Brave 2
ペルセフォネから受け取った写真と予想した位置をくまなく探すロザリアだったが
デストの手掛かりは一向に見つからない
流石に1日でX Braveの半分を歩き回ったロザリアは疲れが出たのか
遺跡付近になる森林の中で一休みする事にした
「簡単には探し出せぬか…」
ゆっくりと腰を落として大きな木に縁りかかる
腰にぶら下げた小さなリュックから水筒を取り出し紅茶を飲む
「流石に疲れた」
紅茶を一飲みして呼吸を整える
少し甘めに作ってあるので糖分の補給にもなる
周りには騒がしい物が一切無くとても静かだ
疲れが溜まっているせいと気持ちの良さからうとうとして来た
ぼんやりしていたら眠りについてしまった
どれくらい立つだろう既に日は暮れて少し肌寒くなってくる
冷たい風が露出している肌をくすぐるように通り抜けていくと
ロザリアは眼を覚ます
「しまった…寝てしまったか…」
頭を抱えながらゆっくりと立ち上がり時間を確認する
「日も暮れては探しようが無い
一度支部に戻るとするか」
そんな事を呟きながら立ち上がると茂みから何かが飛んでくる
「くぅ!?」
紙一重で避ける事に成功したロザリアが茂みの方を向くが既に気配は無くなっていた
「このロザリアに気づかれずにここまで近づいてこれるとはな…」
飛んできた物を確認すると暗殺用に作られた毒矢だった
「どうやらデストを倒されては困る者の仕業じゃな
これは中々楽しい仕事になってきたな」
毒矢をビニール袋に入れてその場を離れ支部に戻る
街からは既に明かりが消えており街の中心にある支部塔の光と夜空の光が道を照らしている
「まったく面倒な地形じゃな…」
またぶつぶつと呟いていると目の前に赤髪の男が立っている
身長は自分よりも遥かに高く顔には鬼のお面体は黒のローブで隠れている
「ロザリア・リージュドットだな?」
その男は物静かにロザリアに名前を問う
「人に名を聞く時は自分から名乗る物ではないのか?」
大剣を構える
ロザリアは一瞬で気づいたのだった
この男がデスト・コンティアムだと言う事を
「そう身構えるな
俺は話を…」
一瞬だった
黄色い閃光が自分の横を通り過ぎた瞬間体は両断され地面に倒れこむ
「悪いが貴様のような愚者と話す事等何も無い
さあ立て!この程度でやられるデスト・コンティアムではなかろう?」
素早い動きで距離を取り大剣の切っ先をデストに向け構える
両断されたはずのデストは既に立ち上がっていた
「化け物め…!」
奥歯を強く噛み締めてにらみつける
「だから待てと言っている
こちらには戦う意思などない」
「問答無用じゃ!『雷鬼』行くぞ!
【武神降臨】!」
大剣を天に翳すと同時にとても大きな雷がロザリアの体を包み込む
雷は姿を変えて鬼へとなる
鬼の体はバラバラになりロザリアの体にそれぞれくっ付く
鬼はロザリアの鎧となった
これがロザリアの武神降臨『雷帝鬼装』
「最初から武神降臨を使うとはな」
「残念じゃがさっさと貴様を倒して妾も家に帰りたくてのう」
先程の大剣を振り下ろすと大剣も姿を変えた
黄色く輝く雷の様な刃をした大剣
これこそがロザリアが武神降臨によって齎された武器『雷葬鬼刃』
「仕方が無い少し黙らせるか…」
デストが手を前に出し下に振り下ろすとどこから出したのか
禍々しい形をした大鎌を握り締めている
「それが修羅の大鎌か」
「如何にもさぁ…死合おうか!」
ロザリアほど早くは無いが猛烈な踏み込みで一気にロザリアとの距離を縮め大鎌で切りかかる
大剣で受け流し再度距離を取るが思うように自分のペースに持ち込めない
男性と違い腕の筋力が弱いロザリアはある程度距離を取って自慢のスピードとあわせた
剣戟でないとあまり敵に有効なダメージを与えられない
それを知っているのか悟っているのかデストは消して距離を開かせない
明らかに重そうな大鎌をまるで木の棒のように片手で振り回しロザリアを苦しめる
「このままでは埒が明かん!
ならば!」
次の一撃をロザリアは受け流すのではなく受け止めた
「ん?どうした?貴様の力では俺の攻撃を受け止めるのは得策で無いと思うが?」
「残念じゃがここまでじゃな
轟け豪雷!『ライトニングボルト』」
大剣を投げ捨ててバランスを崩したデストの体に両の手をつけ強力な電撃を流し込む
流石のデストも強力な電撃を直接浴びたのだ
絶対に倒したと確信したロザリアだったが一瞬の隙を突かれ大鎌で斬りつけられる
「ば…馬鹿な!!!」
雷帝鬼装が無ければ確実にやられていた
しかし雷帝鬼装の損傷は激しい長くは戦っていられない
「今のを辛うじて避けたか
もう長くはあるまいてそろそろ蹴りをつけるとしようか」
大鎌をロザリアに向けて振り下ろそうとしたその時
「『呪式:呪奏弾』」
ロザリアの背後から黒く術式が固まった弾丸がデストの大鎌を弾き飛ばす
「X Brave支部副支部長
ペルセフォネ・セネット参上」
まさかの助っ人にロザリアは間一髪助かる事が出来た