こうなったら「異世界“ジャガイモ”問題」も検証してみようと思った話。
異世界“ラテン文字”問題。
異世界“サンドイッチ”問題。
この二つについて前のエッセイで検証致しました。
ここまで来たなら、もう一つのよく聞く問題である「異世界“ジャガイモ”問題」についても考察していくことにしました。
では、異世界“ジャガイモ”問題とは、
「“中世”ヨーロッパにジャガイモはないのに、異世界作品に登場するのは間違いである」
という内容です。
調べてみると“ジャガイモ”は元々南米原産の作物で、ヨーロッパに伝わったのは16世紀頃。17世紀後半頃から救荒作物として栽培されだし、18世紀頃にメジャーな作物となったようです。
一方で“中世”とは15世紀頃までとされるため、上記のような提言がされているわけです。
こちらも一見正鵠を得ているような提言に見えますが、前提条件に大きな誤りがあります。
それは異世界作品が“中世ヨーロッパ風異世界”であることを失念している点です。あくまでも“風”であり“似た世界”なので“中世ヨーロッパ”の史実を忠実に再現する必要は全くありません。
もし「忠実に再現する必要がある」と主張するならば、異世界作品に“魔法や魔術”または“魔物や魔獣”などといった“中世ヨーロッパ”に存在しないものが登場する説明をどうやってするのでしょうか。
この説明がなされない限り、異世界“ジャガイモ”問題の主張は正当性を得られません。
また、これは“ジャガイモ”に限定されたわけではなく「“中世”ヨーロッパに存在しないもの」全てに適用されるのではないでしょうか。
そして前回同様、書き手の方がご自身の作品で「“中世ヨーロッパ”の史実を忠実に再現した異世界」を書くことを否定したわけではないことは、ご承知おきください。