Brave 6
自己紹介を済ませると懐に忍ばせていたチャクラムを取り出し切りつけて来る
「小癪な!!!」
ロザリアは雷葬鬼刃で受け止め払いのけ距離を再び取ろうとするが
異常なまでのスピードでロザリアから離れず休む事無く切りつけて来る
一方ペルセフォネはヴァシリーがロザリアに意識を集中させている間に
次の術式を詠唱
「呪われし蛇の群れよ
締め付け、呪い、死に誘え
『呪蛇の呪縛』」
地面から湧き出る術式が蛇となりヴァシリーに絡み付く
「流石ペルセフォネの術式~
でもこの程度じゃ僕の動きは封じられないぞ!」
体をくるくる回転させながら自分の体が傷つく事もお構い無しに
蛇をチャクラムで次々と切り裂いていく
その隙にロザリアは距離を多少だが取る事が出来
攻撃態勢に入る
「翔けよ雷!
『サンダーボルテックス』!」
人差し指を立て天に翳す
すると天から雷が現れロザリアの人差し指目掛け飛んでくる
人差し指を雷が直撃する前にヴァシリーに向けると
天から降り注ぐ雷はコースを変えてヴァシリーに直撃する
更に追い討ちを掻けるが如く雷葬鬼刃に溜め込んだ雷をヴァシリーに向けて放つ
武神降臨をし強化された雷葬鬼刃は常に一定質量の雷を内包し続ける事が出来る
その雷を外部から発生させた雷と合わせる事で更なる破壊力を生む事が可能になる
「駆け巡れ!!!
『ライトニングボルト』!!!」
サンダーボルテックスに重ねるように内包された雷を放つ
雷はより大きさを増し威力も格段に上がる
この攻撃方法はロザリアの必殺の重ね技である
流石に倒したかと思ったがヴァシリーは多少ダメージを追っている物の
致命傷にまでは至らなかった
それは両手に持ったチャクラムを高速回転させ雷を外に逃がしたのだ
「ま…まったく!とんでもない技を繰り出すんだね!」
「やはりこの程度の重ね技ではその程度か…」
「次の術式を展開させます
次は必ず決めてください!」
そんな話をしているとヴァシリーは笑い出す
「あははははは♪
次なんてないよ?だって…僕も本気を出すからさ!!!」
チャクラムを上空に投げる
戻ってくる時には巨大なチャクラムを持った忍者のような武神が落ちてきた
「武神降臨!」
武神は大きな鎧へと姿を変えヴァシリーに装着される
チャクラムも大きさが増し刃がかなり薄く鋭くなる
「これが僕の武神降臨
鉄罰の鎧と破輪
この姿になる時は必殺を決めた時さ」
ポーズを決めて微笑むと物凄い速さでペルセフォネに切りつける
油断をしていた訳ではない
あまりの速さに体が追いつかず神無月は結晶へと戻されるほどの酷いダメージを負う
「ペル!!!」
地面に倒れたペルセフォネの元に向かおうとすると
目の前にヴァシリーが立ち塞がる
「行かせないよ!
まあ早く行ってあげないとあの傷は危険だけどね♪」
チャクラムをビュンビュン回しロザリアに切りかかる
攻撃全てを雷葬鬼刃に雷を纏わせ強度を上げて防いではいるが押され気味である
「ほら!早く行かないと死んじゃうよ!!!」
「この戯けが!!!」
精神的に焦らせてミスを誘っている
平常心を保とうとしているがペルセフォネが危険なのが目に入る
いまだ焦らない気持ちが出ない方が不思議なくらいだ
「もう後20分ちょっとで死んじゃうよ♪
ほら死んじゃうよ?死んじゃう死んじゃう死んじゃう!!!」
満面の笑みで急所を狙った攻撃を繰り返す
流石に焦ったのかロザリアは思わず攻撃に出てしまう
攻撃は簡単に避けられ雷葬鬼刃を降り抜いた後の崩れた体勢を狙われる
「これでおしまい!!!おしまい!!!」
破輪を頭上からまっすぐ高速回転を付けて振り下ろす
ヴァシリーは確かにこれで決まると思ったが
「甘いな…この程度でやられるロザリアでは無いわ!!!
雷帝鬼装能力発現!
『雷電放流線』」
鎧から放出された無数の雷の線がチャクラムの攻撃を防ぎ
ヴァシリーの体の自由を封じる
「な…何だこれ!
こんなの情報になかったぞ!!!」
「それはそうじゃろうな
今までこの技を発動した事は無いからな
光栄に思え!お前が最初の実験体じゃ!!!
『八岐ノ雷』」
体に巻きついた雷から放電された強力な雷がヴァシリーの体の中を激痛と共に走る
あまりの轟音の為叫び声も聞こえず逃げようともがけばもがくほど
巻きつく力は高まり放電も強くなっていく
叫び声も動きもなくなった事を確認すると雷電放流線を解除する
解放されたと同時に武神降臨は解けて地面に横たわっている
「さてペルの手当てを」
生死の確認後すぐにロザリアはペルセフォネの手当てに向かおうとヴァシリーに背を向けた
「!?」
突然体の力が抜け地面に倒れこむロザリア
倒れ背中に熱い物が感じ手を伸ばす
ベチャ
自分の背中に鋭利な物が刺さっていて大量の出血
虚ろ行く意識を保ちながら後ろを振り返ると
そこには確かに丸焦げにして倒したはずのヴァシリーが満面の笑みで立っている
「いや~まさかあんな奥の手を隠しているとは思わなかった
咄嗟に右目を開いていなかったら死んでいたよ」
先程まで閉じていた右目が怪しい光を放ちながら開いている
「………!」
声を出そうにも傷は深く声が出ない
「これは何だって聞きたいんだろう?
教えてあげる♪これが僕の奥の手!
『治癒の福眼』さ!」