Brave 4
デストとの交戦から数日立ったがデストの足取りかつかめず
ロザリアの腹立たしさも限界を突破しつつある
「まだ見つからぬのか!!!」
支部長室にロザリアの咆哮が響き渡る
「お…落ち着いてロザ!ね?」
あまりの恐怖から身を竦めつつも怒りを抑えようとするジュリアだが逆効果のようだ
「落ち着けじゃと!?これが落ち着ける状況か!!!」
「ひぃぃぃ!」
用意されたお菓子の盛られた器を払いのけテーブルを蹴り飛ばす
飛ばされたお菓子の器とテーブルは粉々に崩れる
あまりの恐怖心に身を竦めているジュリアだったがそこに助っ人が現れる
「まあロザリアさん落ち着いてください
新しい情報が入りました」
助っ人はペルセフォネだった
「それは誠か!?」
「勿論ですだから落ち着いてください」
差し出されたのは1枚の報告書だった
それを受け取りしばらく読んでいると笑い声がこみ上げた
「ははははは!!!」
そのあまりの高笑いにペルセフォネも身を竦める
「悪いが野暮用が出来たので一度離れるぞ?
帰りは遅いから何かあれば通信端末A80の回線で読んでくれ」
「う…うん気をつけるんだよ?」
「お気をつけて」
返事はせず部屋を上機嫌で出て行く
「はぁ~…一度暴れ出すと手がつけられないのは変わらないな」
「まあ余程デスト・コンティアムにプライドを傷つけられたのですね」
「プライド高いからね…」
そんな雑談を繰り返しながらロザリアが破壊したテーブルや器を撤去している
その頃ロザリアはX Braveの商店街の中を歩いている
一軒の飯屋に入っていく
店内は店員だけで他のお客は見当たらない
「ロザリア・リージュドット様ですね?」
「そうじゃ」
「お待ちしておりました
奥にてお客様がお待ちです」
店員の一人が一礼をして店の置くのVIPルームに案内する
扉が開かれ中に案内されると1人の男性がお茶を啜りながら待っていた
「いや~ロザリア嬢元気ですか?」
かなり軽々しく話しかけて来るやせ細った男性が待っている
「はぁ~…やはりお前が来たか」
「おや~?そんな言われ方すると悲しくなっってしまいますよ~」
悲しいなんて微塵も思っていませんよと言わんばかりの表情で男はニコニコしている
その笑顔に不満なのか用意された席にドスンと座り込む
「それでデストの情報は手に入って居るのじゃろうな?
え?マサイアス」
「勿論ですとも!この探求王マサイアス・ゼーダシュトーレン
どんな情報でも揃えていますとも!」
このニタニタ笑顔を絶やさない男の名はマサイアス・ゼーダシュトーレン
自称「探求王」を名乗る世界屈指の情報屋である
表の世界を始め裏の世界でも名は知れ渡りマサイアスの情報1つで国をも滅ぼす事が出来る
よってこの男の情報は世界で最も信用出来る情報かつ最も危険な情報でもあるのだ
そんなマサイアスとロザリアはもう5年以上の腐れ縁である
「では早速私が手に入れた情報をどうぞ♪」
高価な入れ物に入った4枚のプリント用紙にデストの情報がくまなく書いてある
暫く読んでいるとロザリアが1つの疑問を抱く
「この『何かを探している』とはなんじゃ?
御主でも分からぬ事なのか?」
「はい~この探求王でも分からない情報なのですよね
しかしながらこれは探れなかったではなく探れないのでしてね~」
やれやれと言った表情でお茶菓子を摘む
「探れないとはどういうことじゃ?」
「文字通りのことですよ?
情報が一切無いのでしてね
と言うより消されていると言った方が正しいのかと思いますね」
「そんな物御主の武神を使えば分かる事では無いのか?」
「それが私の武神を使っても駄目だったんですよ…」
「そんな事がありえるのか?
何と言っても御主の武神は最狂の探求能力を持っているではないか」
マサイアスの武神は探求能力に優れた武神『深遠の探求者』と呼ばれる武神
その探求能力を使っても手に入れられない情報となると
それは同じ武神の能力で無いと考えられない
「ありえるのだから仕方の無い事でしてね
しかしこれは燃えますね!私の探究心がメラメラ燃えていますよ!
ご心配なかれ!このマサイアスが必ずやロザリア殿の求めし情報
入手してご覧に入れましょう~!」
華麗なステップで立ち上がり一礼して店を猛ダッシュで出て行く
「あれで世界屈指の情報屋か
世界とはおかしな物じゃのう」
やれやれと言った表情で残りのお茶を飲み干し代金を払い店を後にする
予断ではあるがこの時の代金はロザリアの分だけではなくマサイアスの代金も重なり
後にマサイアスがロザリアの怒りを買う事になるのはそう遠い話ではない