転生悪役令嬢はやり直す
主人公目線だよ
「つ〜…痛ってぇ!なにしやがる!」
少し時は遡り、花山瑞稀の意識が途絶え、戻った直後となる。
「なんだァ?ここは…暗くて視界が悪いなぁ」
花山瑞稀は周りを見渡すと、椅子が二つ。一つは空席で、それは、学校にある四足の椅子のようにも見える。
もう一つは既に利用者…いや、所有者と言うべきだろうか。女が座っていた。
女が座るその椅子は、豪華絢爛、重厚長大、そんな言葉がよく似合う。そして、それに座る女。
「いい女だ。」と瑞希は言葉を漏らした。女は眉目秀麗、月下美人…傾国の美女、そんな言葉がよく似合う。髪は眩しいほど金色に煌めき、顔つきは美麗で、艶やかさと妖しさがある。身体の肉付きも最高としか言いようがない。いい女を前にして見るなと言われて、それを素直に従うやつはいない。瑞希は女を眺めた。すると女を足を組み、瑞希を見下した。そしてもうひとつの椅子を指さした。
「そこに座りなさいってか?あんたみたいなべっぴんさんの言われちゃあ従うしかないじゃん」
瑞希は椅子に座る。すると脳裏に妙な風景が流れる。知らない。けれど知っている。
「アンタもミズキっていうのか…はっ!まさか俺がミズキだから女だと思ったのかい?神様。前世は女みたいな面をしていると言われたが…本当に女に異世界転生するとはな。」
瑞希は椅子に座り前を見据える。すると、また映像が流れだす。
「これは今、こいつが見ている映像か?金髪のあまちゃんがこいつの婚約相手か…なんか、言ってらァ?婚約破棄だぁ?んなもん口約束みてぇに破けるわけねぇだろ…皇族となりゃ、正式な文書で認められてるはずだしなぁっておいおい、ひっ捕らえろだと?女1人に槍を10本に…奥には魔道士か?そいつはねぇだろ…なぁ、アンタ大丈夫なのか?」
瑞希は己の後方に座る女を見る。すると…
「たすけて…しにたくないわ」と、発したように感じた。
「…いいぜ、アンタを悪役令嬢から最強令嬢に変えてやる。だが、やるのはアンタだ。もし、ここがあんたの深層心理なら俺の記憶をさぐれるはずだ、ちげぇか?」
瑞希は問う。女は沈黙する。その代わり、瑞希の周りに槍を持った騎士が10人現れた。さっき見ていた光景だ。
「はっ!あんたの頭は最高に出来がいいんだな!尚更好みの女だよ、アンタは!アンタの華麗な舞を馬鹿どもに魅せてやれ!Ala!」
瑞稀の体は赤い装束…基、カルメンを彷彿させる赤いドレスに纏われた。
「なんで、ドレスなんだよ。俺は男だっての……まぁいい」
槍の突きをドレスを翻しながら、槍の腹を殴り、捌く。避ける。蹴り落とす。蹴りあげる。
「おまけだぜ!」
倒立したあと、開脚して、腕の力だけで体を回転させ、騎士たちを蹴る。
「Arriba!」
しかし、騎士たちは倒れない、何故だ?
すると、突然、瑞希らは茨の蔓に縛られ、動けず、跪く。
「なんだぁ…こりゃあ…動けねぇ」
すると、大きな戦斧を掲げあげた騎士が現れる。
「あぁ?斬首ってか…おいおい…神様よ…これじゃあ意味がねぇだろうよい。」
瑞希は力づくに身体を振り返らせ、椅子に茨で縛られた女を見上げる。
「おい!女!勝手に死ぬんじゃあねぇ。俺の転生が無駄になっちまうだろうが、やり直しだ」
と、無理な話をする瑞希を中心に魔法陣が展開される。
「なんだ?まぁいい。俺の転生無駄にしないでくれよ。」
瑞希の中心に魔法陣が展開されると同時にミズキにも魔法陣が展開されていた。
「え?なにこれ…」
次の瞬間、ミズキが見る光景は己の家の自室となる。しかしそれは十二年前。
ミズキ・アクアが5歳の誕生日その日である。




