胸を張って
出来上がった曲を確認してみる。
「今回の曲はSUI夏がよく作ってるやつと同じで、基本となる8小節だけ作って繰り返しループさせてる。音を加えたり、減らしたりしながら展開させてね。」
「でも、全然単調に聞こえないね。」
僕は最初聞いたときずっとループしているって気づかなかった。
「同じ繰り返しだから、単調にならないように工夫した。あとSUI夏のメロディとか音の取り方もよかったと思う。」
「これで完成で…いいかな?」
「まぁ、とりあえず今出来ることはやってみたかな。これ以上詰め込みすぎてもいい結果になる訳じゃないし。……完成で!」
「コンテストに応募だね。なんかドキドキするな。」
「俺もちょっとドキドキする。でもあんまり期待はしないよ。俺らは俺らの曲を一番だって思っているけど、それってみんなもだもん。」
「みんながそれぞれ自分の一番で挑んでくるのか…。それはスゴいね。でも、結果が出るまでは期待したっていいじゃん。結果が出なくっても。その待っている時間も楽しいよ。」
「SUI夏は選ばれなかったときのショックまだ味わったことないんだな。自信があるものほど選ばれないと本当にショックなんだよ。」
「そうなんだ。でも、それって実力不足もあるけど、審査員の好みもあるじゃん。最終的に審査員が合わなかったで済ませちゃえば?まずは自分の一番に胸張ろうよ!」
「ははっ。済ましちゃう?確かにね。俺の中で一番の出来だって思っているもの人からの評価で左右されなくていいよな。向上心は必要だけど、別に後ろ向きになることないもんな。うん、とりあえず胸を張ってコンテスト応募するよ。」
僕らはドキドキしながら、コンテストの応募フォームに必要事項を記入して、曲を提出した。
3ヶ月後、結果が発表された。




