05 同棲生活?
先日の話し合いの結果、居てもいいとは言った
たしかに居ても良いとは言ったのだが、あの後からうちの同居人は存在感を消すのを止めたらしい
もちろんこちらの生活は邪魔してこない
逆にこちらを手伝っている様子さえある
無くなりそうなトイレットペーパーの替えが目につく所に置いてあったり、家の中に自分の好きないい香りが漂ってたりする
疲れて目覚ましに気が付かなかった時なんてベッドが揺れて起こしてくれた事もあった
生活の質が上がるばかりである
どうやらとても気に入られているようだ
どうして気に入ってくれたのか聞いてみたのだが『い つ か お し え ま す』とのことだ
理由はおいおい聞いていこう
気がついたら誰も見えない空間につい喋りかけている自分がいる
今日は何があったとか、こんな愚痴を聞いて欲しいとか
基本的に即座に反応がある訳では無いが、朝起きるとテーブルに紙で折った花が『お つ か れ さ ま』と書かれたメモと一緒に置いてある事もあった
浮かんだ文字がおどろおどろしくなければ最高だったのにな
「そういえばお名前聞いてなかったですね。良ければお聞きしても?」
コン!と1回ノックがあり目の前紙に文字が浮かんだ
「し ず よ… しずよさんですね」
コンと返事があった
「僕の名前はご存知かもしれませんが月下蛍と申します」
名前を教え合ったらなんだか急に仲が深まった気がした
そう思っていたらスマホの着信音が鳴った
画面に表示された名前は祖母だ
祖母からかけてくるなんて珍しい
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