を知ったのが高校時代だっただけに、弟達に同じ事が起こらないとは言えない、そう考えると少しの不安は残る。
高校時代には様々な変化があるし、弟達の交友関係もある程度把握してはいる。一馬と玲にこれまで数人の相手がいたが、年少者達はこれからが一番興味の出て来る頃、純粋に育っただけに誰か好きな相手ができたら暴走しないとは限らない。ただ、その時弟達が自分のように相手を傷つけなければいいと思った。
あの時、自分は想う相手を傷つける前に止まったが、結果的には他の者を傷つけた。そして、距離を置かざるをえなかったあいつとはもう2度と会うことは無い。
長男の独白でした。




